Prologue

第1話

AM6:00



目覚まし時計の音で、ぱちっと目を開けた私は、毛布を剥いでベッドから降りた。


洗面所に行って冷水で顔を洗い、まだ鈍い思考を無理やりに目覚めさせる。


歯を磨いて着替えたら、キッチンに行って朝食の準備をした。




AM6:45



物音がして振り向くと、眠そうに目を擦った彼が現れる。



「おはよう」



そう言って、柔らかな笑みで微笑むと、彼も微笑み返してくれた。



「おはよう、あおい



寝起き特有の掠れた、ハスキーな声で名前を呼ばれて、胸がきゅんと高鳴った。


二人で朝食を食べ、その後は私は片付けをして、彼は仕事へ行く準備をする。




AM7:30



仕事へ向かう彼を玄関まで送り出して、「いってらっしゃい」とにこやかに言うと、彼も笑って「いってきます」と言った。



私の肩を抱いて、「いつもありがとう」と囁くと頬に軽くキスをしてくる。



こちらこそ、と言おうとするのに、声が出なくて、そんな私に構わずに彼はすぐに家を出ていってしまった。



顔に貼り付けていた笑顔が、無意識に剥がれ落ちていく。



いつもありがとう、なんて、そんなの言わないで欲しい。すごく、惨めになるから。




重い足取りで、ソファに寝転んで、深いため息を吐いた。




気づいたら、頬に涙が伝っていて。




悲しくて泣く、なんて、私らしくないと、イラついて涙を払って。



深く深く目をつぶって、現実逃避をするようにそのまま眠りについた。

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