悪役令嬢とある貴族の物語 ~ しがない貴族ですがお嬢様は私が守ります。ついでに、ヒロイン全員をNTRます。

@aiueo12345689

0章 始まり

第1話 断罪の時

煌びやかな月の光が舞踏会の場を照らし出した。


私は人々に囲まれてその中央にひとり立たされていた。

まるで私だけが異物のように、冷たい視線が突き刺さり、空間に取り残される感覚がする。その中で彼だけが、あのプラチナブロンドの青年――私の婚約者が、微かに哀しげに目を伏せた。


「……残念だよ」


その声は低く、しかし鋭く響いた。


「君がそこまで愚かな女性だとはね、、もう…君は……君を未来の王妃として君を迎えることは、できない!」その碧色の瞳が、私を断罪するように真っ直ぐに見据えた瞬間、心臓が凍りついた。


王家と大公家の婚約が、この一言で、まるで消えた夢のように断たれた。


私を見つめる婚約者の目には、冷酷な決意が滲み、一人の少女が彼にしなだれかかるように私を見つめていた。彼女の表情は悲しみであろうか怒りでありか優越感に浸っているのであろうか、なんともいえない表情であり、それが隠すことなく私に向けられていた。


胸の中で何かが崩れ落ちる音がした。あれほど信じてきたみんなが私を睨みつける。その目にはかつての信頼も慈しみもなく、代わりに敵意が溢れている。どんなに「覚えはない」と訴えても、誰一人として耳を傾けてくれない。


彼らは私を捨てた。


私がなぜこんな罪を着せられるほど憎まれているのか、何もわからない。身に覚えのない出来事で貶められ、罪を押し付けられる――何がどうなっているのか、この場に立たされても理解できない。ただ、私を追い詰めるためのこの場が、ウィル様と仲間たちによって整えられたと気づいた瞬間、胸の中に温かなものがあったはずの場所が、冷たい空洞に変わる。


絶望は、突然やってくる。


全身の血の気が引き、目の前の景色がにじむ。浮遊するような感覚の中、私はただ立ち尽くし、すべてを失った暗闇の中で、意識は遠ざかっていった。

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