第5話(学校のお昼休みにて…)




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「ハルカいいなーーー。アタシも一年生からちゃんと勉強しておけばよかったよー…」




お昼休みの教室で机をくっつけ、お弁当を広げる。


高校三年生の私は肩につきそうな長さの髪を、そろそろ結ばないと生徒指導に目をつけられるなと思いながら手櫛でとかしていた。




友人の愛は片方の頬を机にくっつけ、単語帳を開き、唐揚げをモゴモゴ頬張りながら私にいちゃもんをつけてくる。


愛は部活を引退してから、ベリーショートだった髪が少し伸びてきていた。




「まあぶっちゃけ、勉強頑張ってたからね。でも、指定校推薦もらえたのはラッキーだったよ」

「あーあー。もう勉強したくないー。バレーしたいーーー」

「愛は副部長として頑張ってたんだから、内申点は良い方なんじゃない?」


「副部長だよ!


 “ 副 ” 部長!!!


 所詮、部長様のおまけにすぎませんよ…。


 しかも部長級やエース級がゴロゴロ入る体育系の学部だと、副部長なんて珍しくもないよー


 それに、ハルカは生徒会で頑張ってたじゃん!やっぱ、生徒会役員って名前だけでもかっこいいもんね!」


「ちょっと!私が生徒会役員になったのより、そこで何をしたのかが大事だったんだよ?わかってる?」


「???」


「もー!

うちは進学校だけど、そこまで生徒会の活動は熱心な方ではなかったじゃん?

選挙とかないし…だから役員になるのは簡単なの。


でも、役員になってから掲げた目標とか行動力が評価されたの!


って先生が内緒で言ってた…」


「そっかー。たしかに、ハルカが2年で役員になってから学校の雰囲気ガラッと変わったよね。

リサイクルポイントの導入とか、体育祭とか文化祭行事の装飾を翌年も使えるものを多く取り入れるとか…」


「そーそー。

ポスター書ける子に依頼したり、装飾の管理とか…

一番大変だったのは、計算得意な役員にリサイクルのポイント制がどのくらいなら収益として実現可能か割り出してもらったり…


やー、結構色々したなあ〜〜


だから、もし面接とかあるんだったら、副部長で何をしたかとか補佐役として自分がどう役に立ったか、を言えると好印象なんじゃないかな?」



「…ハルカ、大学行ったら周りいい子ちゃんばっかりになるんじゃない?大丈夫?」


「やー、どうだろうね。入ってみないとわかんないよ!でも、もっと環境とか経済の専門的な勉強ができるから楽しみだよね」


「いい子ちゃんは違いますな〜〜


 …あ、おかずちょうだい?」


「もう!早弁で半分以上食べるのが悪いんでしょ!」


「だって、部活引退したら弁当一個減らされたんだもん!」


「愛ちゃんママ、朝からあの量のお弁当毎日作ってくれてたんだから、少しは休ませてあげてよ!」




愛は野球部男子のような量の弁当を二つ持ってきて、綺麗に完食し、部活後にはロッカーに入れてあるプロテインまで飲んでいたので、相当なカロリーを摂取していたのには違いない。




「運動しなくなっても、胃袋の大きさはいきなりは変わんないんだよ〜」




私は愛を無視し、お味噌汁の入っている保温容器を開け、もう一つの箱を開けた。


しかしその瞬間固まってしまった。








「あ、またハルカの弁当に麺入ってる!」


「もーー!お母さんに伸びてるし、ひっついてて食べづらいからやめてって言ったのにー!!」


「アタシのお母さんには同情するくせに、自分のお母さんには文句タラタラですか?」




ニタニタと笑う、憎ったらしい愛を優等生な私は睨みつける。




「うちはうち、よそはよそ!」




「まあまあ!味噌汁につけて食べれば良い感じになるよ!ほら、アタシが試してあげるよ!」


「もーー!やめてよーー!」





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あの時は文句ばっかり言ってたけど…


お母さんのお味噌汁、また食べたいな…


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