2024年夏頃、『シンの物語』を一気読みして消えてしまったあなたへ

青燈ユウマ

忘れられない人への手紙

【これは実話です】


ずっと忘れられない人がいます。

もう一度会えたらお礼を言いたいとずっと思っていましたが、まだ会えていません。


もし、ご本人様が読んでいらっしゃったら、メッセージを下さると嬉しいです。もしかしたら、すぐにメッセージを返せないかもしれませんが、必ずお返事します。



2024年夏頃(8月頃だったと思う)、私の代表作『シンの物語』を深夜に一気読みしてくれた方がいました。深夜4時頃です。


当時、私は心配事が多くて寝付きが悪く、深夜に中途覚醒することがよくあったので、トイレついでにカクヨムを開いてそのことに気がつきました。

午前4時にどんどん応援のハートが押されていくのを見て、驚いたのを覚えています。


そのあと寝てしまったのですが、朝起きたら42話くくらいまでハートが押されていました。


その日は、平日だったため(たしか水曜だった)会社に行き、帰宅してからその方のエッセイを見たら、相当お疲れのようでした。

というのも、『シンの物語』は児童虐待がテーマで残酷な描写も多いので、感受性の強いその方はショックを受けてしまったようです。


その方がかなり感受性が強い方だというのは、エッセイを読んで分かりました。

日本庭園のような美しい静けさを持つ文章を書かれる方でした。


この時点で何かメッセージを入れておけば良かったと今では後悔しております。

その方のエッセイには、精神的に乱れたものの、気持ちを整える様々な工夫をしていると書かれていました。

具体的な方法についてはこの場では伏せますが、ご自身で精神を整えられたようでしたので、心配ではありましたが、私からメッセージを送ることはしませんでした。



次の日の朝、目覚めると深夜にハートが最終話まで押されていて驚きました。

69話18万字を僅か2日で……

しかも、あれほど感受性の強い方が……


さすがに心配になりましたが、この日も朝から仕事だったため、朝メッセージすることができず出勤しました。

ですが、仕事中でもその方の体調が気になってしまい、ずっとソワソワしていました。


昼休みにカクヨムを確認すると、その方がレビューを書いてくれていました。

その時の衝撃といったら……


ちゃんと受け止めてくれたんだ、と

あの残酷な話を丸ごと受け止めてくれたんだ、と…

あの時の感動は忘れられません。

闇夜に無数の星が瞬いたような、そんなレビューでした。


だから、帰ったら、お礼を言わなきゃと強く思ったんです。

その日の昼休みは時間が無くてメッセージを送ることができなかったから

帰ったら、必ずお礼を言おうって


なんて言おうかなって

ずっと帰り道考えてて


帰ったら、その方のアカウントが消えていました。

当然、素晴らしいレビューも、つけていただいたハートも、全てが幻だったかのように消えていました。


……


カクヨムからメールが来ないように設定していたため、レビューのメールが残ってるなんてこともありません。

メールの受信数が膨大になって、クレジットカードやら何やらの重要な通知が埋もれるのが嫌で、できるだけ受信しないようにしていたのです……。


……


もし、会えるならもう一度会ってお礼を言いたいです。


あなたの清らかで慈愛に満ちたレビューは、私の心に深く染み入りました。

本当にありがとうございました。

お身体は大丈夫でしょうか?

無理をさせてしまって申し訳ありません。

あんな暗い話にもかかわらず、完読してくださってありがとうございます。

あなたが強い興味を持って情熱的に最後まで読みきってくれたこと、作者として無上の喜びであります。


ちょうど迷いの多い時期でしたが、あなたの言葉は私の気持ちを押し上げてくれました。


本当にありがとうございました。


できることなら、もう一度お会いしてお話したいですが……


お会いできなくとも、

あなたの清らかな感性は、あなたの、そしてあなたの周りの方の人生を照らす光になると信じています。

どうかご自分を大切に、これからの道を歩まれてください。

心豊かな毎日を過ごせますように。



2025.1.4


【追記】

このことを公表して良いのか、ずっと私の心に秘めていた方が良いのか、今日までずっと迷っていました。

ずっと何ヶ月も考えていて、一度は心に秘めたままにしようと思いました。あなたの状況が分からなかったからです。


だから、あなたが連絡をくれるのを待つことにしました。いつかアカウントが復活することを期待して……。


ですが、あれから数ヶ月が経って色々考え直して……。

今、どうしてもこの手紙を書きたいと思いました。

このまま、あの感動を、どこにも書き記すことのないままは嫌だったんです。

だから、私の気持ちの整理という意味でも書かせていただきました。


綺羅星のような経験を、ありがとうございました。

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2024年夏頃、『シンの物語』を一気読みして消えてしまったあなたへ 青燈ユウマ @yuma42world

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