不安の解消

夫婦の会話

第2話

春菜が桜華学園の3年生に上がる春休み。

最初の日に春菜は学園から直に松江に帰って来た。


「春菜ねぇっ!」


「隼人くん!またおっきくなったね。」


チッ!俺より先に隼人が熱烈歓迎しやがった!たたたたっと俺の足元を駆け抜けて、春菜に飛び付いた隼人に舌打ちが出る。


「大人気ないですよ。」


充は無表情で呟きやがるし、


「匠。ただいま。」


それでも隼人と手を繋いだ春菜が俺に笑いかければ


「お帰り。」


俺は口許が緩むのを隠せなかった。


「だらしない。」


橘までからかいやがる。

うるせえよ!自覚済みだ。文句あるか!!

俺が春菜に気付かれないように橘を睨み付けてると


「隼人くん、ちょっとまってて、匠と大事な話がしたいから。」


春菜がしゃがみこんで隼人の目を見ながら話している。そうだな。お互い話をするためにここにいるんだよな。


「おはなし?それ長いおはなし。」


「そうだね。どうかな?」


隼人の質問に春菜はしゃがんだまま俺の目を見た。俺は春菜の横に並んでしゃがむと隼人に話しかけた。


「沢山話があるからな。晩飯までは隼人と遊べねえな。」


「ええ~っ!!」


隼人が頬を膨らませた。今はまだ昼前だから不満なのは良くわかる。


「その代わり昼飯は若頭邸で3人で食べよう。」


俺の提案に隼人は喜んで跳ね回った。


「やったぁ!春菜ねえも一緒っ!!」


「そうに言えば、隼人くん子供部屋で寝てるんだっけ。」


「うん。匠にぃが寂しいから。」


「そっかぁ。隼人くん優しいね。」


春菜の声に苦笑する。

寂しがりは隼人の方で親父がいない時は俺のベッドに潜り込むことも多かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る