陰キャの私にスパダリ彼女ができるワケない!

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 私の通う学校には『スパダリ』と呼ばれる王子様系のハイスペ美少女がいる。

 王咲華蓮おうさきかれんさん。高身長と心地いい低音ボイス…老若男女共に優しさ溢れる対応で人々をキュンとときめかせる。

 しかも生徒会長の役職についていてまさに王子!そんな王咲さんにはファンが絶えず、その人気は他の学校にもファンがいるくらいだ。

 ほんとすごい人だよね、私からしてみれば雲の上にいる神様みたいな存在で、王咲さんの視線にすら入ることを許されないと思うくらいだよ。


 でも、そんな私がなんで学校の王子様…王咲さんと。

 付き合うことになったんだっけ!!?


〜数週間前〜


 私、黒鳥陰子くろとりいんこは陰キャである。

 友達0人…いや、強いて言うなら家に飼ってる芝犬のゴンタロだけが私の友達…と言えるかもしれない。

 うう…犬だけが唯一の友達とか私の15年間無色すぎるっ!つらいぃ!!


 こほんっ。

 という訳で、私は悲しきひとりぼっち。

 きっとこの先友達が出来ないまま人生を終えるんだろうな、という危機的状況を未来予知していたところ…私にある転機が舞い降りてきた。

 それはある放課後、学校にいても家にいてもやる事ない…このまま放課後に一人いたらイベントフラグ立たないかなぁ〜なんて考えてた時、私の名前を呼ぶ声が肩を叩いたんです。


「おーい黒鳥」

「わひゃっ」

「うお、どうした急に」


 中年の男の声、なにがなんでどうして私の名前を呼びかけるの!?と驚くのも束の間、その声の主が担任の先生であること気付き安堵する。

 ふーよかった、知らない人に声掛けられたら心臓発作で死ぬとこだよ…。

 いや、先生私の驚き声にびっくりしてた…もしかして引かれたりしたかな!?


「あ、あ、えと…どうしました?先生」

「お、おう…誰でもよかったんだが少し頼みたいことがあってな、今時間あるか?」

「あ、はい!あああります!」


 だめだーうまく舌が回らない!

 人と目を見てなんて到底できないし、こうやって話すことすらできないなんて、私は人間失格だ。

 先生も「コイツ何回あって言うんだ?」みたいな目で見てくるし!恥ずかしい!


「時間あるか、ならちょっと来てくれ」

「あ、はいっ!」

 

 先生はうんと頷くと、そのまま教室を出て廊下を歩いてく。

 私はその先生の後ろを追うように歩いた。

 一体、頼みたいことってなんのことだろう?

 なにかイベント起きないかな、なんて思ってたけど空き教室の掃除なんてやらされたらすごく嫌なんだけどなぁ。

 でもこんな私が今更断れる訳ないし、ああ…いっそ家に帰ってゲームでもしておけばよかったかも…。

 って、先生の後についてきて思ったけどこの廊下…もしかしてこの先って?


「実はなぁ、今生徒会が大変でな」

「せ、生徒会がですか?」

「そう、なんか一人転校して空きが出たとかもあったが、そういうのもあって大変らしい」

「だからちょうどいい時に黒鳥がいて助かったよ」


 あ…あの、その言い方だと生徒会というとんでもないところに入らされるんじゃあ…。

 私集団行動無理なんですけど、そもそも生徒会って言ってもなにするんですか!?すごく嫌なんですけど!家に帰りたいっ!!


「ははっ!なに、すぐに慣れるさ」

「あ、あの…やっぱわたっ」

「あ、おーい生徒会連中!新人一人持ってきてやったぞー!」


 話聞いて!!

 私の掠れた声なんて先生の耳には入らないようで、からからと笑いながら生徒会室の扉を開く。

 中は思ったよりも狭かった、長方形の机の周りにパイプ椅子が並んでるけど、どれも空席だ。

 でも、一番向かい側に夕陽に照らされるように誰かが座っていた。

 シルエット的に女の人…っぽい?髪が短く切り揃えられているから、パッと見ただけだと男の人だと勘違いしそう。

 あれ、でもそんな人…私どこかで見たことが。


「先生…ボク一人でも出来るので大丈夫と伝えたのですが」


 耳に残る綺麗な声。

 けれどその声音は呆れていて、その人は書いていた書類の手を止めて立ち上がる。

 ふぁぁ…とその人の姿を見て声が漏れた。

 すごく綺麗な人だった、スタイル抜群でモデルにも負けない。

 真っ白な肌、整った顔、尖った鼻、鋭いけど優しい眼差し…。

 前に全校集会で見たことがあるその人の名前は。


「いやいや、お前一人でも限度があるだろう」

「ボク以外の人達が流行り病や各々の事情が重なりボク一人だけになり心配するのも分かりますが…それでも現状一人でやれてるので大丈夫と何度も…」


 王咲さんだ…!王咲華蓮さん!

 学校の超有名人でスパダリの名前で有名な王咲さん!

 こ、こんな間近で初めて見た!

 遠くで見た時より数百倍綺麗な人で、思わず「ふぁぁ…」なんて変な息漏らしちゃったよ!

 でも、そんな王咲さんだけど…少しやつれている感じだ。

 てか今先生との会話ですごいこと言ってませんでした!?


「むぅ、とはいえもう連れてきたからなぁ…」

「なぁ、黒鳥お前王咲の力になってやれ」

「えっ?あ、はい!」

「お!いい返事じゃないか!」


 あれ、私今流されるままに返事しなかった?

 人と話すことなかったから、つい反射的に頷いちゃったよ!!


「…ちょっと待ってください先生!黒鳥さん生徒会の仕事なんてすぐに出来ないし、ここは辞退した方がいいよ」

「わ、わたしの名前知ってるんですか!?」

「さっき先生が言ってたからね、はじめまして黒鳥さん…って、君はいいのかい?急に仕事押し付けられて、黒鳥さんにだってやる事だって」

「や、やる事ないです!」

「そうなのかい?」

「ほら、黒鳥だって言ってるぞ?」


 し、しまった!

 また聞かれるがままに返事返しちゃった!

 王咲さんちょっと驚いてたし、あと先生便乗して私を前に出さないでください!

 ど、どどどどうしよう!?私まだやるなんて言って…いや言ってる!でもそれは反射的に言っちゃって…。


「王咲、一人で背負い込むなって…今は猫の手だって借りたい状況だろ?ほら黒鳥を貰ってやれって」

「…………ええ、先生の言う通り今は人が欲しい状況です、ここはありがたく受け入れます」

「え?あの…」

「こんな忙しい状況だけど、手伝ってくれると言ってくれてボクは嬉しいよ…ありがとう黒鳥さん」


 わ、私の意見聞いてください…。

 あ、でも王咲さんが私の前に来て微笑んでくれた…すごい綺麗。

 って、いや…あの私これから生徒会の一員ってことなのでしょうか!?ちょっと荷が重すぎるような気がしてならないんですが!!

 

 で、でも…ほんとにイベントが来ちゃった。

 もしここで頑張れば、今の私を変えられるような事があるかもしれない…。

 なりゆきだけど、ほぼ押し付けだけど。

 やってみても、いいかもしれない。


「よ、よろしく…おねがいします」


〜生徒会1日目〜


「では早速だけどこの仕事をお願いしようかな」

「内容はこうで、うん…そうだね、おっと、ここはこうして……」

「ふふっ、黒鳥さん飲み込みが早いね、その調子その調子!」

「えっ?もう出来たのかい!?え?過集中…息を止めて?いやでもすごいよ!内容も完璧じゃないか!」

「じゃあ甘えて次もお願いしようかな。そうだ時間は大丈夫かい?言い忘れたけど生徒会は遅くまで仕事するから…え?何時間でも大丈夫?ふふっ黒鳥さんは頑張り屋さんなんだね。じゃあ仕事の前にちょっと小休憩しよっか、その後に頑張ろうね」


 生徒会のお仕事はなんかすごい…。

 王咲さんが優しく教えてくれてすごく分かりやすいのあるけど。

 二人っきりでこの空間にいるのが冷や汗ダラダラものだったから息止めて過集中で仕事してたらなんだか凄い褒められた。

 なんかもう、すごい…王咲さん包容力すごくて溶けてしまいそうです。

 どうしよう、これ夢なのかな?なんだか良い夢すぎて今ここで起き上がってベッドの上でもおつりが出るくらいだよ?

 うあー、ほほをひっはっへほいたい。

 うん、これ夢じゃないですね。現実ってこんな夢展開あるんだ…まぁ現実は小説よりも奇なりって言葉ありますもんね、まさかこんな事になるなんて。

 

 あ、ちなみに王咲さんは今お茶菓子を用意すると言って生徒会室を出ていきました。

 とはいえ王咲さんのいないこの生徒会室にいる現状、緊張が止まらない…。

 一人になれば少しは、なんて期待したけどさっきまで王咲さん一人がいたこの部屋はほのかに王咲さんの匂いがする。

 匂いを気にするとか変態かって思うけど、王咲さん距離近いんだよ?さっきなんて肩を寄せたり、しれっと私に触れてきたりしてくるんですよ?気にしない方がおかしいじゃないですか!

 まぁ、そんなこんなで部屋全体が王咲さんに包まれてるこの状況で私の心臓はもうドッカンバッタン大騒ぎなんですよね。


「うう、これ…あとどれくらい続くんだろ、私の心臓持つかな…」


 ガララッ…。


「おまたせ〜って黒鳥さん、心臓押さえて大丈夫?」

「だ、だだだいじょうぶです…」


 び、びっくりした…!!

 急に扉開いて、びっくりしたぁ!!


「はは、驚かせちゃったかな?まぁお茶やお菓子なんかを用意したからゆっくりしよう」

「あ、は…はい!」

「ふふふ…しかし黒鳥さんが来てくれて助かったよ、まさか短時間でかなりの量を進めてくれたからね、助かったよ」

「い、いやそれほどのことは…」

「こうなると、正式に黒鳥さんを迎え入れたいな…今はみんないないが、戻ってきた後もこのままここにいてくれないかな?」


 そ、それはちょっと…考える時間が欲しいなぁ……。


「だ、だいじょうぶです!」

「おお、良い返事だね!嬉しいよ黒鳥さん」


 私のばかあ!なんで反射的に言うの!?


「ふふ、それはそうとまだお互い自己紹介が遅れていたね…ボクは王咲華蓮、クラスはA組です、よろしくね」

「わ、わたしは…黒鳥陰子です、ク、クラスはC組です、よ…よろしくおねがいします…」

「へぇ下の名前は陰子さんって言うんだね、良い名前じゃないか」

「そ、そうですかね?インコなんて鳥の方みたいで変じゃないですか…?」


 一瞬、いやな思い出が脳にチラついた。

 黒鳥陰子…じめっとした名前、それに下の名前をカタカナにして読むとインコ。

 苗字に鳥が入るのも相まって、小学生の頃からよくペットの方のインコだってバカにされていた。

 思えばそれもあって友達がいないのかも、いや性格が暗いからなにしてもダメだったと思うけど…。

 まぁ、そういうわけで私は私の名前をあまり好きではなかったのだけど…。


「変じゃないさ、可愛いよさん」

「ひゃっ!」


 ぴとっと、下を向いてたら手のひらから温かい感触がして声が跳ねた。

 視線を向けたら王咲さんが柔らかい笑みを浮かべてこっちを見てた、それに王咲さんの手がぎゅっと私の手を握ってる…。

 な、ななななにをしてるんですか!?


「そうだ、今度からインコさんって呼ぶね?」

「え!?あ…えと…ちょ、手、手が…」

「ん?ああ、緊張しなくて大丈夫…ここはボクたち二人っきりだからリラックスリラックス♪」


 で、できませぇん!!

 王咲さん、こんなに距離近いなんて思ってもみなかった!あ、でもいい匂いする…。


「ふふ、ほら肩の力抜いて?強張ってるよインコさん?」

「あ、あの…そんなに近いと緊張がとれないです…」

「そんなことないさ、ほら深呼吸しよう?吸って〜吐いて〜…ふふ、まだ硬いよ?大丈夫だよ、ほら」

「〜〜〜〜っ!」


 ほ、包容力の化身すぎて…!!

 距離感近すぎて…!!

 逆に緊張して全身が強張るんですが!?


「あははっ、インコさんは可愛いねぇ」

「あうあうぅ…」

「本当にインコさんが来てくれてすごく嬉しいよ。なにせボク以外のみーんなが各々の予定でいないっていう非常事態だからね」

「あぅ…そ、その、みなさんがいないってどうしてそんなことに?」

「まず、副会長は転校でいなくなって、書記やその他の人達は流行り病や家の事情でお休み中」


 う、うわぁ…サラッと言ってますけど相当ひどいことになってますよ生徒会…。

 けど、確かにそれだけの事があったのなら王咲さんがあんなにも疲弊してたのも頷ける。

 正直に言うと自分を変えたいのもあったけど、王咲さんが疲れてるから手伝ってると言っても過言ではないしね。

 …それにしても、副会長が空席って大丈夫なのかな?


「あ、でもそうだね…今空いている席は副会長の席しかないわけだから…インコさんは副会長の位置になるね」

「!?え?あの、それは…」

「うん、でも大丈夫!ボクがしっかりサポートするし、それに今だって充分頼りになってるからね問題ないよ!」

「も、問題がありすぎなのですが!?」


 あの、普通に生徒会に入るだけだと思ってたのに、副会長だなんて聞いてないんですけどぉ!


「そ、それに無理ですよ…私、そんなに仕事できないですよ?」

「そうかな?さっきまでやってたの、ほとんど副会長の仕事だったし、全然問題ないと思うよ?」

「あぅ…」

「そう震えなくても大丈夫だよ、ほら?こうしてゆっくり出来てる訳だし、ボクたち二人ならなんだって出来るさ」

「うぅ…ほんとに、できますかね?」

「ふふ、不思議とね分かるんだ…インコさんとならボク頑張れそうだってね」


 な、なんですかその謎の自信…。

 結局、あのあと王咲さんの圧に負けて私は晴れて副会長の座に収まることになりました。

 いやなんで、何がどうしてこうなった!?

 しかし乗り気な生徒会長と二人きりの生活、一体これからどうなるんだろう?

 未知の予感に心が跳ね上がりながらも、休憩の時間は終わり私達は仕事へと戻っていった。



「つ、つかれたぁ〜…」

「いやぁ、本当にインコさんは頑張ってくれたよ…結構な時間付き合わせちゃったね」


 ぐへぇ、と疲れのあまり机の上で突っ伏して眠るのは私。

 そんな私を見て感謝をする王咲さん、あんなに辛かったのに王咲さん全く疲れを感じてないみたいだ。

 でも、最初はかなり疲れてる感じだったよね…。

 やっぱり、王咲さんのような凄い人でも一人は辛いのかな?


「ふふ、インコさん?疲れているのは分かるけどここはまだ学校だよ?」

「え?あ、そうでした…って、もうこんな時間だ…」

「そうだね、もう夜だもんね…本当にこんな時間まで付き合ってくれるなんて、インコさんには感謝しきれないよ」

「い、いやそこまで言われるほどしてないですよ…」

「ううん、インコさんは凄いよ!ボクの恩人だよ!」


 ほんとにそこまで言われるほどの事でしたか!?


「って、その前に帰る準備しなきゃね…インコさんはどこに住んでるの?」

「え?えっと○○の方ですけど…」

「あ、そこなんだ?ならボクの家とも離れてないし、うん。じゃあ暗いし一緒に帰ろうよ?家まで送り届けるよ」

「そ、それは悪いですよ!」

「大丈夫大丈夫!ボクも近くに住んでるから気にしない気にしない♪」

「え、ええ〜?」


 

 王咲さん、結構グイグイ行く人だな…。

 でも不思議と嫌な感じはしない、なんでだろう?王咲さんには裏表を感じない真っ直ぐな雰囲気を感じるからかな…?それに、こうやって誰かと一緒に帰るのは初めてのことで、私は少し…嬉しかった。

 でも、そんな帰路の最中…。


「あ、あの…これはちょっと…」

「ん〜?どうしたんだい?」

「王咲さん、生徒会室の時も…そうでしたけど、なんで私の手を握ってくるんです?」


 どぎまぎと緊張と恥ずかしさが同居してる。

 それもこれも王咲さんが私の手を握ってるから、指先をがっちりと絡めて私の小さな手のひらから王咲さんのぬくもりが直に伝わってきて熱中症になりそう…。


「なんでって、ほら?結構暗いし、何かあったらインコさんをすぐに守れるように手を繋いでるんだよ?」

「あ、あと純粋にインコさんが可愛くて握ってるのもあるね!」

「か、かわっ…!?」

「うん、可愛い♪」


 ぼっと頭が燃えた…気がした。

 王咲さんは平気でそんなことを言う…。

 きっとそれが王咲さんの人気の秘訣なんだと思う、そうでないとこんな陰キャの私にくっついてくれる訳がないもの。

 でも、今日だけでも王咲さんと沢山の時間を過ごした。

 何か起きると期待してたけど、まさか生徒会に入ってしまうなんて思いもしなかった。


「ふふ、暗くてもインコさんの照れ顔がはっきり見えるね」


 神様、特別な出来事を願ってたけど…ここまでだなんて聞いてません。

 でも、だからこそ…今日起きたこの奇跡を手放したくないと思いました。


「あ、あの…お、王咲さん…!」

「おや?どうしたんだい?」

「き、今日はありがとうございました…私、友達とかいないから…王咲さんとお仕事できて、う…嬉しかった…です」


 は、初めて自分から話をしたと思う。

 でも緊張して舌が回らない、心臓がバクバクうるさくてどうにかなってしまいそう。

 でも、私は今…この奇跡の時間をくれた王咲さんに、ただ…ただ感謝したかった。


「インコさん…」

「そ、それに王咲さんから生徒会に入れてもらったり、沢山お話をしてくれて…私生まれて初めて恵まれたと思いました」

「だって、私…インキャですし?王咲さんと釣り合わないかとしれませんけど」

「こ、これから…!私王咲さんの隣にいてもいいですか!?王咲さんとをお願いしても、いいでしょうか!」


 私には友達がいない。

 ずっといない。

 一人ぼっちで、飼い犬と遊ぶことしかできなくて。

 自分は陰キャだと思いこんできたけど、でもやっぱり友達が欲しくて。

 初めて会った王咲さんが優しくて、つい甘えて…って伝えてしまいました。

 突然の急なお誘い、口下手できっと王咲さんも困惑してると思う…。

 だから目を合わせられずに、時間だけが過ぎて…王咲さんの声が、聞こえた。


「インコさんは、女の子同士でもいいの?」

「へ?その、そういった(友達)関係って性別って関係あるんですか?」

「……うん、確かに、好きに関係はないものね」

「その、えっと…お返事を返す前に、ボクからも少し…いいかな?」

「は、はい!どうぞ!」

「ありがとう、その…今日インコさんとは初めて会ったけど、ボクは不思議とインコさんのことが気になってたんだ」

「学校の有名人といっても、今日みたいな切羽詰まった状況でお手伝いにきてくれる人なんてインコさんしか居なかったから」

「その、恥ずかしいけど…一人で仕事してると、なんだか寂しくて…誰でもいいから話し相手が欲しかった…そんな時にインコさんがきてくれた」

「嬉しかった、それにインコさんってちょっとした仕草が可愛かったりして楽しかった」

「えっと、その…つまるところ、寂しい時にインコさんが居てくれてすごく助かりました…それでその、ボクとしても…うん、お返事としては…」


「ボクも、インコさんとお付き合いしたい」


 夜の闇にも負けない、王咲さんの笑顔が咲き誇る。

 王咲さんは私の手を更にぎゅっと握ると、手の甲に唇を近付けて「チュッ」と音が弾けた。

 同時に、私の手の甲から熱い感触を感じる…。

 王咲さんは柔らかく微笑んで…。


「まだ初めましてだけど、これからお互い深く知っていきたいな」

「まさか告白されるなんて思わなかった…でも、これからよろしくね?インコさん」


 ふふっと王咲さんの笑みが夜に溢れた。



※あとがき

急いで書いたぞこらぁ!

なんか一回エラーで全部吹き飛んで泣いちゃったぞこらぁ!

あとなんかお互いの意図がズレてるぞこらぁ!


と、まぁ王咲さんはすっごく根のいい人です。

言う言葉が全て本音なので、多分王咲さん視点の話は書かないと思います。

とはいえ、この話はまぁ短い話だと思うのでそれなりに楽しんでくれると嬉しいです。


最後に、なんだか大変ですけど、ささ恋…すごく面白いですよ(ヒソヒソ

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