第3話 ドラマ「全領域異常解決室」
連続ドラマ「全領域異常解決室」
制作 フジテレビ
脚本 黒岩勉
出演者 藤原竜也 広瀬アリス 柿澤勇人 福本莉子
小宮璃央 成海璃子 迫田孝也
ユースケ・サンタマリア 小日向文世
放送期間 2024年10月9日 - 12月18日
放送時間 水曜 22:00 - 22:54
あらすじ
警視庁音楽隊カラーガード(通称「MECメック」)出身、警視庁広報課に勤務する雨野小夢(広瀬アリス)は出向を命じられる。「全領域異常解決室(通称「ゼンケツ」)」。
神隠しや狐憑きといった超常現象として世間を騒がす不可解な事件を、内閣官房から要請を受け捜査・解決する秘密機関。大和朝廷時代から存続している世界最古の調査機関だった。
一方、世間では街中で大量の血痕と、衣類や所持品だけを残して遺体だけが消えてしまう神隠し事件が頻発していた。ヒルコという名で犯行声明が出され、社会不安が広まっていた。
そして、8件目の神隠し事件が発生。ヒルコを恐怖する人間に比例して、ヒルコを崇拝する人間もが増えているというデータに危機感を感じた内閣官房はゼンケツにヒルコ事件の調査と解決を要請する。
ゼンケツ室長代理の興玉雅(藤原竜也)は、場違いに感じている雨野に期待を寄せ、ゼンケツとしての心得を説くのだった。
評価 ★★★★☆ 注目作!今後語られる作品の一つ
ジャンルはサスペンス。
脚本面ではとにかく一度観てとしか言いようがない。
ラノベ好きがハマれる内容です。
そして、映画でおなじみ藤原竜也。声ガラガラ。喉を酷使する舞台役者の業というやつでしょうか。お酒も好きみたいデス。
『バトル・ロワイアル』、『デスノート / デスノート the Last name』、『カイジ』とヒット作で主人公を全力で演じてくれている彼は、本作でもいい味出している。
続編もしくは映画化を狙っている感がプンプン匂うのも楽しみです。
ネタバレありの感想
『SPEC』とか好きな人は楽しめそう。そんな雰囲気で始まった本作。
序盤は、超常現象に見える事件も科学的に説明できるという『Xファイル』や『TRICK』の路線かと思わせつつ、中盤でのどんでん返し。
実は、ゼンケツのメンバーたちは全員『神』でしたというトンデモ展開。
しかも一人一能力の能力バトル風味。『SPEC』のような世界に突入です。
スサノオ、ツクヨミ、ヒトコトヌシと日本神話の神々が出てくる。
日本神話好きはもちろん、『女神転生』で育った世代には刺さる展開だ。
そしてさらに、転向組である主人公・雨野も実は神だったというさらなるドンデン返し。
最終回は視聴者のテンションもマックス。ヒルコの正体が○○〇だったり、ゼンケツ京都支部の登場!皆さんこういう展開大好きでしょうのオンパレードです。
最後、ヒルコ陣営でただ一人生き残った二宮のの子(成海璃子)は続編への布石か。成海璃子という大物のわりに序盤は、荒波(ユースケ・サンタマリア)のオマケのような役だったのが、終盤、私がヒルコだと出てきたときは、キターって感じでしたよ(実際は本体ではなく操られていた)。
成海璃子といえば『TRICK』の山田奈緒子(仲間由紀恵)の子ども時代を演じた当時8歳。その演技力で子役時代に無双していたイメージが強く、成海璃子ちゃん今おいくつ?と思ってしまう。成海璃子が若ければ、俺たちもまだ若いんだと思える分水嶺の様な存在なのでした。
さて今回のテーマは日本神話。
「女神転生」シリーズ、現代だとその派生である「ペルソナ」シリーズを履修済みであれば、アメノウズメ、サルタヒコ、ツクヨミ、スサノオと聞いて馴染みあるものと受け入れられますけど、一般向けのドラマの中に登場させるリスクってどんなもんでしょ。
視聴者の知識欲と拒絶感のバランスの丁度いい所を攻める必要がありますね。
私のホームであるラノベ界隈で考えてみましょう。
エンタメ色の強いラノベ業界でも日本神話モチーフのストーリーを書くのは勇気がいるとは思いませんか。
本作でそれを解決したのが藤原竜也の存在だと思います。『バトル・ロワイアル』、『デスノート』、『カイジ』という少し難しい、込み入った内容を含む作品でも藤原竜也が丁寧に説明してくれると何となく視聴者は安心して受け入れられるような気がします。圧倒的な安心感、それを作り出すことが大事なのかな。
そもそも「能力バトル」要素を一般ドラマに持ち込むこと自体、歴史的な積み重ねがあって初めて実現したことだと思います。
2010年の『SPEC』の時点で、結構冒険した感がありましたし、カルト人気といわれることもありました。ジョジョ以降、何十年かけて大衆的理解を得ることができた。
その前の時代に似たようなものでは、SF素養があります。20世紀末、タイムマシンや超能力が当たり前に受け入れられるのは、戦後の作家、漫画家、その他創作者たちが繰り返しSF要素を盛り込んだ作品を提供することで、大衆的理解を得ていたことがあります。
エンタメ最先端では、散々使い古され陳腐化した概念でも、まだまだ一般大衆には浸透しないことも間々あります。
これをちょうどいいタイミングで持ち込むと、爆発的な反応がある一方で、失敗すると「攻めすぎた」「十年早かった」といった評価にもなる。
いい塩梅が難しい。
だからこそ、やってみる価値はありますぜ!
こんな作品も見てみよう
海外ドラマ『Xファイル』
1993年から2002年にかけてアメリカで製作されたSFテレビドラマ。全11シーズン。
UFO、UMA、オカルトなど科学では説明の付かない超常現象のまつわる事件に、2人のアメリカ連邦捜査局(FBI)捜査官、超常現象に対し肯定的な男性捜査官モルダーと、懐疑的な女性捜査官スカリーの対照的なコンビが、対立しながらも協力し解決していく。
基本的に超常現象に見える事件も科学的に説明できるというストーリーの裏に、エイリアンに纏わる壮大な政府の陰謀が見え隠れする構成。
テレビドラマ『ケイゾク』
1999年TBSで放送されたミステリードラマ。
迷宮入りした事件を担当する警視庁捜査一課弐係に配属された、東大卒のキャリア警察官僚・柴田純(中谷美紀)と、元公安の叩き上げ刑事・真山徹(渡部篤郎)が難事件を解決していく。
踊る大捜査線(1997)と並んで、21世紀の新しい刑事ドラマの流れを作った傑作。一話完結型のミステリと思いきや、最後にはダークな展開へと突入するストーリー。
テレビドラマ『SPEC』
2010年TBSで放送されたミステリードラマ。
警視庁公安部が設立した未詳事件特別対策係、通称“未詳(ミショウ)”に配属されたIQ201の天才であり、変人の当麻紗綾(戸田恵梨香)と、警視庁特殊部隊 (SIT) 出身で叩き上げの瀬文焚流(加瀬亮)の2人の捜査官が、常人にはない特殊能力(SPEC)を持った犯人と対決する姿を描く。前記「ケイゾク」と世界観を共通する。
ケイゾクの続編として、同様に刑事ドラマが始まるのかと思われていましたが、第1話の終盤で『SPEC』と呼ばれる超能力の存在が登場したことに視聴者は驚かされた。漫画の世界で確立された『能力バトル』概念を実写ドラマに持ち込んだ点が衝撃的だった。
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