第14話

眠れないでいたところに、スマホからメッセージの着信音が聞こえた。



メッセージのやり取りなんて誰ともしたことがなかったから、最初スマホにはアプリすら入っていなかった。

それで乃亜が私のスマホにアプリをインストールしてくれて、設定まで手伝ってくれた。

そして、乃亜と上水柳くんと、3人のメッセージグループを作ってくれた。



<今日 会えて良かった>


メッセージは上水柳くんからだった。


<こちらこそ 楽しかったです 迷惑をかけてごめんなさい>

<また敬語になってる>

<ごめんなさい>

<謝るのもなし>

<どうしたらいい?>

<そのままでいいよ>

<乃亜は?>

<兼房? もう寝たんじゃない? わかんないけど>


時計を見ると、もうすぐ11時になろうというところだった。


乃亜って早く寝ちゃうんだ。

少し意外な気がした。

でも、ずっとメッセージは上水柳くんからしか送られてこない。


<甘い物好きな人?>

<好きな人>

<パンケーキとか?>

<フルーツのたくさんのったのが好き>

<他には何が好き?>

<おむすび>

<甘い物の話してたのに>

<ごめんなさい>

<いいよ 中の具は何が好き?>

<梅干し>

<鶏マヨとかじゃなくて?>

<おかしい?>

<意外>


上水柳くんは次々と質問を浴びせてきたから、そのひとつひとつに答えていった。


<お酒は飲む?>

<まだ未成年だから>

<家でも飲まないの?>

<飲まないよ>

<真面目なんだ>

<真面目ですよ>

<教職とってるって言ってたけど先生になるの?>

<できればなりたい ずっと夢だったから>


そんなメッセージのやり取りはしばらく続いて、気がつけば時計はいつの間にか夜の12時を回っていた。


<そろそろ寝ます>

<じゃあ、明日また学校で>

<おやすみなさい>

<おやすみ>

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