第2話 転生致します

起きてすぐ、凝った装飾が施された天蓋が見える。横を見ると、メイドの格好をした女性が心配そうにこちらを見つめている。

「お嬢様、お目覚めになりましたか?随分とうなされていたようでしたが、お身体の調子はいかがでしょうか?」

……………………………………は?

いや、取り敢えず返事をしておこう。

「大丈夫です、ありがとうございます。」

私は昨日外出はしていないし、きちんと家で寝たはず。…もう一度見よう。

目を開ける。凝った装飾が施された天蓋が見える。横を見ると、さっきのメイドがいる。

「それなら良かったです!しかしお嬢様、使用人である私に敬語を使うなんて…頭でも打たれましたかね?一応後ほどお医者様に診ていただきましょうか。」

…………………まじか。夢??????

敬語は使わないほうがいいのね。

「…一応頼むわ。」

「承知いたしました!では午後までにお医者様をお呼びいたしますので、それまではゆっくりお休みください。」

…寝たら覚めるだろう。



「お嬢様、お目覚めですか?」さっきのメイドの声がする。目を開けるとやはり寝る前と同じ景色が広がっていた。一応頬をつねってみる。痛い。これは現実だ。

「朝食をお持ちいたしました。」そういって運ばれた朝食は見るからに豪華な料理達だった。


ところで私にはこの状況に、見覚えがある。転生………。転生だ!!!そうだこれは、いつか見た悪役令嬢に転生する話の流れと全く同じじゃないか。ひとつ違うとすれば、これはその漫画の中でもなさそうだし、他に転生物を読んだ記憶もない。つまり、私はこれからどうなるのかを全く知らない点だ。そして、この体の主が誰であるのかも分からない。

しかし、そんなことよりも食事が美味しすぎる。これまで旅行なんてろくにしてこなかったし、高級な店に食べに行くこともほとんどなかった。卵かけご飯愛用者の私からすると、とんでもなく贅沢なひとときだ。正直楽しい。さっきちらっと見えたけど、大きな宝石のついたアクセサリーの数々に、豪華なドレス。きっと何不自由ない生活を送れる。ああ、いいなあ。不覚にも羨ましいと思ってしまった。少しくらいなら楽しんでもいいだろう。何かの手違いで異世界に来てしまったのだから。この身体の持ち主の名誉を傷つけることはしないから。どうか、手違いが修正されるその時まで、束の間の天国を私に味わわせて。

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