前世ではブサイクとバカにされた俺は美醜観が逆転した世界でモテすぎて困ってます

まめざかたろう

第1話 転生

「お前顔きめぇんだよ!死ねよブサイク!」

中高年の頃から俺はこう言われ続けた。

また、殴られたり、蹴られたりした。いわゆるいじめである。

教師は助けてくれなかった。そのいじめていたやつが容姿が優れており、成績優秀だったからだ。

そして、俺はそれを苦にし、自ら命を絶った。





………………ここは?


私は気がつくとベッドで寝ていた。ここはどこだろうか?

「あっ!気がつきましたか?」

横には金髪のヨーロッパにいそうな美少女が座っていた。

「すみません…ここは…」

そう尋ねようとしかけてるとき、はっと思い出す。

…そうだ、こんな俺がこんな美少女と話すなど、あってはならない。きっとこの金髪美少女を不快な気持ちにさせてしまう。

「すみません、すぐに消えます。ありがとうございました。」

そう言って、ベッドから起き上がり去ろうとすると、

「待ってください!」

美少女に腕を掴まれ、引き留められる。

「いくところも無いでしょう?良ければ私の家に泊まって行きませんか…?」

予想外の提案に俺は驚く。こんな俺にこんな美少女が触れるだと…しかもお泊まりの提案!?これは現実か?

「あっ…ええと、俺みたいなブサイク、どうして?」

すると金髪美少女はとても驚いた顔で

「ええ!あなた程顔が整った方、みたことありません!ブサイクなんてまさか、とんでもない!誰がブサイクなんて言ったのですか?」


「ええと…学校のクラスメートに…」

するとその美少女は今度は少し怒った顔で

「それはきっと嫉妬ですね!きっとあなたが美しすぎて、妬んだのでしょう!」


ふむ…どういうことだ?世の中には「ブス専」という特殊な性癖を持つ人間がいることは聞いたことがあるが、それにしてもおかしい。もしかして俺は美しさと醜さの概念が逆転した世界に転生したということなのか!?


それなら…

「もしかして、魔法とかあったりします?」

美少女に尋ねてみる。

「えっ?当たり前じゃないですか。もしかして魔法をご存じでない?では私が教えてあげましょう!その前に、私の家に泊まることは承諾していたけますか?」


魔法がある!これは転生前によく読んでいたラノベ小説とほぼ同じ!ゲームのような「ステータス画面」などはないようだが…まあ現実だから当たり前だろう。


「もちろん!あなたのような美しい方と同じ屋根の下で生活ができるなんて、これ以上の幸せはありません。お名前を聞いても?」


「私はマーガレット・レミーと言います。レミーと呼んでください。」

彼女は少し照れながら自己紹介をしてくれる。

よく見ると彼女はスタイルがとてもよく、健康的な体をしている。

「では魔法をお教えましょう。」


庭に出て、彼女は言う。

『まず火を出す魔法です。「ファイヤーバーン」と唱えてください。』


彼女はそう言い、ファイヤーバーンと唱えるとぼおっとマッチより少し強い火が出た。


『なるほど…「ファイヤーバーン」!』

俺がそう唱えると、爆発のような音が鳴り、激しい炎が出た。

「えぇ!これは火を出す魔法ですよ!?この炎は最強の火炎魔法クラスですよ!?」

レミーはとても驚いた顔をしている。

正直、俺も驚いた。


「あなた、本当に魔法初めてですか!?いや、上級者でもここまでは…」

彼女はぶつぶつと言っている。

いや、普通に言われた通り唱えただけなんだが…


「そうだ、聞き忘れていました!あなたのお名前は?」

レミーが尋ねる。

「俺の名前は西園北斗。ホクトだ。」

力強く返す。

もしかしたらこの世界で俺は最強かもしれない。

「ホクトさん…よい名前ね…」

レミーは恍惚としながら呟く。

「他に魔法を教えてくれる?」

俺が尋ねると、

「それは…」

レミーが言いかけていると、

「ちょっと~なんの騒ぎ~?」

そういって青髪の、これまた美少女が駆け寄ってくる。

俺が振り返ると、彼女は驚き、

「ちょっと…あんた見ない顔だね…どこから来たんだい?」

「ああ、俺は…」

俺が答えようとするのを遮り、

「この方はホクトさん。今日倒れているのを見て、私が保護したのです。リンナさんはどうされたのですか?」

レミーが答えた。

するとリンナと呼ばれていた女が

「ふーん。ホクト!私の名前はリンナ・プルシナ。

この辺で農業をやってるよ!めっちゃイケメンじゃん。これからよろしく!」

そう言って手を差し出す。握手を求められているようだ。俺が握り返すと、そのままハグとキスをされた。これがこの世界の文化か。

「んで、レミーよ、何をしてたんだ?」

リンナが尋ねると

「ホクトさんに魔法の教えていたの。どうやら火炎属性が適正属性だわ。」

適正?魔法は1属性しか使えないのか?

「えーっと、魔法ってのは1人につき1属性しか扱えないのか?」

俺が聞くとリンナが

「察しが良いね!そういうことだ。つまり私の水属性の魔法は扱えない訳だ。」

と残念そうな顔をして言う。


いや、俺は異世界転生した、神に選ばれた人間(かも)だ。

「リンナ、一応その水属性の魔法の言葉を教えてくれるか?」

『ん?意味ないと思うけどまあ良いよ「スプラッシュウェーブ」ってのだ。』

スプラッシュトルネード…何となくイメージが湧く。いくぞ!

『「スプラッシュウェーブ」!』

ザバァァァァン!


とてつもない大波が発生し、そこら辺にいた虫や草花を流してしまった!


「なに…ただの基礎魔法だぞ!こんな大波…水属性でも最強クラスだ!お前、水属性の方が良いんじゃないのか!?うちに来いよ!」

「まさか…こんなことが…ってリンナ!それはダメよ!ホクトさんは私の家で暮らすの!」


リンナとレミーが騒ぐ。やれやれ、ブサイクでも辛いが、モテるのも困るな。


それはそうと、確信した。俺はこの世界で、美少年天才魔法使いだ。


「ホクトさんは天才ですね!これなら今月ある魔法比べの大会に出場すれば、優勝間違いなしですね!」

「ああ、そうだな。」

レミーがそう言い、リンナが同調する。


そうか、魔法比べをする大会があるのか。よし、その大会で名を挙げて、この人生では幸せを掴んでやる!

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