第392話

女子高だからと言って安心出来ねぇ。


【まさか同じベッドで寝てねえよな。】


聞きたいがさすがに聞けねえ。嫉妬してんのがミエミエだしな。成瀬亜依。男だったら間違いなく抹殺対象だ。

いつもの通信を終えた後も俺はしばらくパソコン画面を睨み付けていた。


「おや、これはまた不機嫌ですね。

春菜さまが居ないとてきめんですか。

少しは大人になって下さい。」


翌朝、嫌みたらたらで寝起きの俺に声をかけたのは充だった。


「寝起きだ。構うな。」


ふん!と鼻を鳴らすと


「匠兄、ご機嫌わるいの?」


充の後ろからひょっこり顔を覗かせたのは隼人だった。


「おはよう隼人。充は俺をからかっただけだ。」


わしわしと隼人の頭を撫でて隼人の持つプリントに気が付いた。


「どうした?それ。」


差し出すプリントを覗くと


『保護者会のおしらせ。』と書いたプリントだった。一年生になって始めての保護者会か。


「パパはご用で来れないの。」


成る程、それで俺か。


「充、スケジュールは?」


「少しの時間なら取れますよ。」


「わかった。隼人、俺が行く。」


「やった!」


小さな弟はパアッと顔を綻ばせた。


「ご兄弟、仲がよろしいんですね。」


凍夜が呟いた。


「連夜とお前だって仲いいだろ。」


俺が隼人を抱き上げて聞くと


「隼人さんみたく素直な性格なら良かったと思います。」


何を思い出したのか、凍夜は苦笑いした。

確か凍夜と連夜は両親亡くして七瀬組に世話になってたな。賢い奴だからガキの頃から変に気を使ってたんだろう。

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