ゆずり葉
岩田へいきち
ゆずり葉
大掃除がだいたい終わり、鏡もちを飾ろうとして裏白とゆずり葉がないことに気づく。随分と前に妻が一式用意していたが、裏白とゆずり葉は、枯れるし、買っていないと言うことだ。
また、難問だ。毎年この難問には苦労する。駐車場から混雑している売ってそうな店を何軒も回ってやっと探し出したこともある。今年は、去年最終的に探し出した店を最初から目指す。
あった、あった。駐車場は、苦労したが、1軒目の店先で、ゆずり葉を発見。裏白もうちに丁度良いくらいの大きさものが5.6枚一セットでビニール袋に入れて売ってある。2枚しか要らないのだが、1軒目だ、随分と時間を節約出来た気がする。ゆずり葉も結局4枚の葉っぱしか使わないから、こんな風に5.6枚セットで売ってくれないかなと思ったが、それはなかった。最初に見つけた店先の生花用のゆずり葉一本100円を買うことにした。裏白セットよりむしろ安い。葉っぱ4枚しか使わないのだが。
家に帰って、早速、鏡餅の飾り付けを始める。ゆずり葉は、餅の大きさに合わせて、小さいサイズでいいのだが、木の先端や途中の葉っぱを取るのが忍びなくて、1番下からサイズや形を気にせず4枚取ることにした。古くなった葉からだ。あまり抵抗なく取れた。そして上の方を眺める。同じ様な葉がいくつも並んでいる。上に行くほど若くて形もいい葉だ。なんて素晴らしい木なんだ。その名の通り、若い葉が育ち、立派になったら、古い葉は、新しい葉にその役目をゆずって静かに散っていくのだろう。まだこんなに深い緑色で、しっかりしているのに。
この4枚に鏡餅のお飾り役という大役を与えよう。奇しくも私も会社でそんな年齢でそんな役柄だ。私は、この素晴らしいゆずり葉( 杠 )の木を、一輪差しで花瓶に入れて今年は、特別に飾ることにした。なかなかいいじゃないか。若い葉っぱたち、立派に役目を果たしてくれ。私は、こちらで鏡餅を支えるよ。
終わり
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ゆずり葉 岩田へいきち @iwatahei
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