第四章 「新し物好き」

「新品の白いスニーカー」を至極気に入った私は、しばらくそれで出かけた。

 目新しいスタイルは私を高揚させたし、どこへでも歩いていけるような翼に早変わりした。

 どこへ行くにもこの「白いスニーカー」。履き物を多く持たない私は、もうひとつの「黒いブーツ」とを、交互に履いた。


 ビジネスシーンでも「白いスニーカー」は意外にも役に立つのだと気づく。

 上下かっちりしたスタイルをカジュアルダウンさせても清潔感を保てるので、普段のオフィスでもプライベートでも重宝した。


 ただ、分かってはいたもののやはり「新品の白いスニーカー」は徐々に「汚れたスニーカー」になっていった。


 傷や擦れ、黒っぽい線、

 土や泥を被り、臭いまでつく。


「汚いかもな。」と気づいた時にはもう遅い。

 洗っても落ちないので、極度に落ち込む。


「白いスニーカー」の良さというものは履き始めの2週間くらいではなかろうか。

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