第3話

「おめでとうございます」




何度と口にしてきただろうこの台詞




目の前に居る二人は何とも周りなんて目もくれない程の幸せに溢れている





「式の日程のご希望とご予算を・・・・」






‘ウエディングプランナー’






そういう学校に行ってそういう資格がもれなく付いてきたから就いた仕事だった




人の幸せに手を貸せる




それだけの理由で今まで続けて来た





だけど、出来たのは若い頃の話で、30歳を2年後に控えた私には



人の事ばかりしてどうするの?って言う



周りからの痛いお言葉








「では、また一週間後にお越し下さいませ」





きっちり留めた髪にすっきりと着こなしたスーツ




入りたての頃はそういう先輩に憧れて必死に仕事してたのが今じゃその先輩・・・




私にとって後輩と呼べる人間は増える一方だけど


私より先に‘お嫁さん’になってこの仕事から離れる人数は数知れず




気がつけばもう28歳

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