第43話 推しヒロイン達との登校
「……なるほど、そんなことがあったんだね」
「うん。だから念のためにもう一度ひよりには事情を説明した方がいいと思う」
翌朝、俺は登校しながら美鈴に昨日行ったひよりのお見舞いの報告していた。
まぁ、流石に押し倒されたこととか、キスしたこととかは隠したけど。
「……ねぇ、私に隠してることない?」
え、なんでバレてるの?
「あ、いや、そんなことは……」
「怪しい……」
俺にジト目を向けてくる美鈴。
まずい、完全に疑われてる。
美鈴の視線から逃れようとする俺の鼻をふわりとシトラスの香りがくすぐった。
「文くん! みーちゃん! おはよ!」
その声に振り向くと、いつものように元気なひよりが手を振っていた。小走りで俺たちのところに着いた瞬間、はっとしたような表情をする。
「ご、ごめん……お邪魔だったよね?」
「ううん。大丈夫。私たちなんちゃって恋人だから気は遣わなくていいよ。むしろ今まで通りの方が助かる」
飄々とした感じで暴露した美鈴にひよりが若干フリーズしてる。
「えと、つまり二人は恋人ではないってコト?」
「そういうコト」
「……なるほど、事情はわかったよ。つまりみーちゃんには急遽恋人が必要になったから偽の恋人役を文くんにお願いしたってことだよね?」
「さすが、ひより。理解が早くて助かる」
え、なんでそれだけの情報でそんな事細かなところまでわかるの?
昨日のやりとりを思い出させるやりとりに困惑しているとひよりはこちらに視線を向ける。
「そういえば、文くん!! 聞きたいことがあります」
「え、は、はい……」
唐突な話題変更に驚いている俺にジト目で見つめるひより。
な、なんだ……? 一体なにを尋問されるんだ?
「……私が寝てる間、ママと二人でなにを話してたの?」
「……へ? なにを話してたか?」
間の抜けたオウム返しにひよりは不機嫌そうな表情で頷く。
「え、ひよりのママと話したの? 二人だけで? 私、その話聞いてない」
ひ、美鈴の目が鋭くなった。
「文くんが帰ったあと、ママが文くんの好きな料理とか聞いてきたの。今度また文くんを連れきてほしいって。なんであの短時間でこんなに仲良くなってるの!?」
「ぶ、文学……そんな……人妻さえもたらし込ん……ふごご」
これ以上はいけない。
美鈴の口を右手で塞いでいると誰かが背後から鞄で背中を殴ってきた。
「朝からいちゃつかないでくれる?」
疲れたような表情の月見さんが苦言を俺に申してきた。
「ふ、私たち、仲良しカップルだから」
なぜかドヤ顔で胸を張る美鈴。
……月見さん。なんでこっち見る。
ちなみに月見さんにはお見舞いのことは報告ずみだ。昨日帰ったら俺の部屋で待っててめちゃくちゃ詰められたからな。
「ひより、元気になったんだ。よかった」
「うん! おかげさまで! 心配かけてごめんね?」
……なんだか、安心するな。
そんなことを考えながらひより星乃の女子トークを眺めているとちょこんと美鈴に指で小突かれた。
「なんか、久しぶりだね。こうして4人揃うの」
「うん。私、文学と一緒にいる時間は好きだけど、それと同じくらいこうして4人でいられる時間が好き」
そう楽しそうに微笑む美鈴。
そんな美鈴に俺は気になっていたことを聞くことにした。
「……そういえば、どうしてあの二人には事情を説明してなかったの?」
「……できるだけ秘密を知っている人を作りたくなかったから、嘘だとバレるリスクがあるし」
「……それはわかる。だからこそ、ひよりにすんなり事情を話したのが、意外だったなと思って。本当は別の理由があったんじゃないのかな」
ピクリと反応する美鈴。
「図星なんだ……」
からかうように言うと、美鈴はこちらをチラッとみて恥ずかしそうに頬を赤くした。
「……笑わない?」
「もちろん」
髪をくるくると弄りながら、か弱い声で言った。
「文学を……独り占め出来ると思ったから」
「………………え、なにその可愛い理由」
「……うるさい」
なんちゃって彼女のか弱いパンチを受けながら学校に着いた。
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