第5話

思いきって『勝手にすいません』と、失礼ながらドアに手をかけてそーっと開くと、簡単に開いてしまった。ロックしてないの?あれ?セコムのシール貼ってなかったっけ?見せかけシールかな?不用心ですよーと、思いつつ玄関に入ると


靴がいっぱい!

私と叔母さんの住む、おんぼろアパートの風呂場よりも広い玄関に、靴がバラバラと大量に散らばっていた。

うわっ!本当に入り口ギリギリまで、靴がびっしりとせまってきている。

なにこれ?気持ち悪っ!


あぁ、なるほどね。

まずは訪問者に靴の神経衰弱して遊べとな?高そうな革靴からローファー。ブーツ、秋なのにビーサンまであるよ。ABCマートかぁ?それとも大家族?


ほら、備え付けのすんばらしく大きいグレーの靴箱があるじゃないですかぁ。靴は靴箱に入れましょう、これ基本です。大事大事!近所の保育園でもみんなやってるよ。


スイマセン覗きます!散乱している靴を踏まないように、そっと深いグレーの靴箱に手をかける……と


再びスイマセン。

靴箱黒でした!ホコリかぶってグレーに変わってました!もうやだ!

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