第2話

「やちのことっ。これっっ、じょーおーさまは、やちのこと!!」



「……はいどはどこ?」



「ハイドはどこって……、"女王"はおチビのことじゃねぇよ」




"黒豹"の"女王"は誰だ?という話になって、元気よく手を上げたのは八千流ちゃんだった。



ハイドくんの問い掛けに首を傾げながら、糸さんが八千流ちゃんの言葉を否定する。




「ひぇっ!?」



「ひぇ……?」




八千流ちゃんが否定されて泣きそうになる。




あああっ。



私は急いで八千流ちゃんを抱きしめた。




えっと……聞いた話によると


暴走族の総長の彼女、もしくはチームで大切にしてる女の子の事を"姫"と呼ぶらしい。



しかし"黒豹"にはそれが当てはまらず、代々ずっと大事にしてきたただ一人の女性がいるのだという。



年を経て"姫"から"女王"となった、その人とは




「……」




幼くも可愛らしい顔を苦虫を潰したかのように歪めていた。




"女王"と呼ばれるのが嫌なようです。




「ままっ!?ままが、じょーおーさま!?」



「……」



「じゃあっ、やちはぷりんしぇすだねぇっ!!」




きゃあっと喜ぶ八千流ちゃん。




「はいどはどこ?」



「この場合だと、ハイドくんは王子様ってことだね」



「……」




ああっ。



ハイドくんまで表情を歪めて。



この表情は親子そっくりです。




「クスクス」




八雲パパが面白そうに笑ってる。




「二人が王女様と王子様なら、俺はそれを守る騎士っ」



「晃、うるせぇ」



「そうなると、ひなもプリンセスだな」



「いやいやいやいやっ」




何を言ってるのですか、竜ちゃんさんっ。




「可愛いよねー。チビ助より断然可愛いよねー、ひなちゃん」




桂ちゃんさん!?




「俺はどっちも可愛い!!」




蓮ちゃんさんっ。




「ハイネが"女王"ってなんのギャグ?」




麻也兄さんっ、綺麗な顔でなんて毒舌。




「あらやだ、ごめんなさいね麻也。麻也、女王になりたかったのにね」



「えっ!?」



「……あ"?」




バチバチーッとハイネママと麻也兄さんの間で火花が散る。

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