第35話 辺境の村ダンジョン バージョン2 地下四階① 最終点検
「よし! 行くか!」
早朝、しっかりとダンジョンへ行く準備をして向かった。
【辺境の村ダンジョン バージョン2 地下四階 解放!】へ!
しっかりと最終点検をして、新たなダンジョンに挑む冒険者の手助けをしたい。
「お待ちしておりましたわ」
森を抜けてダンジョン前まで来ると、ミレーヌとサウスさんが待っててくれた。
「これ。焼きおにぎりと自家製漬物とから揚げと、入れ物に入っているのは豆腐とわかめのお味噌汁。お腹すいたら二人で食べて」
自分の分と二人の分のお弁当を作ってきた。
「あ、でも……。ミレーヌ達は自分で用意していたかな?」
食べるものに不自由はしてないか……。余計な事だったかな?
「いいえ。マオ様のお料理の方が魔力もたっぷりですし、美味しいですのよ。ありがとうございます」
ふふ……と微笑んで、ミレーヌは僕からお弁当を受け取った。
「じゃ、行ってくる!」
僕は念のため、ダンジョンリストバンドをつけて中へ入っていった。
◇地上一階◇
相変わらず、ジメジメしていて大キノコが増えていた。
「大キノコは、初心者がとりあえず武器を使って倒していけば進めるレベルだけど……」
今日からバージョン2だ。どう違うか、冒険者たちは実際にダンジョンへ入って体感してほしい。
「うわっ!」
大ナメクジが、襲ってきた! 自分の太ももくらいの大ナメクジだった。壁からぴょん! と飛んでこちらへ飛んできた。
ザシュッ! ボトボト……。半分に切れて地面に落ちた。ネチャネチャしている。
「ちょっとやだな……」
あまり増えすぎないように注意しよう……。そう思いながら、大キノコと大ナメクジを倒しながら地下一階へ進んだ。
◇地下一階◇
ここは大ゴミムシダマシと大ミルワームが生息している。魔物に囲まれて、リタイアする冒険者が多数いた。大ミルワームを一定数敵を倒さないと扉が開かない仕組みだ。
少し乾燥した場所。大小の岩が冒険者の視界を阻む。耳を澄ませて、大ゴミムシダマシの動く音を警戒しなくてはいけない。
ガサササ!
「んっ!」
グシュッ! 腹に一突き、急所を狙った。ブシュッ! 剣を引き抜き、横に払った。
僕はレイピアから片手剣に変えた。ジーンのように大剣を扱えないし素早さなら僕のほうが勝るので、手数を多く出せる片手剣に変えた。
レイピアは良かったけれど、ケルベロスの子供と訓練していたら折れてしまった。
ここから岩の隙間を走って抜けて、突き当りの木々が朽ちた大ミルワームの潜んでる場所へたどり着く。
合図のように、おがくずが溜まり盛り上がった地面をギュッと足で踏みしめる。地面が揺れて大ミルワームが数匹、下から出てくる。
ギィユ――ィィィ……!
「うわぁ……」
何度戦っても、この出現仕方はドキドキする。頭を地面に叩きつける攻撃は、避けても地面が揺れて肝が冷える。
一匹が真正面から襲ってきた。
「はあっ……!」
斜め上から下まで剣を振り落とし、真っ二つに切った。
ギィ――ィィィ!
次、右の大ミルワーム!
向きなおして今度は下から上へ! 両手に持つ片手剣で交互に切り裂いた。
五匹、六匹……。ドシン! と真っ二つに倒すたび、地面に地響きさせて落ちた。
「うん? バージョン2は、十匹ほど倒さなくてはダメかな?」
七、八、九、十匹!
ガガガガガガ……! やはり、十匹倒さなければ地下二階への扉が開かなくなった。
囲まれないように、奥から下がりながらの戦闘はなかなかハードだ。
「ギリギリ、初心者でクリアできるくらいかな?」
ダンジョンのバージョン2を体験しながら、安全か・クリアできる難しさかを点検していく。
扉の中へ入れば、休憩所&宿泊所だ。
緊張感から解放されて、薄暗い通路を下りていく。冒険者にとってはホッとする時間だろう。
◇地下二階◇
「魔王様! いらっしゃいませ――!」
今日も元気に接客してるのは、
「ラウネ、お早う! あれ? まだ営業時間じゃないのに早いね?」
まだ早朝。ダンジョンはまだ開いていない時間だ。
不思議に思っているとラウネが「魔王様が最終点検をすると聞いて、早起きしてきました!」と言った。
「それはありがとう。でも、大丈夫?」
魔族の睡眠時間はわからないけど、ちゃんと寝ないとだめだ。心配になって聞いた。
「大丈夫です! 接客に問題ないように、ちゃんと早寝をしました!」
僕は偉いねと言って、多めに作った焼きおにぎりとから揚げをラウネに渡した。
「うわああああ! 嬉しいです――!」
ラウネは目をキラキラさせて喜んでくれた。多めに作って良かった。
「じゃあ、頑張ってね!」
「はい! ありがとう御座います――!」
僕はラウネと別れて先を進んだ。
◇地下三階◇
ここは石の建物の
石のステージへ階段で登れば、がれきの石が積み上がり、ゴーレムが出現する。今日は点検に来たので、早めにゴーレムを倒す。
ゴゴゴゴゴゴ……!
地響きがしてこちらへ襲ってくる。バージョン2のゴーレムは石ではなく、鉄のボディーのゴーレムだった。
「急ぐから、ごめん」
ドンッ!! 体当たりして、アイアンゴーレムを
硬いアイアンゴーレムに体当たりしても、鍛えた体は何ともない。その隙に片手剣で左右、交互に素早く アイアンゴーレムを切り刻んだ!
ウゴゴゴゴゴゴ――! ドシ――ンッ!
問題なく、アイアンゴーレムを倒した。
「バージョン2 アイアンゴーレムは初心者には難しいかな? いや大丈夫……だと思う」
ちょっと強さは大丈夫かなと思って、後でサウスさんに相談してみようと思う。
次は、地下四階。何度か試しに来たけれど、これまでの地形とガラッと変わる。面白いと思う。
「よし……! 最終点検のため、地下四階へ行こう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます