第34話 新作料理と幼馴染達
「は――い、お待たせしました! こちら、ライスコロッケになります!」
ご飯の中にチーズを入れて揚げたライスコロッケを作った。
玉ねぎ、にんじん、ピーマンなどみじん切りにして、フライパンを熱してからオリーブオイルを入れてみじん切りした野菜を炒める。ご飯をその中に入れて、塩コショウ・コンソメ・ケチャップを入れてまんべんなく炒めていく。
火を止めて完全に冷ましてから、チーズを入れて大きめな丸い形を作っていく。
丸めたご飯に小麦粉・卵・パン粉をつけて、油で揚げる。
レタスなど一緒にお皿へ盛り付けて、ケチャップを少しかけてパセリで飾り付けて出来上がり!
「わあ! なんか可愛いわ! 美味しそう!」
手伝いのママさん達が興味津々で、出来上がったライスコロッケを見に来た。
「味見をどうぞ!」
一つずつ、お皿に乗せて渡した。
「あら! 美味しい!」
「チーズがとろりとしていいわね!」
「これは子供も喜ぶわ!」
子供も美味しく食べられるからいいと言ってくれた。
「わああ! 美味しそう!」
お祝いに来てくれたみんなも喜んでくれた。
「中からチーズがトロリと……、あちち! ハフハフ……うまい!」
「やけどしないように、気をつけて召し上がって下さいね!」
揚げたてで熱いので、やけどに注意。
キッチンからみんなの美味しそうに食べている顔を時々見ながら、次々と料理を作った。
「ありがとう、マオ! 美味しかったよ! 頑張れよ!」
「また忙しくなりそうだな! 村のみんなで頑張ろうぜ!」
そろそろお祝いパーティお開きの時間。帰っていくみんなが、声をかけてくれて帰っていった。
「マオ! 食事や飲み物も美味しかったよ!」
ルルンとジーンとベルが僕の所へ来てくれた。王都に行った舌の肥えたルルンにそう言ってもらえて嬉しかった。
「私は自分の家に一泊して、明日ジーンとともに王都へ帰る」
「え? ジーンと王都へ……」
そういえばジーンは17才になったら、騎士になるため王都へ行くんだった。
「俺は二年間、マオと一緒に血のにじむような努力をした。絶対、騎士になってルルンと平和な国にする!」
ジーンはこぶしを握って力強く宣言した。背中には大剣を背負っている。
「明日、二人を見送りに行くよ! 頑張って! ジーンなら騎士になれる!」
僕はジーンと鍛えた日々を思い出しながら伝えた。鍛えた筋肉は裏切らない!
「私も見送りに行くわね! 二人とも無理しないで頑張って!」
ベルはちょっと涙ぐんで二人に言った。人差し指で目尻を拭っている。焦ったジーンが、ごそごそとポケットからハンカチを取り出してベルの頬を拭いてあげた。
「……やだ、それ、きれいなハンカチなの?」
ベルは泣き笑いしながらジーンに言った。
「へっ!? ちゃんと洗濯したのを持ってきたよ。全く……」
呆れてジーンはハンカチをポケットにしまった。
「あはは! ベルらしい! 王都に行っても皆、幼馴染だというのは変わらないよ!」
ルルンはベルの憎まれ口に笑って言った。
「そうだね」 ――そうだといいけど。心の中で僕はそっと思った。
「じゃ、お休み!」
「お休みなさい!」
「明日!」
「お休み!」
お祝いに来てくれた人達を見送ってから幼馴染の皆も見送り、僕はお食事処の椅子に座りこんだ。
「お疲れさまでした。マオ様」
ミレーヌとサウスさんが、果実水や軽食を持って来てくれた。
「作るばかりでお食べになってないでしょう? どうぞ」
サウスさんが果実水の入ったコップを渡してくれた。
「ありがとう! 喉がカラカラだった」
ゴクゴクと一気に飲んだ。
「……まさかマオ様の幼馴染の一人が、勇者になる者だったなんて」
ミレーヌが閉まっている扉の方を見て言った。
「うん……。でも、大丈夫だよ。きっと」
確かにルルンが勇者になるなんて思いもしなかったけれど、僕は世界を滅ぼす気なんてないし、美味しい料理を出す宿屋をオープンさせてこれから頑張るところだし、関係ない。
「それより! 明日からダンジョンをバージョン2にして、地下四階を解放する!」
僕はライスコロッケと、串に刺したリール村産牛をモグモグ食べながら二人に言った。
「また早朝に僕が最終点検するから、よろしくね」
「「はい!」」
前々からそろそろダンジョンの地下階を、解放してほしいとの要望が上がっていた。初心冒険者たちが慣れてきて、新しい地下ダンジョンを解放することにした。
地下四階は、なかなか面白い冒険になりそうなところだ。明日早朝に最終点検して、問題なければ解放となる。
後片付けをして僕達は各自、明日に備えた。
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