第2話 早坂硬
「みんなおはよう!」
朝から門に立ち、腕章をつけてあいさつをする。これが風紀委員長のモーニングルーティン
「朝から元気だねー、委員長」
「生徒会長、おはようございます。いつも言ってますがスカート短いし、ピアスは外してください」
メガネをクイっと上げながら厳しい目を向ける。
「おっと、それは聞けない相談だなー。だってこれしたいから生徒会長になったんだもん。あと、生徒会長じゃなくてヒナタって呼んでっていつも言ってるでしょ」
この人は清水日向。見た目はギャルっぽいが成績も優秀で先生からの評判もいい秀才。人望も厚く生徒からの人気の高さから生徒会長になったエリート。ちなみに生徒会選挙では早坂硬を圧倒的差で勝った女だ。
「何で僕はこんな適当な人に負けてしまったんだ」
その発言にヒナタは腹を抱えて笑った。
「それ本気で言ってる?そりゃそうでしょ。男は坊主、女はおかっぱなんて校則にしたら誰も入れてくれないよ。あー、やっぱり君は面白いな」
「もういいです。とにかくまだ変更されていない以上はピアスとスカートを校則通りにお願いしますよ!ヒナタ先輩」
「はいはーい、じゃあねー」
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昼休憩
「そこの君!学校でなんてものを読んでるんだ!」
「やべっ、風紀委員長だ」
「隠しても無駄です。学校に関係のないものの持ち込みは禁止です。よって没収します」
「そんなぁ...」
没収した本を先生に預けるべく廊下を歩いていると
「おやおやー、風花委員長の硬くんじゃないですかー。えっちな本は学校に持って来たらダメですよ」
「これは生徒から没収して先生に預けにいく最中です」
「本当かなー?そんなにえっちなものが見たいならちょっとくらい見せてあげても」
スカートを少しずつ捲し上げる。
「興味ありません」
メガネをクイッとあげながらそっぽむいていた。
「あー、君はおっぱい派だったか」
そう言いながら少しワイシャツを下にずらした。すると急に手首を掴み
「ちょっと、やめてください」
顔を赤くし、そっぽ向きながら言った。その後腕を離して早歩きで去っていった。
ふぅと溜息をついた後、赤くなった顔を手で覆い、座り込んだ。
「なんか悪いことしちゃったかな。でも急にあんな顔するなんでずるいよー」
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放課後
(あまりにヒナタ先輩が変なことをするからって、急に手首を掴んでしまって失礼だったよな。謝らないと)
そう思いながら先輩を教室まで迎えにいく。
「おーい、ヒナタ。彼氏くんが呼んでるよ」
いつもヒナタ先輩の周りにいる友人らしき人が笑いながらからかってきた。
「僕たちはそういう関係じゃ...」
「お待たせ彼氏くん。一緒に帰ろっか。じゃあねー、みんな」
そこから門を出るまで無言のまま進んだ。
(ヒナタ先輩が変なことを言うから気まずかったんだ)
『あの、』
同時に話しかけた。
「お先にどうぞ」
「じゃあ僕から。今日は、急に手首を強く掴んでしまってすみませんでした。痛くなかったですか?」
「痛かったよー。まああれに関しては私がからかいすぎたのが悪いから。こちらこそごめんね。ていうかそのためにわざわざ教室に?」
「笑わないでくださいよ。気になったので」
「へぇー、そっか。気になりすぎて授業に集中できなかったか」
「はい」
「へぇー、そっか。...そっか。」
「...」
「ヒナタ先輩も僕に何か言いたいことあったんですよね?」
「いや、私も今日のこと謝ろうと思って。嫌がることしちゃったなと思って」
「嫌じゃなかったです。ただ、恥ずかしかったのと近くに男子生徒が見えたので」
「ふぅーん、そっか」
また無言で歩き続けた。お互い顔を合わせることなく進み続けた。
「送ってくれてありがとね。じゃあまた明日」
「ヒナタ先輩、明日こそはスカートとピアス校則通りにお願いしますよ」
「細かいなー、はいはいわかりましたよ」
軽い挨拶を交わして家へ入る。
「ただいまー」
「おかえり。ヒナタ、顔赤いけど大丈夫?」
「風邪かな?ちょっとゆっくり休むね」
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「おかえりアニキ。アニキ今日何かいいことあったでしょ」
「いつも通りだが」
「嘘だぁ、だって今日口角すっごい上がってるよ」
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