暗殺の瞬が名を捨てるまで

二角ゆう

プロローグ

少年は走っていた。

息を切らしても身体が空気を求めていても家に向かって走っていたのだ。

真っ暗な部屋の中には誰かが座っている。

その人影に近づいていくと大好きなじいちゃんは胸の真ん中あたりに刀を刺されていた。

じいちゃんの最期の言葉はこうだった⋯。

“誰よりも強くなれ”

それは8歳の時のことだった。



月日を経て、その敵は月日をへてようやく目の前に現れたのだ。燃える城の中で少年は対峙して叫ぶように問う。



「⋯⋯あんたがじいちゃんを殺したのかって聞いてるんだよ!」



少年は肩は興奮して大きく上下に動いている。相手は固く閉ざしていた口をようやく開いた。



「⋯⋯そうだ。」



時は遡ること数カ月前⋯暗殺の瞬は名を捨てるまで、始まります。

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