第33話 ササリナとの初夜 3
★☆ 翌朝――セバスとの口論
翌朝、陽光が窓から差し込む中、俺は執務室にいた。昨夜の婚礼を終え、頭を整理しようとしていたが、扉が勢いよく開けられた。
「ロード様!」
セバスが入ってきた。いつもの冷静さはどこへやら、その顔には怒りが浮かんでいる。
「どうした、セバス。そんなに怒り狂って…」
「どうしたもこうしたもありません!昨夜のダークエルフとの婚礼、あれはどういうおつもりですか!」
セバスの声は怒気を含んでいた。
---
★☆ セバスの反論
「ロード様、ダークエルフを側室にするなど、グランド家の品位を著しく損ないます!彼らが優秀なのは認めますが、だからといって姫を娶るなど軽率です。領内や他貴族の目を考えましたか?」
俺はセバスの怒りを正面から受け止めたが、冷静さを保った。
「セバス、確かにグランド家の品位を守るのは大事だ。しかし、品位だけでは領地は守れない。俺たちは強い力と知恵が必要だ。そのために彼女たちの能力を取り込むことが欠かせないんだ」
「それは理解しています。だが、だからといって婚姻を結ぶ必要がありましたか?部族と協定を結ぶだけで済む話でしょう!」
セバスの言葉に俺は深く息をついた。
「協定だけでは不十分だ。ダークエルフは信義を重んじるが、それは彼らが相手を『仲間』と認めた場合だけだ。俺が婚姻を通じて家族になることで、彼らは初めて全力を尽くしてくれる。それが彼らの文化だ」
---
★☆ ダークエルフの能力
「セバス、君も分かっているはずだ。ダークエルフの能力は比類なきものだ。隠密行動、諜報、戦闘力――いずれもこの領地にとって欠かせない力だ」
「その点は否定しません。ダークエルフの実力は素晴らしい。しかし、それが貴族として受け入れられるかどうかは別の問題です」
「それでも必要なんだ」
俺はセバスの目を見据えながら言った。「ダークエルフを側室に迎えることで、彼らを領地の重要な戦力として取り込める。そして、彼らの能力は俺たちをさらに強くする」
セバスは黙り込んだが、その表情にはまだ納得しきれない色が残っていた。
---
★☆ 説得の応酬
「セバス、君が懸念するのは分かる。領民や貴族たちの反発もあるだろう。だが、それを乗り越えてもなお、この選択は価値があると信じている」
「…ロード様」
セバスが少し落ち着いた声で口を開いた。「確かに、ダークエルフの能力が我々にとって貴重なのは理解しています。しかし、これがグランド家の地位を揺るがすことになれば…」
「地位なんてものは、力を失えばすぐに崩れるものだ」
俺は断言した。「ダークエルフの能力は、グランド家を次の時代へと導く鍵になる。君もその未来を見据えるべきだ」
---
★☆ セバスの折衷
セバスはしばらく考え込んだ後、深く息を吐いた。
「…分かりました。ロード様の覚悟がそれほどまでに揺るぎないのなら、私も反対はしません。ただし、一つ条件があります」
「条件?」
「ダークエルフを側室として受け入れる以上、彼女たちの行動が領内で問題を引き起こさないよう、常に監視と管理を行うこと。そして、グランド家の名誉を損なうようなことがあれば、即座に対処する覚悟を持つことです」
「それは当然だ」
俺は即答した。「彼らの能力を引き出しつつ、領地の安定を保つ。それが俺の責任だ」
---
★☆ 信頼と未来
セバスはゆっくりと頷いた。
「では、ロード様の決定に従います。ダークエルフの力が我々にとって脅威ではなく、力となることを期待しております」
「ありがとう、セバス。君が理解してくれたことに感謝する」
こうして、セバスとの口論は収束した。ダークエルフとの婚姻はリスクを伴うが、それ以上の可能性を秘めている。この決断が、グランド家の未来を大きく変えることになるだろう。俺はそう信じている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます