壱
第1話
「いい?人が通ったら舞を舞いなさい。それできちんとお駄賃を貰うのよ」
女の言いつけに少女は頷いた。
少女というにはあまりに幼い、まだ赤子の面影が残る子供だった。
女は聞き分けのいい少女に薄ら笑いを浮かべて、今夜の客の家へと入っていった。
中流家庭の門構え。少し中心街から外れているから、今夜の客もたいした駄賃はくれないだろう。
そんな事を知らない少女はその門の影に、人目から隠れるようにひっそりとうずくまった。
いつも通り、一晩ここで過ごす。
今の季節はまだいいが、寒くなってくると手足が冷たくて眠れない。
もし人が通ったら舞を舞うんだ、という責任から、ますます目が冴える。
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