転生先が日本だったけど、前世と違うみたいなので散歩するだけでも楽しい
アンサンブル
第1話ぶらり観音商店街と現代と異世界
︎︎学生時代通い慣れた観音商店街、休日にぶらりと地下鉄に乗ってやって来るとあの頃と変わらないように見えて思い出に浸ってしまう。
︎︎アーケードを潜ると、この商店街独特の匂いと雰囲気に若返った気分にさせられる
アーケードの左右にはおもちゃ屋に昔は無かったメイド喫茶、昔からある和菓子屋に服屋
昔あった小さなゲーセンはもうどこにも見当たら無いけど、多分ここらへんだったかな?なんて思いながらアーケードを進む
︎︎よく学生時代は友達とよく来たし、そういえば初めてのデートもここだったなと感慨にふけっていると、若干小腹が減っているのに気付く。
︎︎何か少し口に入れようかと歩き進めると、鰻屋が見える
さすがにガッツリ食べるのはなぁなんて思いながらさらに進む
すると、十字路の手前に見慣れたたこ焼き屋が見えてくる
「そういえば、昔はよく買い食いしてたけっなぁ」
︎ここで一皿買って歩きながら食べるかとメニューを横目に確認しながらたこ焼き屋の列に並ぶ
「明太チーズにポン酢も良いっちゃ良いけど、今日は普通のやつかなぁ」
︎︎クリスマスが終わり世の中は年末年始にむけて装いを変化させている真っ最中
「…やっぱり街中に出てくると人の数が多いな」
︎︎今年最後の土日とあって、不景気が叫ばれる世の中にあってもなかなかに人の数は多い
︎︎普段の生活は田舎町に住んでいるのもあり、人混みの流れに懐かしさを感じながらたこ焼きの列から商店街を眺めていると商店街の十字路に七色に光る膜が広がるのが見えた
「おー結界か、なんか出たんかなー…こうゆうの見ると違う場所なんだなぁって実感するよなぁ」
︎︎学生時代通い慣れた観音商店街、だけどそれは前世での話し
︎︎ある日の仕事が終わり安アパートに帰宅したオレは、コンビニで買った弁当を食べながらスマホで動画投稿サイトを開き適当に動画を再生し眺めていると、
急に音声が聞こえなくなりスマホのトラブルかと思ってスマホを弄る
しかし、なんの反応も無く不思議に思っていると
『繋がったか!時間が無い!頼む俺と人生を交換してくれ!』
そんな声が聞こえた気がした
ビクッとして周りを見渡してみても誰もいない
『頼む時間が無いんだ!頷くだけでも良い!早く頼む!』
心臓がバクバクと音をたて全身に汗をかいている私に再度声を荒らげているのが聞こえる
その声は酷く焦っているようで必死に懇願しているように感じた
オレはビクビクしながら小声で「…心霊現象?」と呟くと
『違うわ!どうしたら良いんだこれ…なんも思いつかねぇけど、時間もないから上手く説明出来ねぇけどオレは別の世界のお前だ…神様が三分以内にお前が人生を交換しても良いって了承してくれたら人生を交換出来る機会をくれたんだ、頼む!交換してくれ!』
「いや…いきなり言われてもな…」
『神様もあんまり教えてくれなかったんだがちょっと聞いた話しではお前だって今、良い人生って訳では無いんだろ?お互いにとって悪い話しでは無いはずだ…』
人生…確かにオレの人生はつまらない人生だ、変わりたいと思った事も何度もあったけど結局この歳までグズグズと来てしまった
だが本当に…良いのか?いや…オレは…まぁ良いのか…?オレは良いんだが…オレじゃなくてあっちのオレはこんな人生…欲しいか…?
「オレの人生つまんないぞ?良いのか?っていうかそっちがどんな世界かわかんねぇけど…」
『そう言うって事は交換しても良いんだな!?ありがとう!説明は神様がしてくれるらしいから神様に聞いてくれ!あとは…もう三分らしい…お前が良い人生を歩めるように願ってるよ』
そう言って言葉が途切れると意識が飛び
気が付いて周りを見渡すと…いつもと変わらない自分の部屋が見えた
「…寝落ちか?スマホの電源も落ちてるし、弁当ももう冷えてるし…はぁ…急に意識が飛ぶとか大丈夫か?病院言ったほうがいいかなぁ…とりあえず…まだ暗いみたいだし、スマホ充電しながら寝るか…明日が休みで良かったな…」
この時オレはまだ気付いていなかった、この世界は確かにオレが元いた世界とそっくりな世界だった
だけど、危険なこともある少しだけワクワクした気持ちになれるそんな異世界だってことに
例え自分が特別じゃなくても
異世界の日本を散歩してみたくないか?
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