第4話

 猿(秀吉)が水面下で動いているけど、織田家は揺るがない。織田家転覆を画策しているのであれば、粛清も視野に入れる必要があるけど、どうやら資金不足をどうにかしたいらしいので、今は放置にする。


 それと細川藤孝は政治に復帰させた。

 仏門に入っても、まだまだ働いてもらう。逃がさないよ? 隠居はまだ先ね。


「一族連座なら、細川家も逃げらんないよ? 光秀に協力しなかったとしてもだね。それよりもさ、丹波を安定させてくれない? それで織田家に忠誠を示してよ」


 明智光秀が平定した土地だ。その後任を任せると、細川藤孝は涙を流して頭を下げた。

 それと細川ガラシャだ。

 子供を切り捨てたとか聞いたことがある。

 謹慎処分として、自刃は許さない沙汰を出した。

 後日、嫡男の細川忠興が菓子折りを持って挨拶に来たよ。これで、細川家は味方になったな。



「え~と、この後は柴田家と羽柴家で諍いが起きるんだよな」


 部下が、寝返ったりして戦の口実を与えてしまう。

 これは、止められないと思う。

 ならば、逆手に取るべきだな……。


 俺は滝川一益、織田信孝と手を結んで織田家の均衡バランスを保つことにした。丹羽長秀と池田恒興は、今のところ味方だ。

 たしか、猿(秀吉)は滝川一益を攻めるんだったよな……。


 だけど、歴史とは異なってきた。

 秀吉は、酷い金欠で兵を集められなかったみたいだ。

 『人たらし』と呼ばれた秀吉だけど、金で釣っていた部分もあるんだろう。

 部下たちも、離れて行っているみたいだ。


 だけど、秀吉の領土は大きい。軍資金程度なら、数年で回復するだろう。この時代で最も重要なのは、人材だ。人材を失った秀吉など、恐れるに足らない。


 織田家内紛を外の戦国大名に知られることになるけど、今潰すか、待って搦め手を使うか……。いや、もう知られているか。国境が危ないかな。特に毛利だな。秀吉に恨みがあるだろうし。

 それと、四国だ。長宗我部をどうすっかな~。

 考えていると、胡坐をかいていた儂の膝に、三方師様が据わった。


「じいじ……。だっこ」


 三方師様は、俺に懐いてくれる。

 可愛い以外の言葉がない。


「まあまあ、三方師様。じいじ様を困らせてはいけませんよ」


 お市の方も、申し分のない器量だ。

 儂は、三方師様を抱き上げて『高い高い』すると、三方師様が喜んでくれる。

 それと、子供がもう一人ほしくなったな。

 今晩は、ハッスルせねばなるまい。





 秀吉は、滝川一益と争い出したけど、一方的に負けた。

 金のない猿(秀吉)など、こんなもんか。


 それと、俺の養子(甥)の柴田勝豊だな。ちょっと不仲なんだよね。

 官位を上げてやれば、落ちつくだろう。

 三方師様とお市を伴って、近江長浜城に向かうと平伏したよ。これで大丈夫かな?


 あ~、忘れてはいけない、岐阜の織田信孝はどうすっかね。

 信長の嫡子とは思えないほど、バカ殿なんだよな。史実では、猿に担がれて【山崎の戦】の総大将してんだし。

 岐阜は、発展していて収入が多い。


 ちょっと様子を見に行ってみるか。

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