私は最強の魔女なので、追放&断罪イベントを暴力で速攻解決します☆

雲井咲穂

第1話 暴力の魔女アリシアは悠然と微笑した。

 ――彼女は、暴力の魔女だった。


 宮廷の外壁の一部が轟音とともに崩れ落ちる。


 土煙と悲鳴が舞い上がり、周囲は混乱の渦に包まれていた。


 悲鳴と土煙の中、一人の女が立ち尽くしていた。


 女の名はアリシア。ユネストレイグ国に仕える魔女である。


 射干玉ぬばたまが如き艶やかな黒髪の下に、紅玉ルビーの瞳が妖しく光る。


 アリシアは手首に絡まる封印具の破片を握りつぶし、散りゆく光の粒子を見下ろした。


「どうやら言葉が通じないようね?」


 彼女の声は、空気の震えすら引き起こすほど冷たく、耳に残る鋭さを持っていた。


 その言葉に、誰一人として反論する者はいなかった。


 圧倒的な力を前に、国王も王太子も、そしてその取り巻きたちも、ただひれ伏して膝をついていた。恐怖に震え、絶望とともに目を見開き、彼らは言葉さえも発することができない。


「あなたたちが選んだのは、私を敵に回すこと。?」


 質問ではなく、確認。


 目の前の大きな壁がえぐれ、ひび割れ、背後にある鐘楼が崩れ去る音が鳴り響く。


 その光景を、アリシアは何の感情も無く、ただ静かに見守っていた。


「さて、始めましょうか」


 最強の魔女アリシアは悠然と微笑した。










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