NTRされた配信者、罠に嵌められてダンジョン内で追放されたが、異世界転生者を自称する蟲使いの実験台になって最強TS魔法少女に生まれ変わりざまぁする。

山親爺大将

第1話 配信

「よーし、この辺でオープニング撮ろうか」

 リーダーの新一が少し広い空間で指示を出す。


 俺ともう一人のメンバーの浩司が簡易結界を展開したり、撮影機材の準備をする。

 俺の彼女の麻衣はいつも通り休憩してる。


 ここはダンジョンの中、俺たちはダンジョン配信者だ。


 元々は彼女の麻衣と二人で普通のダンジョン探索者をやっていた。

 この世界に突如として現れたダンジョンも十年経てば日常に取り込まれる。


 ダンジョン探索者は少し前のネット動画配信者の様な扱いだった。

『当たれば大きいけどリスクのある、子供がなりたがる職業』そんな位置だ。

 そのため探索者をやってるもの達の平均年齢は若い。


 そんな中、ダンジョン内からリアルタイムで動画配信出来る技術が確立された。

 早速動画配信の心得のある奴らがこぞってダンジョン配信を始める。

 それがバズった為、あっという間に探索者内に広がった。


 更にそれで収入を確保するシステムも確立されたので、普及に拍車がかかった。

 単体でやるなら、とりあえず配信しておけという風潮が出来上がるまでそんなに時間がかからなかった。


「やっぱりこのままじゃダメだと思うの!」

 俺が配信に抵抗があった為、少数派の無配信探索者だったのだけど……。

 彼女はそれが気に入らなかったらしい。


 積極的にあちこちのパーティと交渉して男性二人組のパーティと合流した。


 それが今俺達の配信パーティ『ダンジョンインフィニティ』だ。

 完全にダンジョン配信に振り切ったパーティになった。


 正直、いまだに納得いってないし不満もあるが、収益を考えた時に反論出来ない。

 配信で得られる収益の方が探索で得られる収益より大きいからだ。


「準備できたか? じゃあ始めるぞ」


「はい! 始まりましたダンジョンインフィニティのダンジョンボンバー! リーダーで剣士の新一です!」

「回復士の麻衣です!」

「双剣士の浩司です」

「盾士の洋一です」


 俺の出番はこれだけだ。

 見た目が地味すぎるという理由で最初の自己紹介以外は一切出ない。

 ダンジョンインフィニティってパーティ名も意味わからないし、ダンジョンボンバーというコンテンツ名も頭悪そうで嫌だ。


 彼女が交渉して合流したから、彼女の顔を立てて一緒にいるけど、正直前みたく二人で探索者やりたい。


「さて、僕たちダンジョンインフィニティはついにFランクダンジョンの二十九階までやってきました!」

 まだ、二十四階じゃないか。

 リーダーの見栄っ張りが始まった。


 知ってる人がみたら、すぐバレる嘘をよく言えるもんだ。


「次の三十階はダンジョンボスな訳ですが、ここで! ダンジョンインフィニティは大々的に新メンバーを募集します!」

「え、聞いてない」

「言ってないからな」

 俺の呟きに応えた浩司の言い草にイラッとする。


「メンバーは最大で二名!」

「なんだそれ?」

 ダンジョンでパーティ組める上限は五名だ。

 つまりこの中の誰かを辞めさせるつもりだ。


 どうせ俺だろ。

 もう良いや、彼女と一緒にこのパーティ抜けよう。


「そして! ここで更に更に重大発表! 今から告白します! 麻衣!俺の彼女になってくれ!」

 何いってるんだコイツ?

 麻衣は俺の彼女だぞ?


「はい! 喜んで!」

「ちょっと、待……フゴゴ」

 浩司に羽交い締めにされ、口を塞がれた。


「やったー! ありがとう麻衣! 絶対幸せにする!」


 オープニングが終わってカメラが止まった。


「よーし、掴みはバッチリだ」

 新一がご満悦な顔でそんなことを言う。

 だが、俺にはそんな顔とかどうでも良い


「おい! どういう事だ!」

「まぁまぁまぁ」

 浩司が俺を取り押さえる。


「麻衣も麻衣だ! なんであんなゴブォ……」

 口の中に何か突っ込まれた。

 そこから液体が流し込まれた。


「説明するよ。 最近ウチ等の配信が落ちてきてな、なんか大きな事件起こしてバズりたかったんだ。

 でな、麻衣はとっくに俺のもんになってるから、これ利用してお前は暴走してダンジョン内で死んだらスゲェバズると思わないか?」


 な、なんだそれ、俺を殺そうとしてるのか……?


「もう薬効いてるから、話せないと思うぜ」

 浩司のニヤニヤした顔が鮮明に目に焼き付く。


「ごめんね、洋一じゃ全てにおいて物足りなくて」

 裏切ったのか……。


「よーし、あとはモンスターに処理任せて、撤収しよう」


 クソ! クソ! このままじゃ死んでしまう!

 なんでだよ! なんで俺だけこんな目に!


【後書き】

 お読み頂き、ありがとうございます。

 この作品はカクヨムコン参加作品です。

 カクヨムコンは星の獲得が非常に重要になりますので、少しでも入れて頂ければ作者は泣いて喜びます。


 この作品を『おもしろかった!』と少しでも思ってくださった方は↓の『☆☆☆』を『★★★』に評価して下さると本当に助かります。

 よろしくお願いします。


 星いっぱい付いたら続き書きます。(目安として100くらい)

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