嫌われている女子に罰ゲームで一ヶ月間毎日好きだと告白していたら何故か勘違いしないでよねと婚姻届け持ってきたんだけど……カクヨムコン10【短編】
神達万丞(かんだちばんしょう)
第1話「罰ゲーム一日目」
学生生活……普通に生きるには相当苦労する。カリスマだったら何の問題もない。ぼっちだったら誰の相手もせず自分の世界に入ってればいいだけのこと。でも普通男子高生は違う。ニュートラルに学校生活を平穏無事で送る為人間関係は些細なミスも許されない。常に自分を殺して相手を立てる。口論になっても自分の方から折れる。これが僕こと高橋紹運のストレス以外は溜まらない学校生活攻略法だ。
なので時として困ったことが起きる。
「本当にやるの?」
高橋嫌なのかよ? 負けたお前が悪いんだろとクラスメイト達は諭す。
悪ふざけで始まった賭けカードゲーム。条件は最下位がトップだったやつが指定した女子に一ヶ月オッケーをもらうまで告白すること。
で、よりにもよって僕は負けてしまった。勝負は勝負だ。ここでゴネれば僕は間違いなくクラスでの居場所はなくなる。ぼっち決定だ、それだけは嫌だ。どんなやつでも友達は必要だ。だったらこんな悪ふざけでも約束である以上やるしかない。
僕は日を改めて意を決し指定した相手を呼び出す。
「あんたは確か高橋だっけ。何の用?」
「立花、君が好きだ」
相手は同じクラスの立花道雪(たちばなみゆき)。ショートがよく似合う女の子だ。
無視されると期待していたが、僕の呼び出しに応じるなんて律儀だな。はぁ……。
「は? ふざけている?」
「僕と付き合ってください」
「いやいやありえない。普通に気持ち悪いんですけど」
「ですよね〜」
当然の反応。予想通りで笑いさえ込み上げてくる。
みじめだが好きでやってるわけじゃないのでダメージは少ない。それでももしかしてという気持ちもあったので少しは傷ついた。
立花の後ろには面白がってる悪友達がもっと攻めろと指示を出す。他人ごとだと思って勝手なことばかりほざく。もしバレたとしても僕が嫌われるかあきられるだけなんで、安全圏にいる奴らが羨ましい。
「僕は本気だ。一目惚れなんだ」
「うわぁ、今時いるんだね、こんな痛いセリフ吐くナルシスト……。断られるの分かってアタックしてくるなんて大馬鹿かマゾしかいないわよ」
「やらないで後悔するより、やって後悔したほうがいい」
昨日セリフを全部暗記したのでこの程度だったらアドリブも効く。
「でも答えはノーよ、ノー。あんたみたいなタイプは話すのも同じ空気を吸うのもいやだ。この汚物。生きる迷惑。キモいからもう二度と近づかないでよね」
しっしっと野良犬をおっぱらうように出て行くよう促された。これ以上話しても無駄だろう。僕は退散することにした。
空き教室から出てくると、何で帰ってきたんだよ。情けないな。根性たらんよと悪友達は笑いを堪えながら僕に文句。
「これで終わりにしない?」
ダメだ。約束は約束、ちゃんと守れ。
……こいつらは、自分達には災いが来ないと思って好き放題無理難題を吹っ掛ける。
まあ 一ヶ月と明言したがこいつらは飽きっぽいからそのうち忘れてしまうんだろう。でもそこまで僕の神経が持てばいいけど……。
きつい。泣きそう。
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