不死美少女、なぜか国中から狙われるので全力で逃げ回ります

猫の耳毛

とても不幸な少女

 2030年7月20日、神奈川県川崎市。


 私はいつも通り学校へ向かっていた。


 あと数日で人生11回目の夏休み。


 気温はとても暑く、湿度も80%を超えている。


 これも地球温暖化の影響だろうか。


 日差しが強く、肌が焼けるように暑い。


 ちゃんと日焼け止め塗ったのに。


 私は暑さを我慢しながら学校へ向かった。




 1:45pm




 私は今歴史の授業を受けている。


「今日やるのは、世界で見つかっている能力者達のことだ。教科書の50ページに書かれている。えーと、まず、能力者は自分が偶然能力を発動するまで、自分が能力者であることに気付けない。そして、気付いても、自分から能力者だということを名乗るものも少ない。能力者は政府に保護され、隔離された場所で実験動物として扱われるからだ。誰もそんな目に会いたくない。昔、能力者が発見されたころ、アメリカ政府が隠そうとしたが、ことが大きすぎて隠しきれなかったんだ。だから日本政府は公表している。ここまでで質問あるやついるか?」


 私は1つ気になったことがあった。


 私が手を挙げると先生が私を指した。


「えーと、実験というのは具体的に何をしているのですか?」


 なぜか気になる。


 聞いておかないと、しばらくの間モヤモヤする気がする。


「一応国内で2人目の能力者の実験の様子がインターネットの動画サイトに公開されてるぞ。体を拘束され、能力の動力源を調べるために体中に針が刺されている。もちろん頭にもだ。頭に刺されている針は脳の活動を観察するためだ。」


「あ、はい。ありがとうございます....」




3:25pm




 ......体中に針....脳を観察......


 それとさっきインターネットで確認したが、自由時間は一回もない。


 つまり、ずっと体を拘束されたまま。


 能力者だって、人間なのに。


 私はそんなことを考えながら通学路と通っていたらコンビニの前を通った。


「......今日は疲れたしアイスでも買ってから帰ろうかな。」


 私がコンビニに入ると、そこには、銃を持った、中年の男性がいた。


 紫色のニット帽、黒いパーカー、サングラスにマスク。


 そんな、いかにも強盗らしい恰好だった。


 私は声を出そうと、口を開けたとき。


 男は私に銃口を向けた。


「こ、声をあげるんじゃねえ!撃つぞ!」


 手が震えてる。


 アイツも少しパニックになってる。


 コンビニの出入口はすぐそこだ。


 逃げ切ることができるかもしれない。


『パン!』


 次の瞬間、胸に違和感をお覚えた。


 銃口からは青い煙が出ている。


 .....熱い.....胸が、すごく。


 ....胸を撃たれたのか.....


「お、お前、どうせ逃げるつもりだったんだろ!?そ、そうはさせねえぞ!」


 『パン!』『パン!』『パン!』『パン!』『パン!』


 銃声がなる度に痛みを感じ、辺りに血が飛び散る。


『ボトッ』


 落ちた。


 私の腕が。


 もう痛くてたまらない。


 腕に何回もナイフを突き刺されているような感覚だ。


 私は痛みを必死に堪え、コンビニを出て、横断歩道を渡ろうとしたとき。


 横から何かが迫ってきていた。


 それはトラック。


 もう遅い。


 勢いがついているから後ろに下がれないし、横断歩道を渡り切る前にトラックにぶつかってしまう。


 時間が遅く感じる。


 死ぬ直前になると、1秒が1時間にも感じられることがあるって本で読んだことがあるが、きっとそれだろうか。


 なんで今日はこんなにも運が悪いのだろう。


 嫌だ..まだ死にたくない!


 次の瞬間、私の体に衝撃が伝わってきた。


 私はトラックにはねられたところから5メートルほど離れたところにいた。


 そして、今気づいた。


 私の腕が、少し治っていることに。


 腕の断面から少しずつ骨が生えてきた。


 腕の骨は少しずつ、成長し、指の骨が再生されると、今後は筋肉が出てきた。


 腕の断面から筋肉の筋が伸び、手首の関節まで到達すると、手首からも筋肉の筋が伸びて指の先まで到達した。


 最後に皮膚が再生された。


 再生されたその腕は、再生される前の腕と全く同じだった。


 銃で撃たれた胸も治ってる。


 ...つまり.....私は人間じゃない.....能力者!


 腕がトカゲみたいに生え変わるなんて能力者じゃないとありえない。


 確か、能力者は世界に40人しかいない。


 発見されているのは15人、いや、私を含めて16人。


 電波塔にある機械が人間に特殊能力を与えていると言われていて、能力リストというもので世界中にどんな能力者がいるか分かる。


 公開されているリストの中身は、3分の1だけだ。


 そしてその中に、『Undeadー不死ー』


 というのもがあった。


 私はきっとそれだ。


 『Undeadー不死ー』は不老不死。


 絶対に死ぬことはない。


 私が考え込んでいると遠くから人が、歩いてくるのが見えた。


 マズイ。


 早くここから離れないと。


 私は全力疾走で家まで走っていった。




ー自宅にてー




「お母さんどうしよう、私、能力者だったみたい。『Undead ー不死ー』の能力者だった。切断された腕が再生したの。」


 私は母に自分が能力者であったことを明かし、今後について相談している。


「じゃあ国に保護してもらいえば?」


「でも一生実験されるよ!」


 お母さんの予想外の答えに私は驚いた。


「そんなの噂に決まってるでしょ。国がそんなことやるわけないじゃない。」


 ....ダメだ。


 意見が分かれた。


 それに、お母さんに相談しても解決策はないじゃないか。


「....分かった。私一人で逃げる。お母さんは警察に何を聞かれても答えないで。」


 私はお母さんと一緒に逃げるのは不可能だと判断し、家を出た。


 しかし、どこへ逃げようか。


 おっと、その前に『Undeadー不死ー』について調べないと。


 えーと、


『Undeadー不死ーとは、能力者リストに書いてある通り、絶対に死なない能力で、いかなる方法を使っても死ぬことはない。Undeadー不死ーの能力者は、未だ発見されていない。』


 私はとりあえず近くの山奥へと歩きながらインターネットで、『Undeadー不死ーについて』調べていた。


 あ、そうだ。


 私のこと、ニュースになってるかなー。


 私がスマホでネットニュースを開くと、そこには、『Undeadー不死ー』が発見され、警察はもうすでに動いているという記事があった。


 まずいな。


 スマホも電源をオンにしてたらきっと見つかってしまう。


 私は、スマホを地面に叩きつけ、近くの川に捨てた。


 どうしよう。


 不死身ってだけで、それ以外に特別な能力はないからなー。


 しかも不死身だから、追手達は、私を容赦なく撃つはずだ。


 うーん。


 海に出ようかな。


 不死身なら、溺れ死ぬことはないし、いつか地上に着くだろう。


 でも.......本に書いてあった。


 『窒息は一番苦しい死に方だ』って。


 いや、能力者は世界に40人。


 見つかってないのがいるはずだ。


 その人達と、接触できれば助かるかもしれない。


 そんなことを考えていると、スマホに電話がかかってきた。


 まだ壊れてなかったんだ。


 でもとにかくラッキーだ。


 他の能力者かもしれない。


『君は今、どこにいるんだ?何県にいるかだけでも教えてくれ。私は能力者だ。』


 電話からそんな音声が聞こえてきた。


 とりあえず。


「神奈川県です。これ以上は言えません。」


 私はとりあえず言ってみた。


 なぜ聞きたかったのだろう。


『ありがとう。それだけで十分だ。あと10秒以内にそっちに着くよ。じゃあまたあとで。』


 ....10秒?


 私がその言葉に疑問を抱きながらも少し待ってみることにした。


 次の瞬間前の空気が歪み始めた。


 そしてそこに、私と同じくらいの年の女の子がいた。


 この子....国内2人目の能力者、マツオカナナ!


 確か能力は『Teleportationー瞬間移動ー』だ。


 一昨年に捕まったはず。


「えーとー、はじめまして。私、タカハシナツキと申します。」


 私はとりあえず挨拶をしておこう。


 もしかしたら戦闘になるかもしれない。


 まあ、それで私が負けることはないけどね、私は、『Undead』だから。


「あー、そんなに固い挨拶しなくていいよ。君は知ってるかもだけど一応私も挨拶しとこうか?」


 この人は結構穏やかな人だ。


 テロを起こすような人じゃないな。


「大丈夫ですよ、ナナさん。よろしくお願いします。」


「だからそんなに堅苦しくしなくてもいーよー。私のことも呼び捨てでいいし。」


 彼女はそう言って、私の背中をバシバシ叩いてくる。


「あ、うん。分かった。これからよろしくね、ナナちゃん。」


 私はこの人と行動をともにすることにした。


 でも、聞きたいことはここで聞いておかないと。


「あの、ナナはどこで生活してるの?」


 いくら『Teleportationー瞬間移動ー』の能力あるとはいえ、ずっと逃げ続けるの不可能だ。


 彼女はうーん、と悩んで、口を開いた。


「私、パソコンが強くて、インターネットをハッキングして色んな人の個人情報を盗んでるんだ。私の能力は、顔と名前がはっきりしている人の1メートル以内に瞬間移動できるんだよー。でも、私に名前を教えた人を監視すれば簡単に追いかけられるから、わざわざインターネットを使ってるんだ。」


 なるほど。


 でも私は瞬間移動できないから逃げ続けのは絶対に無理だ。


 となると。


 私と同じことを考えていたのか、ナナは私が考えていたのかことを話し始めた。


「でもナツキちゃんはそんなこと出来ないから方法は1つだけだね......電波塔の機械を破壊するしかない。世界中にある電波塔、その中の1つに一般人に能力を与える機械、通称『セレクター』。それを破壊すればこの世から能力者がいなくなる。」


 やっぱり私と同じことを考えていた。


「でも、電波塔は世界に150個あるんでしょ?そこから1つを探し当てるなんて無理だよ。」


 いくらなんでも150は多すぎて無理だし、電波塔のセキュリティだって半端じゃない、なにより、1つずつ確かめている間にきっと捕まってしまう。


「それに関しては問題ありませーん。アメリカの団体、『Gift』のメインコンピュータが世界中の電波塔を管理しているという情報をつい1週間前に手に入れましたー。」


 .....アメリカか。


 私も一応成績は学年2位で英語も話せるから困ることは無いだろうけど、問題は、アメリカに行くまでだ。


 私もナナも顔がバレているから、のこのこ船に乗ったらすぐ捕まっちゃう。


「アメリカに行くと言っても、普通に船に乗ったらすぐ捕まっちゃうよ?」


 そこが問題だ。


 あれ、待てよ。


「ちょっと待って、私の不死の能力で試したいことがあるの。」


 私は近くの石を拾い上げ、思いっきり自分の腕を殴った。


「うっ!!!」


 痛いが、我慢だ我慢!


 そして私が確かめたいのは、再生を止められるかどうかだ。


 止まれっ!


 ......止まった。


 再生を止めることが出来た。


 なら、この方法がある。


「ねえナナ。私、安全にアメリカまで行く方法思いついた。」


「え?アメリカに住んでいる人とかの名前を調べても意味ないよ?私は100キロ以内の人にしか瞬間移動できないから。あとは、登録っていうのをすれば特定の人物にいつでもどこでもテレポートできるけど。」


「じゃあ私にいつでも瞬間移動できるようにしといて。そしたら、私が自分の首を切断する、そしたら、私の首をアメリカまで運んでその後、私が体を再生させ、ナナが私に瞬間移動する。っていう流れはどうかな?」


 ナナは、冷や汗をかきながら。


「えげつないこと思いつくね。いくら不死身とはいえ、痛みはあるんでしょ?」


「でも、私は実験動物になんてなりたくない。」


 体中に針を刺され、毎日実験されるなんて嫌だ。


「....分かった。船の荷物検査は私がハッキングしておくよ。そしたら多分バレないよ。」


 でも確かに言われてみればえげつないことだ。


 自分の首を切断し、味方のテレポートを手助けする。


 なぜこんなことを簡単に思いついてしまったのだりう。


 私は、『Undeadー不死ー』の能力が発現してから、心まで、人間ではなくなってしまったのだろうか。


 まあ、そんなことはどうでもいっか。


「じゃあ今日はここらへんで解散しよう。明日の朝9時に、君のとこへテレポートするね。」


 彼女はそう言って、瞬間移動を使って、どこかに飛んでいってしまった。


 仕方ない、今日は山で野宿するかー。


 今思ったが、別に切断するのは首じゃなくてもいいのか。


 指でも一応再生するし。


 あ、でもそれだと私は死んでるか。


 指から再生された脳は、今の私ではなく、私のコピーになる。


 死の定義にもよるが、それで私は死ねる。


 なんだか「スワンプマン」みたいだなー、と考えながら、私は山奥へと歩いていった。


 スマホは今度こそ破壊したから、追跡されることはない。


 山の中歩いていたら、ボロい小屋を発見した。


 今日はここで寝るとしよう。


 私は中へ入り、眠りについた。




ー翌朝ー




 目が覚めたら、目の前にナナがいた。


 私はちょっと、寝坊してしまったのかもしれない。


「あ、やっと起きた?ずっと待ってたんだよ?大体20分くらい起きるの待ってたよ?」


 私はあわてて跳ね起きた。


「あ、ごめん。で、アメリカにはいつ行くの?」


 私がナナに質問すると、ナナは、首をかしげてとんでもないことを口にした。


「今日じゃないの?」


「え?」


 間抜けな声が出てしまった。


「普通に時間ないし.....もう荷物を運べる状態なってるし。チェーンソーも近くの道具やからパクってきちゃったし。」


「チェーンソーで首を!?.....やるかー。」


「よし、じゃあいま出すね!」


 彼女はそう言って、馬鹿でかい袋の中からチェーンソー取り出し、エンジンかけた。


 チェーンが回転し始め、どんどん加速していく。


「じゃあ、アメリカに、レッツゴー!」


 彼女は無理矢理作ったような笑顔で、チェーンソーを私の首に振り落とした。


『ぐしゃぐしゃぐしゃぐしゃ』


「やばいこれ切ってるもきつい!やばい!グロイグロイ!」


 周りに私の血が飛び散り、終わるころには、ナナは私の返り血で体中が暗い赤色に染まっていた。


「切り終わった?」


 私がナナに話しかけると、ナナは驚いた顔で、


「え!?しゃべれるの!?首切ったら喋れないでしょ!体の構造的に!だって肺とつながってないでしょ!?」


 そういうと彼女は私の首を持ち上げ、断面を観察しはじめた。


「気持ち悪っ!なんかファンみたいのが回ってる!こわー。」


 彼女は、私の首をそっとアタッシュケースものに入れて。ゆっくりと蓋を閉めた。


 中には小さな機械があった。


『聞こえるー?』


 機械からナナの声が聞こえた。


 通信機みたいなものかな。


「うん聞こえてるよー。」


『じゃあ今からアメリカ行きの輸送船に送るね。あ、あと空気穴はちゃんと作っておくから。じゃあまた今度。』


 彼女はそう言って、通信を切った。


 ......寝たいが、めっちゃ痛い。


 慣れるまで待つか。




ー???日後ー




 あれから何日たったんだろう。


 ナナからも連絡が来ない。


 そんなことを考えていたら、通信機が光った。


『もうオッケーだよ。多分君の頭が入った段ボールはとある町の廃墟に届いてる。』


 そこで通信が切れた。


 それから10秒後、蓋が開いた。


「やあ!一昨日ぶりだね。」


 よし、じゃあ再生するかー。


「おー。ナツキちゃんがしっかり再生してるとこ初めて見たー。」


 足まで生え終わったら私はあることに気づいた。


「服は?」


「安心してくださーい、ちゃんと持ってきたよ。ていうかナツキちゃんおっぱい大きいねー。Dカップくらいあるんじゃない?彼氏いるでしょ?顔も可愛いし。」


 そんなこを聞いてくる。


「い、いないです。」


「え!?じゃあ、もしかして、セッ〇スもやったことない?」


 さらに追い打ちをかけてくる。


「う、うん。」


 私がナナの質問に答えると、ナナはちょっと興奮気味で。


「じゃあ、処女!?」


「........ちょっと、やめてよ......」


「顔を真っ赤にして可愛いけど分かったよ。じゃあ着替え終ったら言ってね。」


 彼女はそう言って、近くの段ボールを開けて、中から拳銃を取り出した。


「その銃は?」


 私がナナに質問した。


「身を守るためのものだよ。私たちの能力は攻撃力を持っていないからね。」


 確かに、私の能力は攻撃力はないと思っていた。


 さっきまでは。


 実は、さっき再生のスピードをコントロールすることができたのだ。


 それで、再生の力をを使って地面を少し削ることができた。


 これをうまく使えないだろうか。


 そんなことを考えていると、ナナが私に銃をくれた。


「はい、これ。ナツキちゃんの銃。銃の使い方は知ってる?」


「あ、うん。一応知ってる。小学生の高学年くらいの時にサバゲ―やってた。大体勝ってたし。銃の扱いなら得意だよ。」


「よかった。」


 私たちは銃を装備して、これからのことについて話すことにした。


「とりあえずこの使われていない倉庫で作戦会議するか。」


「分かった。」


 ナナの提案で、ここで作戦会議をすることになった。


 私たちは、少し錆びた扉を開け、中に入った。


 そして、奥へと足を踏み入れていく。


 すると、奥から足音と共に声が聞こえる。


「おいお前たち、俺たちの拠点でなにしてんだよ。」


 奥からガラの悪そうな男が、鉄パイプを持った高校生くらいの男を引き連れていた。


 男は水色っぽい髪色で、かなりのイケメンだった。


「ここは俺たちの島だ。勝手に入ってくるんじゃねえ。」


「そうだそうだ!リオンさんの許可を取らずに入ってくるんじゃねえ。」


 あの、リオンとかいうボスみたいなやつは腰から銃を取り出した。


「入ったお前らが悪いんだ。じゃあな。」


 私はとっさにナナの前にたって、両腕を広げた。


『パン!』


 古びた倉庫に銃声が響き渡り、目の前の床が、真っ赤に染まる。


「...女のくせに根性あんじゃねえか。」


 私は死んだふりをしながら、リオンとかいうやつが私の近くに来るのを待っていた。


 彼は、私がもうすでに無傷であることに気が付かずに、ナナに近づいて行った。


 .....今だ!


 私が銃を取り出し、彼の足に狙いを定めると、彼は振り向いて、銃を持っていない手のひらを私に向けた。


「まだ生きていたのか....」


 次の瞬間、私の手元からピキーンという音だ聞こえた。


 手元を見てみると、銃が凍っている。


 トリガーを引いても弾が発射されない。


「ッ!?まさかあんた、能力者?」


「嗚呼そうだ。だからなんだ?どうせ今から死ぬんだから関係ないだろ。俺の能力は『Friezeー凍結ー』だ。」


 私は銃を投げ捨て、隠し持っていたナイフを取り出し、リオン切りかかろうとしたら、足を氷で固定されて、その後に全身を氷漬けにされた。


 でも、詰めが甘い。


 私はあんたに切りかかろうとしたわけじゃない。


 私は自分の腕を切断しようとしていた。


 完全に切断する前に氷漬けにされたが、もう千切れる寸前だ。


 リオンは背を向けている。


 今だ!


 再生の力で押し出された氷の破片は、リオンの後頭部に直撃した。


「ウッ!!クソ!なんなんだ!?」


 私はまだ手首までしか再生させてない腕を顔の前の氷に押し当て、氷を破壊すると同時に、顔面にもダメージを与え、再生の力で血を噴射し、氷を割った。


 あとは簡単だ。


 そして、脱出しようとしているうちに。


『パン!パン!』


 ナナがリオンに銃を撃ったようだ。


 しかし、弾丸はリオンの前で静止した。


「俺の体の周りの空気は、超低温、273.15℃になっている。あらゆる原子の運動は完全に停止する。弾丸も例外ではない。欠点は強いて言うなら、他人を凍らせることが一時的にできなくなることだな。」


 なるほど。


 とにかく脱出が最優先だ。


 ナイフを首に食い込ませ、ナナに言った。


「ナナ!私の首を銃で切断して!」


「!?...分かった!」


 彼女は銃口を私に向け、引き金を引いた。


『パン!パン!パン!』


 私の首は吹っ飛んだ。


 そして、体を再生する勢いを使って、リオンに猛スピードで飛んでいく。


 氷漬けにされてる私の体の手が握っているナイフを取り、自分の首を掻っ切った。


 私の喉仏から出た血は、完全にリオンの視界を完全に遮った。


 足元だ!


 さっきからなぜか足元が凍らない。


 理由はかなり単純。


 それは足元が凍ると、前に進めなくなるからだ


 私はナナの方へ振り向いて自分の首を指で指しながら、


『もう一回!』


 彼女は苦笑し、私へ向けて銃の引き金を引いた。


『パン!パン!』


 ズタズタになった首をナイフで切断し、そのまま転がった私の首は、リオンの足元まで転がっていった。


 今だ!


 再生を使ったヘッドバッドでリオンを気絶させる事に成功した。


 それを見たリオンの取り巻き達は逃げていった。


 ナナは、狙いをリオンの頭へと定め、とどめを刺した。




ー一分後ー




 リオンが死んだら急に氷が溶けたので、服を着て、ナナがパソコンをいじり終わるのを待っていた。


「近くのパソコン屋さんで新しいの買っていこう。さっきの喧嘩...いや、殺し合いでパソコンがぶっ壊れちゃったから。」


 なるほど、だからちょっと困った顔してたんだ。


「分かった。」


「あ、そういえばさっきのなに?ナツキちゃんとんでもないスピードだったよ?」


「ああ、そうか。ナナには言ってなかったね。これはね、再生の力を使っているの。再生するスピードを上げて、体を押し出してるんだ。」


「なるほどー。普通に強いね。」


 まあ、確かに強いが、決定的な欠点がある。


「でも、あらかじめ体の部位を切断しないといけないんだよ。」


 そう、大きな傷がないとだめなのだ。


「なるほど、それはかなり大きな欠点だね。」


「うん。」


 でも、欠点はそれだけではなく、私にも痛覚があるので、しっかり痛いことだ。


「じゃあそろそろ行こうか。」


「うん。」


 私はナナについていった。




ーホテルにてー




 パソコンを買い終えた私達は、ホテルで作戦会議をしていた。


「じゃあ、結局どうする?『ギフト』のセキュリティをハッキングするのは流石に私でも難しいよ。それに加えて、向こうには能力者がいるらしい。」


 ナナはサラッとそんなことを.....って能力者!?


「え!?どういうこと!?能力者がは実験台じゃないの!?それなら『ギフト』でセキュリティの仕事でもやっていようよ。」


 危険を犯さなくていいなら、それがベストだ。


「それはその能力者が『ギフト』でも管理しきれないくらい協力だからだよ。」


「え?」


 間抜けな声が出てしまった。


「能力者は3人いて、確か...1人目が『Gunー銃ー』で、2人目がー、『Spoilー腐敗ー』、そんで、3人目が、『Poweredー筋力増強ー』だったね。どれもめっちゃ厄介だよ。」


 2人目の『Spoilー腐敗ー』が私にとって一番厄介になるだろう。


 名前からして、腐らせる能力かなんかだろう。


 それを食らえば再生に時間がかかるかもしれない。


 再生に時間をかけている間に捕獲されたら元も子もない。


 となると、こっそり情報を盗み出す以外に方法はないな。


「じゃあこっそり情報を盗み出すか。」


 ナナも同じことを考えていたようだ。


「そうだね。じゃあ今日はもう寝よう。」


「そうだね。おやすみ。」


 私とナナは明日に備えて床についた。



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