~思秋期(ししゅうき)~『夢時代』より冒頭抜粋
天川裕司
~思秋期(ししゅうき)~『夢時代』より冒頭抜粋
~思秋期(ししゅうき)~
…確実から成る無業(むぎょう)の正義は一女(おんな)の瞳(め)をして思春(ししゅん)を講じ、夜目(よめ)を掌(て)にして杜撰を設ける旧い主宴(うたげ)に邁進しながら、一男(おとこ)の手を保(も)つ思秋(ししゅう)の幽気(ゆうぎ)は一体(からだ)を透って独歩(ある)いて行った―――。思春に肖る思秋の酔いには〝男凌ぎ〟の美麗が息衝き、小さな堀からことこと佇む一女(おんな)の姿勢(かたち)が静かに挙げられ、安い鈍(にぶり)が初歩(はじめ)に相(あい)する事始(こと)の進歩へ伏して生くのは、純白(しろ)い上気が女性(おんな)に問わない自然の摂理の厄介でもある。
思秋の成果(はて)から男児(おとこ)が跳び出て幻(ゆめ)を凌げる幽気(ゆうぎ)の果てには、真白(ましろ)い生命(いのち)が身辺(あたり)を見回す厚い鈍(くもり)の文言(ことば)など発(た)ち、向日の様子をふいと幻見(ゆめみ)る手厚(あつ)い温度の叱咤の人陰(かげ)には、現世(このよ)の生気にすっと見守る自己(おのれ)の翳りが薄らいでもいる。…自体(おのれ)の魅惑に努々(つとつと)往くうち手厚(あつ)い温度に母性(はは)を観るのは、孤独を感じた男児(おとこ)の間(あいだ)の理想(ゆめ)へ寄り添う〝飽き性〟から成り、人間(ひと)の肢体(からだ)が活気を煽れる秋の過ぎ行く暮れの佳日に、幻(ゆめ)と傀儡(どうぐ)が昏々(こんこん)訪ねる幻夢(ゆめ)の母屋の空間(すきま)が這入る…。
器用に統(たば)ねた男性(おとこ)の正義は〝正茂(せいも)〟を宿して交感され得ず、人の延命(いのち)へ闊達して行く無論の相路(あいじ)は魯鈍の眼(め)をした空想から成り、男児(おとこ)を愛した一女(おんな)の両腕(かいな)は無垢に愛(いと)われ界(かぎり)に立った。―――、朝な夕なに幻(ゆめ)の暗転(まろび)は上手(じょうず)を識(し)らずに、男性(おとこ)の過敏を上気して生く一女(おんな)の細(こま)かへ配(はい)して止まずに、過度に募れる一女(おんな)の感覚(いしき)は無機に転じて自主(あるじ)へ問い掛け、水を仕留めて流水(みず)を逃(にが)せる幻想(ゆめ)の労苦に伝って在った。男性(おとこ)の「事」には女性(おんな)に蔓延る感覚(いしき)が跳び立ち、浅い幻(ゆめ)から論理が伝わる易い活気へ鼓動を知るのは、独創(こごと)を煎じて旧(ふる)きを相(あい)せる幻(ゆめ)の全裸の乱心だった。景色を統(たば)ねる思秋の歪曲(ゆがみ)は思春(はる)を掌(て)に採る夢幻(むげん)の刹那と、事始(こと)の身憶(みおく)に固陋を究(きわ)める宇宙の涼風(かぜ)から「夢中」を採り出し、厚い撓(たわ)みに無言で居るのは私欲(よく)に漏れ発(た)つ手腕であって、男性(おとこ)の眼(め)にする一女(おんな)の表情(かお)には無想に好く成る空想さえ在る。男性(おとこ)の目下(ふもと)に飛び立つ思秋(あき)の暗転(まろび)は生気に呼吸(いき)する主観が現れ、俗世(このよ)の何処(どこ)でも女性(おんな)が活き発(た)つ不浄の所以(ありか)は先駆(さき)を認(みと)めず、脆(よわ)い孤独に憤怒を見送る孤高の幻(ゆめ)には妖艶さえ識(し)る…。
*
…地黒(じぐろ)の愛露女(エロじょ)、淡い親友、確か目張(めば)るの女、俺、臭(くさ)い小人、あと他誰か、が居り、飲み会をして居た。場所は見た事も無い、奇麗だが殺風景で他人の冷たさ残る居酒屋だ。その居酒屋は黄色い光(照明)等無く、(京都駅の屋上のように)妙に淋しい白っぽさが目の前に飛び込んで来た。俺はその場所、仲間(パーティ)に、中々解け込めないで居た様(よう)だ。
*
孤独の身辺(あたり)で軒夜(のきや)を揺るがし女性(おんな)の羽衣(ころも)を宙(ちゅう)へ浮かせば事始(こと)の生憶(きおく)を大きく揺さ振る気楼の小敗地(アジト)に絶対高鳴り、分厚(あつ)い形成(かたち)に躰を湿らす無為の主宴(うたげ)は宙(そら)へと跳び発(た)ち、明くる朝から気楼を掌(て)にする幻想(ゆめ)の概(おお)くを霧散(むさん)に失(け)せた。宙(そら)の流行(ながれ)を自流(じりゅう)に詠む時、事始(こと)の概(おお)くを霧散に気流(きなが)す過度の文言(ことば)へ生憶(きおく)は繋がり、厚い孤独に経過(とき)を想わす人間(ひと)の生気は有頂を読み取り、明日(あす)の集成(シグマ)を一通(とおり)へ堕(おと)せる紺(あお)い温厚(あつ)さに人群(むれ)を観て居た。緩い素振りに一女(おんな)を観ながら人間(ひと)の界(かぎり)に文句を言う内、奇妙に息巻く明日(あす)の流行(ながれ)に旧(むかし)の音頭がどんどん遠退き、黄泉の理郷(くに)から呆(ぼ)んやりして生く旧い撤廃地(アジト)は男性(おとこ)に近付き、明日(あす)の夜空を一通(とおり)で逆巻く無臭の八頭(かしら)を調度に観て居た。幻(ゆめ)の周辺(あたり)を傍観して行く一女(おんな)の理性(はどめ)を律儀に取り上げ、二性(ふたつ)の孤独を私欲(よく)に見立てる淡い輪廻(ロンド)は生命(いのち)を顧み、溝(どぶ)を想わす都会の温度が俺の背後を鈍(くも)らせ生くのは、女性(おんな)の生気へ弛緩を保(も)たない旧い軒夜(のきや)の柔軟だった―――。
純白(しろ)い揺蕩(ゆらぎ)に未憶(みおく)を見るうち明日(あす)の前途へ鬱積するのは幻覚(ゆめ)の概(おお)さを隈なく相(あい)せる幻(ゆめ)の空気(しとね)の謀反の一(はじめ)で、俺の孤独を天へ突き刺し孤独を詠むのは、幻視(ゆめ)の気憶(きおく)に無造を期さない小春(はる)の形成(かたち)の曖昧だった。小女(おんな)の自覚(かくご)が四方(よも)へ生くうち未覚(みかく)の信途(しんと)は轟々畝(うね)り、明日(あす)の眼(まなこ)を信じて活き得る「初歩育(はじめそだ)ちの無効の憂慮」は事始(こと)を遠避(とおざ)け孤独を読み取り、感じた「行方」が意味を解(かい)さず明日(あす)の空気(しとね)へ発狂(くる)うと言っても、幻(ゆめ)の主観(あるじ)が弦を保(も)たない空気(しとね)の揺蕩(ゆらぎ)は思春(はる)を講じて元気を識(し)った…。男性(おとこ)の歪曲(ゆがみ)は一女(おんな)に寄り添い生長して活き、雲隠れに観る理想の夢目(むめ)から宙(そら)へ翻(かえ)らす度量が生い立ち、夏の分岐を幻想(ゆめ)に報せる無倣(むほう)の信者を幻(ゆめ)に問うのは、自体(おのれのからだ)が理屈を追い生く浅い論拠の貞操だった。純白(しろ)い理性(はどめ)が未知を追い駆け幻想(ゆめ)の元理(げんり)へ追想し得ても、茶色い景色が感覚(いしき)に据え発(た)つ空気(もぬけ)の集体(シグマ)は明日(あす)に燃え立つ洋句(ようく)を並ばせ、幻(ゆめ)の独創(こごと)を一女(おんな)へ侍らす夢中の空虚へ持論を採っても、成人(おとな)の思潮(シンク)が幻想(ゆめ)に活き尽(き)る「自然(あるじ)を目にした自己(おのれ)の生句(せいく)」は、「初歩独白(はじめがたり)」に屈服したまま明日(あす)の延命(いのち)を文句(ことば)に見送る夢遊の精気に従順だった。
*
俺は居酒屋に行く前に、始め、何処(どこ)かの服屋に入った。そこで地黒女(じぐろおんな)と会った。それまでの経過(現実での俺と地黒女との)を忘れてくれているか?と淡い期待が在ったが、地黒女はきちんと覚えて居たようで、努めて明るく振る舞う素振りを見せた。店の内には地黒女と一緒に、目張(めば)るの女の様(よう)な人が居たかも知れない。地黒女は俺を見るや否や、自分の目の前に在った、ハンガーに掛かったズボン群の内からズボン何着か(持ち前の器用を
*
「余りてなどか人の恋しき」―――孤高の勇者が訳も分らず夢遊の論者を定評する時、大児(こども)仕立ての錯乱ばかりが「自由」を目掛けて出版して活き、「人の永きが自由に埋れて千年在る…」との自作を編んでおっとりして居る…。白い景色が気色を創らせ、孤独の独人(ひと)との和解を観るのに、人間(ひと)の生憶(きおく)は四年余りを大いに費やし既視(おおめ)に仕留める自在を掬える…。―――孤独の者から孤独が表れ、未知を想わす生気を描(か)くのは、少女の記憶を無残に葬る幽気(ゆうぎ)の余念(あまり)に自己(おのれ)を導き、幻想(ゆめ)の門田(かどた)を未知へ誘(さそ)える無純(むじゅん)の所以(ありか)を疾走して居る。男性(おとこ)の記憶を旧く擦(す)るのは幻想(ゆめ)の概(おお)さが勢い余り、過去の生憶(きおく)が純(じゅん)に懐ける人間(ひと)の故意へと揚々訪れ、明日(あす)の精気を活気に添え得る温厚(あつ)い斑気(むらき)を謳歌に賭した…。一女(おんな)の精華が器用に射止める白夜の星から諸刃が仕上がり、「自体(おのれ)」を射止める快活ばかりが得手を想わす未覚(みかく)を測れば、夜半(よわ)の寝床を純化(じゅんか)に想わす温厚(あつ)い歪曲(ゆがみ)は宙(ちゅう)へ跳び去り、「明日(あす)」を目掛けて人間(ひと)を喰い生く代物(もの)の哀れを追悼して行く。女性(おんな)の欠片(かけら)が宙(ちゅう)を追うのに孤独を見詰める書物の頭上(うえ)では「一男(おとこ)」の一界(かぎり)が欲目(よくめ)を知り得ぬ無戒(むかい)の境地が活き活きし始め、温厚(あつ)い経過に流行(ながれ)を見定(さだ)める孤高の小敗地(アジト)を上手(じょうず)に保(も)った。真白(しろ)い旅路が羽衣(ころも)に触れ得る男・女(だんじょ)の所以(ありか)を既視(おおめ)に問うのも、一男(おとこ)の過去(かこ)から上手(じょうず)に挙がれる一女(おんな)の気色の器用であって、自ずに巻かれる牛歩の所以(ありか)は人間(ひと)に纏わる一定(さだめ)を観ながら、温厚(あつ)い気色を充分彩る旧(むかし)の幻想(ゆめ)から密(ひっそ)り逸(そ)れ得た。忘れられ得ぬ憤怒の孤独を一男(おとこ)の自覚(かくご)が丸々呑み干し、温厚(あつ)い最中(さなか)に感覚(いしき)を誘(いざな)う真夏の文言(ことば)は明日(あす)を数えず、自然(あるじ)の側(そば)から幻(ゆめ)を小躍(おど)れぬ旧(むかし)の生憶(きおく)を憤怒に化(か)えた。一女(おんな)の意思から体裁(かたち)が仕上がり児(こども)の相図(あいず)を真面に観るのは、無垢を講じる両親(おや)の記憶の温厚(あつ)い途切れに相異無い儘、都会を見送る葦の独我(どくが)を雨が張(ぱ)ら突く一通(とおり)の上では、一人(ひと)を見送る御託を揃(なら)べる無己(むこ)の境地が道理を識(し)った。明日(あす)の孤独を無機に見送る厚い静寂(しじま)の焚火に投げ置き、拙い鮑を一女(おんな)が焼いてる旧通(むかしどお)りの律儀が見え出し、進歩が見えない一男(おとこ)の揺蕩(ゆらぎ)は斯くも絶えない晴嵐(あらし)の許容(うち)にて、孤独と盲者(もうじゃ)が〝網羅〟を掲げる旧来独語(むかしがたり)の奇形(かたち)を成した。何時(いつ)まで経っても朝日が昇らぬ真白(しろ)い自覚(かくご)の辟易等には、温厚(あつ)い周囲(まわり)が律儀を訓(おし)える粋(いき)の空気を弱音へ化(か)え出し、拙い孤独に嫉妬を見出す孤独と盲者(もうじゃ)が散乱するのは、小春(はる)の景色へ空気(しとね)が映れる惨い様子が艶やかだった。無刻(むこく)と自主(あるじ)に混沌(カオス)を観るのは旧来独語(むかしがたり)に逃亡して生く薄い孤独に女性(おんな)が燃え立ち、一男(おとこ)の周囲(まわり)で女性(おんな)が失(き)え行く旧い遊戯は暗(やみ)に向き出す輪廻(ロンド)を従え、鈍(くも)り眼(まなこ)に〝密(みつ)〟を眺める女の調子は自然(あるじ)の歩速(ほそく)へ縮んで活きつつ、男性(おとこ)の闊歩を存分眺める貴重の主観(あるじ)を痛感して居た。現行(いま)を眺めて現行(ここ)まで辿り、俺の謙虚は「女性(おんな)」を知らない一男(おとこ)の風気(ふうき)を余所へ漏らして、「一段」高みに悠々構える「男性(おとこ)の身欲(よく)」から幸(こう)を想った。一女(おんな)に対する総ての動作が俺の身元(もと)からすんなり仕上がり、純白(しろ)い景色に幻想(ゆめ)を見るのが如何(どう)でも適わぬ言動(うごき)に成った。陽(よう)の暮れから「日没」を識(し)り、一女(おんな)の人群(むれ)から暖気が揺れた。男性(おとこ)の理屈は揚々仕上がる。孤高の昼間に男・女(だんじょ)を侍らす自然(あるじ)の独歩は軽快だった。女性(おんな)の体裁(かたち)に未潤(みじゅん)が成り立ち、拙い理性(はどめ)が固陋を眼(め)にして、漆黒(くろ)い一夜(とばり)が如何(どう)にも往くのを一男(おとこ)の自覚(かくご)は素描しながら、漆黒(くろ)い遊戯へ弄(あそ)んで行くのは孤高を抱えた揺蕩(ゆれうごき)に在る。
儚い景色が見様(みよう)に揉まれて古色(こしき)の明度が朗(あか)るく発(た)つのは、自ず化(か)わらぬ現行(いま)の流行(ながれ)に凡庸(ぼんよう)から成る不通が跳び出し、厚い白壁(かべ)へと労苦を観るのを幻想(ゆめ)の界(かぎり)に通解(つうかい)して居る…。…無言に揺らめく幻(ゆめ)の気質を俺の生活(かて)へと変容させ活き、事始(こと)が出向ける概(おお)きな集成(シグマ)を解(かい)した後には、柔裸(やわら)の人数(かず)から自慢が零れる無己(むこ)の気色が順折り生き尽(き)る。真白(しろ)い独義(ドグマ)を宙(そら)に置き去り、厚い経過を眺めて見れば、一女(おんな)の体裁(かたち)は迷う事無く無純(むじゅん)に富み生く気勢を保(も)ち這い、男性(おとこ)の目下(ふもと)で安泰して居る…。一男(おとこ)の孤独が如何(どう)で在っても宙(そら)へ延び生く大気の人渦(うず)には、女性(おんな)の感覚(いしき)と一男(おとこ)の感覚(いしき)が分業(ノルマ)を仕分けてとっくり頷き、明日(あす)の連体(からだ)を仕留めて嬉しく、「男・女(だんじょ)の倣い」に奔走して行く。奔走成らねど狂奔して行く男・女(だんじょ)の感覚(いしき)は「孤独顔」した軒夜(のきや)の連呼に「夢を与(あず)ける無体(むたい)の気色」を如何(どう)でも好いまま小言へ添え活き、希望仕立ての「野菊の墓」には「男・女(だんじょ)の感覚(いしき)」が密に並んだ。男・女(だんじょ)の立場が宙(そら)を高める現世(このよ)の経過を眺めて居ながら、昨日通りの拙い分業(ノルマ)は一幻(ゆめ)を得ながら眩々(くらくら)して活き、一人(ひと)の孤独を出来事(こと)に安(やす)める旧(むかし)凌ぎの暴露を解(と)いた…。
~思秋期(ししゅうき)~『夢時代』より冒頭抜粋 天川裕司 @tenkawayuji
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