君の中の「力」が世界を変える!

まさか からだ

第1話 はじめに ~君の中に眠る力~

「ねえ、知ってる?」

 放課後の教室で、窓際に座るリクが突然言った。夕日が差し込む窓ガラスに映る彼の瞳は、何かを知っている人のようにキラキラと輝いている。


「なに?」と、隣にいたカナは首をかしげた。


 「僕たちの中にはね、目に見えない力が眠ってるんだよ。それがエネルギーってやつ。」


 カナは半信半疑だったが、リクの真剣な表情を見て、少し興味を持った。


 「エネルギーって、電気とかそういうの?」


 リクはニヤリと笑うと、両手を広げて教室の天井を指さした。


 「電気とか火とか、そういうのもエネルギーだけど、僕たちの中にあるのはもっと特別なもの。見えないけど、未来を変えられるくらいすごいんだ。」


 「未来を変える?」カナの目が少し大きくなった。「どうやって?」


 リクは机に腰を下ろし、声を少し潜めた。「それを知るためには、冒険に出なきゃいけない。君も行く?」




 その夜、カナは不思議な夢を見た。広い夜空に無数の星が輝く中、彼女は宙に浮かんでいた。星々が歌うような音を奏でる中、一つの星がゆっくりと近づいてきた。その星から聞こえてきた声は、リクの声に似ていた。


 「カナ、君の中にも力がある。その力を目覚めさせれば、どんな未来でも作れる。」


 目が覚めた時、カナは胸がドキドキしているのを感じた。あの夢はただの空想じゃない気がする。




 翌日、リクは秘密の場所に連れて行ってくれると言った。学校の裏山を抜け、木々の間を進むと、そこには古びた小屋があった。


 「ここは何?」


 「これが始まりの場所だよ。」リクが扉を開けると、中には古い本棚と不思議な装置が置かれていた。


 リクは本棚から一冊の分厚い本を取り出した。表紙には「エネルギーの秘密」と書かれている。


 「これが僕たちのガイドブックさ。」


 本を開くと、ページの文字が光り出した。文字はカナの目の前で動き、絵や映像のようになっていった。それはまるで映画のような体験だった。




 本が語るには、エネルギーは私たちの心と体に流れている目に見えない力だという。怒ったり、悲しんだりするとエネルギーが低下し、逆に笑ったり感謝したりするとエネルギーが増える。


 「このエネルギーを上手に使える人はね、未来を自分の思うように変えられるんだって。」リクが説明した。


 「でも、どうやって使うの?」


リクは少し考え込んでから、小屋の隅にある小さな鏡を指差した。「まず、自分の中のエネルギーを見てみるんだ。」


 カナが恐る恐る鏡を覗き込むと、鏡の中に自分の姿が映る……はずだった。ところが、そこに見えたのは、光と影が入り混じる不思議な形だった。


 「これ、私?」


 「そう。君のエネルギーの姿だよ。」


 リクの言葉に驚きつつも、カナは興味を持った。「これをどうやって変えるの?」


 「心を整えるんだよ。」リクは笑顔で言った。「楽しいことを考えたり、誰かを助けたりすると、エネルギーはどんどん強くなる。それが第一歩さ。」




 二人が話していると、小屋の外から風が強く吹き込み、机の上にあった紙が舞い上がった。その紙には、「旅の地図」と書かれていた。


 リクはそれを拾い上げると、ニヤリと笑った。「これが次のステップだね。行くよ、カナ。冒険は始まったばかりだ!」


 カナも笑顔になり、リクの後を追った。どんな冒険が待っているのか、まだ想像もつかない。でも、カナの中には不思議な期待とワクワク感があふれていた。


 こうして、二人の冒険が始まった。未来をひらくエネルギーの秘密を探る旅へと――。

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