第3話

土曜日の午前10時。訪問する時間帯は悪くはないはず。昨日ご本人様には連絡しているので大丈夫なはず。


私はスマホで家を確認し、高級住宅地に建つ大きな家の前で、大型犬のように足を踏ん張っていた。


なぜか今回のバイトは不安でしかない。

カンの働く私としては(カンで生きてるとも言えるけど)足が進まない。


いや……家自体は悪くはないのよ。

白い壁の赤い屋根で大きなお屋敷だ。威圧感がないのはきっと可愛らしい雰囲気だからだろう。ウッドデッキもあるからバーベキューとか楽しそう。


芝生があって、ガレージに外車が2台もあるし。敷地はとっても広い。お金持ちだなぁ。庭は業者さんを手配しているようで、とっても綺麗にしている。女優さんがエプロンつけて踊っていそうな、2階建ての立派な洋館だ。


なのに

なんだか、くすんでる。


こんな天気のいい秋晴れの日に、あちこちのカーテンが中途半端に開いていたり、閉まっていたり


どっちなんだい!はっきりしろ!って感じ。伯母さんからの余計な情報か悪いんだな。よし、1回忘れてクリーンな気持ちでお邪魔しよう。これはビジネス!それを忘れてはいけない。

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