ナンパにのったら可愛い彼氏?ができた

となかみ

第1話

 昔、家族で花火を見た。

 大きな音の後に夏を象徴する綺麗な花模様。

 は見惚れていた。そのあまりにも華麗で、でも残酷な、その姿に。

 

 

 「はあっ」


 私-七瀬晴香ななせはるかは大きくため息をついた。

 両親が離婚して10年、親父について行ったのが間違いだった。 

 だって、親父-七瀬寛ななせひろしが五年前、僕が12歳の時に病死したせいで、私は一人で生きていくしかなかったから。

 母親とは完全に縁を切られ、連絡がつかないので、仕方なくバイトでボロアパートに住み生計を立てている。

 

 「今日も疲れたなー、てかお金が欲しいなー」


 せっかく華の高校生なのに。このまま人生終わるのかな。

 考えるだけで胸が不安でいっぱいになる。

 布団に横になり、スマホを開く。

 ああ、みんな楽しそうだな、母親についていったなら、未来は違ったのだろうか。


 「寝よ」


 明日は休日で珍しくバイトのシフトも学校も入っていない。

 家でゆっくりしようかな。


 チチチチッチチチチ

 聞きたくもない目覚ましが鳴ってしまい、目が覚める。

 どうやらいつもの癖でスマートフォンのアラームをつけてしまったらしい。

 時刻は6時35分、うん、とてつもなく早い。

 私は昨日、朝食用に買ってきたパンをスマートフォンをいじりながら食べる。

 激安スーパーには頭が上がらないな〜

 スマホを見るとニュースが出てきた。

 『散歩に不健康な女は一生モテない!』

 その時、晴香の頭に電流が走る。

 私はすぐに決断した。

 よし!久しぶりに散歩に行こう。


  

 私が公園に着くとまだ三月なのも相まってポカポカして気持ちが良かった。

 鼻歌を歌いながら、スキップをして歩いていく。

 たまには公園で散歩するのも良いかもしれない。

 ルンルンとした気分で歩くこと15分(脳内時間)私はスキップに疲れベンチで一休みしていた。

 その時、誰かがこっちに向かって歩いてくることに気がつく。

 え、誰?怖い。怖い。

 

 「えぇと、お姉さん、一人?てか暇?」

 

 歩いてきたのはナンパだった。

 

「すいません、その、ちょっと用事が…」


「そんなのないよね?七瀬晴香さん」

 

 「え?」


 

 

 

 

 

 

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