第4話
五月に北の旧政府軍は呆気なく鎮圧された。
当初の予定通り大した難局もなく有能な指揮官の下革命軍は快勝した。
そして相津謹慎者の裁定も下った。
『主要人物三人の首』
それを差し出せば彼らは放免となる。
当初相津の君主が自分が処断されるべきだと言い、戦争の一切の責任を被ろうとした。
しかし臣下達がそれを止め、二人の戦死した家老の名前と一人の生き残った家老の名前を中央政府に差し出した。
死者の名前を三人連ねても恐らく納得いかない人間が出たから苦渋の決断として一人、最後の犠牲者を出す事にした。
その犠牲者が旧政府軍敗北の日と同時に処刑された。
そして相津は晴れて賊の汚名から脱出した。形だけは。
「兄は……生きたのですね」
その事を報告した夜、常盤の複雑な表情を謙真は忘れられない。
薄暗い自室で対坐して粛々と告げた後、常盤はそれを呟いたっきり言葉を言わなかった。
……どこまで犠牲を負えば済むのだろう?
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