終幕

第27話

===藤視点===



祖母が作ってくれた陽だまり。

母が育て、姉たちが守ってくれた、俺のための陽だまり。

いつのまにか四人分になっていた。


俺はここを守りたい。

俺は一人じゃ生きられないから、この四人でいられる居場所を。

人間は一人じゃ生きられないから、もたれ合うんじゃなくて、支え合う場所を。

エマさんの言葉が俺の心を打つ。




―――基央くんは、開祖様の孫だからというだけで選ばれたんじゃないのよ。


―――べつにどうしても直系の血筋で跡継ぎを選ばなければいけないわけではないの。


―――でも、あなたなら信者を良い方向に導いてくれると、おばあ様はそう見抜いたのよ。

あなたはおばあ様に本当にそっくりだから。

頭が良くて、本質を見抜く力が鋭くて、それなのに自分を誇示しようとしない。逆にとても優しい。

人間が好きで、自分の周りの人間をとても大切に思っている。

身近な人間を大切するように、信者のことも大切にしてほしい…そういうことなのよ。


―――お姉様方も、あなたのことをとても案じていらっしゃるわ。

あぁ、でも下のお姉ちゃんはちょっと違うかしら。

升くんと増川くんと直井くんがいれば、基央は大丈夫って言ってたわね。

たとえあの子が傷ついても、それを癒してくれる人たちに囲まれているからって。


―――お見通しね。

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