第6話:成原 屍鬼麻呂。(なりはらのしきまろ)

「それが・・・今、永明様は・・・」

「すいません御門様、実を言いますと私は今、御門様と逢瀬を重ねてる場合では

ないのです」


「逢瀬って・・・デートってことでしょ?・・・まだ重ねてないじゃないですか?」

「これからでしょ?・・・それに俺より大事なことってなんですか?」


「一応ですね・・・極秘事項なんですよこれ」

「誰にもベラベラしゃべってはいけないのです」


「もうそこまでしゃべっちゃった以上極秘じゃないですよ・・・このさい

俺に激白してしまいましょう、揚羽あげはちゃん」


「揚羽ちゃんって・・・まあ、よろしいですけど」


「さっきから俺、吹雪ちゃって呼んでるじゃないですか?」


「でしたっけ?・・・」

「分かりました、こうなったら御門みかど様にも私の使命をお手伝い願いましょう」

「どちらにしても助手がいたほうが重宝しますから」


「はあ・・・助手?・・・恋人じゃなくて?」


「だから人間と式神は恋なんかしません」

「いいですか?これから申し上げることは、わたくしと御門様だけの秘密ですよ、

よろしいですね」


「ふたりだけの秘密って、そう言うのいいね揚羽ちゃん」


「そうですね?・・・みなさん秘密って言葉に弱いですからね」


「実は京の都に奈良時代に暗躍した「成原 屍鬼麻呂なりはらのしきまろ」と言う陰陽師が現れましてみかどを人質に取って京の都を闇の世界に変えると

恐怖で世間をおびやかしたのです」


「すぐさま、英明様がことの鎮圧に当たったのですが屍鬼麻呂しきまろの汚い

罠に掛かって呪いをかけられてしまい体が金縛り状態になったまま動けなくなって

しまったんです・・・言葉はしゃべることはできるのですが思うように体を動かす

ことができず英明様は今、寝たきり老人状態なのです」


「え〜揚羽ちゃんの主ってヘタレじゃん」


「ヘタレじゃありません・・・油断しただけです」

「しかもその呪いを解くことができるのは屍鬼麻呂しきまろしかいません。

屍鬼麻呂しきまろのほうも英明様の陰陽五行思想の術によって手傷を負った

まま井戸に身を投げました」


「その井戸がこの大学の古井戸に通じていて、どうやら屍鬼麻呂しきまろはこの時代に

逃げて来てるみたいなのです」


「だから、私は英明様の命を帯びて屍鬼麻呂しきまろの行方を追って来ました」


「ここまで、ご理解いただけましたか?御門様」


「うん、充分・・・だけどそんな怖い陰陽師、揚羽ちゃんに協力したって

俺なんか絶対役に立たないよ、陰陽師でもないのに・・・」

「どうせカエルに変えられて田んぼでゲロゲロ泣いてるのがオチだよ」

「ちょっと無理っぽくない?」


「そうですか・・・お手伝い願えると思ったのですが・・・」

「でしたら、お付き合いすると言う話は残念ですがお断りさせていただきます」


「協力しますっ!!・・・全面的に協力します・・・たとえカエルに変えられても」

「なんでも言ってください、揚羽ちゃんの使いっぱ任せてください」

「どうせ揚羽ちゃんにフラれたら生きてたってしょうがないので・・・」


「分かりました」

「お約束します、もし無事に屍鬼麻呂しきまろを捕らえることに成功した暁には私、御門様と正式にお付き合いして差し上げます」


「まじで?ってことはどう言うことか分かってる?」


「御門様は、私とハグしてチューして、それから営みがしたいって思ってる

のでしょ?」


「察しがいいな〜揚羽ちゃん・・・それがそもそもの俺の目標ですから・・・」


「でもダメです・・・お付き合いはして差し上げますけど営みはダメ」


「彼女になるってことは恋人になるってことで、恋人同士ってのはエッチ

するでしょ、ごく自然に・・・揚羽ちゃんそのへん」


「ダメですよ・・・」


「ガードの固い式神さんだね」

「俺はさ、揚羽ちゃんとエッチもできないまま奈良時代の陰陽師とやらに、

もしかしたら消されるかもしれないんだよ?」


「大丈夫ですよ、御門様は元来のスケベでらっしゃるみたいですから」

屍鬼麻呂しきまろの術にはかかりません」


「え、スケベだと術にかからないの?・・・御都合主義的無理くりな設定じゃ

ないのそれって?」

「俺のスケベも世の中の役に立ったりするんだ」

「よ〜し、スケベに磨きをかけよう・・・あそこも合金仕様に改造しようかな」


「わあ、キモいです御門様・・・金属なんて使い物になりませんよ」


「だからさ〜ワルワルい陰陽師に勝ったらエッチさせてよ?ね」


「ダメですって言ってるでしょ」

「って言いますか、お付き合いしますって言ってるだけで、恋人同士でも

ないのに、なんで営みが先なんですか?・・・おかしくないですか?」


「そんな考えはもう古いの・・・結婚もしてないのにできちゃったカップル

だって今は珍しくないんだから・・・」


「とにかく・・・ダメですからね・・・愛のないセックス、あ、営みはダメですよ」


「じゃ〜俺を愛してよ」


「ダメですぅ・・・なにごとも先に屍鬼麻呂しきまろを捕まえてからです」

「それから、御門様の大事なアソコ金属に変えるのは私、反対です」

「金属のモノなんか体の中にいれられたくないです」

「そんなことしたら永久にセックスなんかなしですからね」


「冗談だから・・・そんなムキにならないの」

「それにアソコの外科手術失敗されたら元も子もないからね・・・」


このふたり、なんやかや言って、すでにいい感じになってるじゃあ〜りませんか。


つづく。




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