男だと思っていた美少年or美少女の幼馴染二人に告白されたんだか?

カフェオレ

女...だった...のか?──1

「あなたのことが好きです」

「ちょっと先に言うなんてずるいでしょ!

 ……あんたのこと、好き」






「「付き合ってください!」」






「え?は?なんで...?」


 なぜこんなことになっているかというと…


 ──────────────────────────────────────


 俺は今、自室にて二人の幼馴染と遊んでいる。

 ほぼいつも家に来てくれるので、放課後はほとんど二人といっしょだ。

 

 二人は結構人気者みたいで、なぜか最近二人と話しているとみんなから睨まれている気がする。女子に睨まれるのは百歩譲ってまだわかるが、意味がわからないことに男子にも睨まれるのだ。なんなら女子より男子の方が多い気が...そんなにこいつら男子からの人気高かったけ?

 まあ、わからなくもない、二人はとてもと言う感じの容姿で、初見の人が女性だと説明されて紹介されたら、疑いもせず素直に受け入れるほどだ。性格もまあ...悪くはない。


 そんなことを考えているとかなでがさっきまで座っていた座布団から立ち上がり、急に顔を近づけてきた。


「ねえ、今なんか失礼なこと考えてなかった?」

「い、いやぁ、そんなこと思ってませんよ。ははは…」

「そう、ならいいけど」


 そういうと奏は離れていった。なぜかまだ俺の顔を見ているが気のせいだろう。


 …というか何回話しても慣れないな。まるででドキッとしてしまう。…んなわけないけどな。


 まあ、色々言ってるいるが、俺はこの二人と友達でいるのに幸せを感じている。

 なぜかこの二人といると心が満たされていく気がする。それに俺は友達との交流が少ないので、やっぱり人の温かみはこの二人からしか得られない。


「やっぱ、同性だと話が合うし、気も使わなくていいから楽だな」

「同性であっても、気は使えや」

「そうですよ!」

「(……てか同性じゃないし)」

「なんか言ったか?」

「言ってないわよ!気のせい」

「お、おう、ごめんな」


 それを言ったら奏はそっぽ向いてしまった。 

 なんか奏の顔が朱色に染められている気がするのだが...?

 …まあ奏の言う通り気のせいか。


 ほんと急に二人は正座になり、顔から笑みを消した。


「わたしたち隠してたことあるんだけど今言ってもいい?」


 なんかいつもふざけてる佐奈さなが冷静だぞ。明日は隕石でも降るかもな。

 まあいつも通り隠していることはしょうもないことだろう、と思い頷いてしまったのが間違いだったのかもしれない。


「いいけど、なに?」


 沈黙が少し続いた。それを破ったのは佐奈だった。




「わたしたち実は男じゃなくて女なの」




「は?」


 つい強めの「は?」を言ってしまったのもしょうがないと思う。

 これはさすがに嘘だろうと思い、真面目な奏に助けを求めた。

 だが俺が思った答えは得られなかった。



「佐奈が言う通りわたしたちは女の子なんです」



 もしかして奏もおかしくなっちゃたのか?いやなわけない。

 こう見えて大事なことは嘘偽りなく言ってくれるのが奏だ。

 幼馴染だからもちろん知っている。


 そこで一つの疑問が生まれた。

 昔から付き合いがあるからこそ聞いてしまう。


「いつから女になったんだ?」


 このご時世だ。性転換も認められてきてるし、もしそうだとしても、俺は文句を言うつもりなどない。


 でも二人から返ってきた答えは俺の考えを一瞬で上書きするものだった。


「生まれた時からに決まってるだろ。なに言ってんだ」

「女である歳=年齢ですよ」


 「なにその独身男性が自虐で使いそうな言葉は」といつもの俺だったら言っていただろう。でも無理だった。というかこの状況で言えるやつは相当頭の回転が速いか、大馬鹿のどちらかだ。


 そんな時二人はなにかを決心した顔だった。


「(……これでやっと、あの言葉が言えるね)」

「(そうだな…奏)」


 小声で聞こえなかったが、なにか良くない気がする。「待って!」と言う前に二人は今後の人生に関わるかもしれない、大きい影響力を持った言葉を発してしまった。



「あなたのことが好きです」

「ちょっと先に言うなんてずるいでしょ!

 ……あんたのこと、好き」







「「付き合ってください!」」







「え?は?なんで...?」


 俺はこの言葉を理解するため、脳をフル回転させた。だとしても意味がわからなかった。一気に新しい情報が詰められて脳からけむりが出そうだ。もっと頭が良ければ一瞬でわかって、すぐに答えを出せるんだろうけど今の俺には無理だ。フリーズ状態である。


「あ、あきフリーズしちゃいましたね」

「いや顔かわよ。キスしたい、というかキスさせろ」

「あ!抜け駆けはよくないですよ!…確かにかわいいけどっ。というかまだ返事、もらってないでしょ」

「むー…。仕方ないか…でもいつかやるからな!」


 顔かわいいとか、キスしたいとか色んなヤバイ言葉が聞こえた気がするが、そんなことなど考えている暇などなかった。俺は今の状況を理解するのに精一杯だったからだ。


 いやね。二人のこと美だとは思ってたよ?

 でもまさか女だとは思わないじゃん?それに十年以上しらなかったんだぜ。

 ということは今俺は、美二人に告白されているということになってしまう。


 頭の上に?しか浮かばないのを察したのか二人は一つ聞いてきた。


「わたしたちが女の子なのは元々知ってましたよね?」

「? え?知らなかったけど……」

『へ?』


 どうやらこいつらは俺が元々二人は女の子だと知っているだろうと思っていたらしい。


 いやなわけねぇだろ!一度も聞いたことねぇぞ!ここ十年で一度も聞いたことねぇぞ。…でも今考えると男だと聞いたこともないな...

 え?じゃあ俺が勝手に二人を男だと思っていただけで?

 本当は女だったってことなのか...?


 呆れた感じの佐奈が溜め息をついた。


「てかわたしたちの名前、男の名前にしてはちょっと変だろ」


 確かに。佐奈が言う通りではある。


 このちょっと当たりが強く、少し薄い金髪のTHEギャルって感じのこいつは秋田佐奈あきたさなっていうめっちゃ女の子って感じの名前だし。

 もう一人の丁寧の口調で、黒髪のTHE清楚って感じのこやつも冬樹奏ふゆきかなでっていう佐奈と同じくらい女の子って感じの名前だもんな。

てか、容姿もよくよく考えてみたら女の子って感じやなぁ…。


 なんで気づかなかったんだ俺。脳みそたこ焼きサイズか?ってなんとかサウルスじゃないんだよ。正直バカすぎて恥ずかしいわ。

 …てか何か返事しなきゃだよな?えっと漫画ではこういう時は…


 そんな考えが顔に出てたのか、佐奈が聞いてきた。


「で、返事はどうなん?神川秋かみかわあきくん」

「俺そんなに考えてること、顔にでてた?」

「ほら質問を質問で返さない。で結局どうするの?」

「うーん……」


 お前だって質問を質問で返してるじゃないか、とツッコミたくなったが今はそんな状況じゃないのでとりあえず黙っておく。まあ、まずは状況を整理してみよう。

 まず男だと勝手に思ってた幼馴染二人が女で、その幼馴染二人が俺に告白している。やっぱ、意味わかんないや。もう考えるのは諦めよう。うん、そっちの方が絶対いい。


 質問を質問で返してしまう形にはなるが、今一番気になることを聞いてみた。


「二人のどちらかを選ばなきゃいけないんだよな?」


 そう、これだ。

 どちらも美少女?美少年?だし、佐奈には佐奈なりの良いとこがあり、奏にもそれは同じなのだ。

 どちらか一人を選ぶなんて、それくらいなら死ぬわというほどだ。


 そんなことを考えている俺にとって一番予想外の答えが返ってきた。


「なにを言っているんですか?二人一緒に付き合うんですよ。」

「そうだぜ。なにを言ってるんだ秋」

「へ?」


 そう言って奏は右腕、佐奈は左腕に抱きついてきた。

 まるで二人同時に付き合うのが常識であるかのように。

色々当たっている気がするが、そんなこと気にしてられないほど俺は困惑していた。


 今日、いやここ5分で何回思ったことか、「意味がわからない」という言葉を。そこからは俺の頭の中は疑問でいっぱいになった。

それって二股なのでは?いや承認してるから大丈夫か?だとしても良くないよな?...

 ...と色々考えたが嬉しいのには違いないし、実際そうしたいのが本音という結論に至った。細かいことは後で考えるタイプなのだ。


「じゃあ……よろしくお願いします...?」

「そうこなくっちゃな!、ということで、よろしく!」

「……(この女といっしょなのは少々癪ではありますが仕方ありませんね。)

 それではよろしくお願いします。」


 なんか怖い小言が聞こえた気がするが、大丈夫かな、俺の恋愛…


               ◇◇◇


「というか、さすがにお二人とも離れてもらっても...もう5分は経ちましたよ?」


 二人が同時に言う。




「「無理!まだこうする!」」




気絶しそうだった。というか気絶した。

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 あとがき


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