第7話

藤「まだ非公式の情報なんだけど、どうも爆発してる薬品のなかに有機リン酸系の劇薬が含まれてるらしくて。現場は化学テロでも起こったみたいなひどい状態になってるらしいんだ。おそらく呼吸器系の重症者だけで100名を超える」


山「ことは一分一秒を争う。あんな悠長に会議なんかしていたら、死者はますます増えるだろう」


藤「そこで、升とチャマに頼みがある。今日の外来は今すぐ中止にして、事故の負傷者を出来る限り、無制限で受け入れることにしてほしい」


升直「「えっ!!」」


山「升くん、悪いがきみの立場を利用させてもらう。院長も、自分の息子が関わっているとなれば、うかつに処分は出来ないはずだ」



それを聞いた升は、ニヤリと笑った。



升「わかりました。どうせコネなんて、こんな時くらいしか使い道がないんです。ほかの患者は、近隣の医療機関にお願いしましょう」

藤「さっき救急室に寄って、応急処置は増川に任せるって言ってきた」

山「意外と使える男だよ、あいつは」

直「知ってます」



直井も、口の端を上げて笑った。

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