禁断の場所
ツヨシ
第1話
仕事の関係で地方都市の郊外にある住宅街に引っ越した。
ちょっと田舎だが環境はいい。
しかし気になることが一つ。
住宅街の一番奥に小さな工場があるのだ。
廃工場で、長い間放置されているのだが、奇妙なことに窓も入り口も全部鉄板で覆われ、ご丁寧に溶接までされているのだ。
――なんだこれは?
近所の人の何人かに聞いてみたのだが、若い人は良く知らないようだし、年配の人は何か知っているようなのだが、露骨に話題を避けるのだ。
――絶対になんかあるな。
そう思っていた矢先、ひょんなことから職場の初老の先輩が、かつてそこに住んでいたことを知った。
当然、先輩に聞いてみた。
「いやあ……」
先輩はごまかそうとしたが、俺が食い下がると答えた。
「あそこ、突然幽霊が出るようになってね」
「幽霊?」
「そう。しかも幽霊が出るようになってから、あそこで何人も人が死んでいるんだ。だから誰も入れないようにしているんだ」
「そうですか」
「あれが気になるようだが、関わると大変なことになるぞ」
「わかりました」
俺はそう言ったが、実は俺は無類のオカルト好きなのだ。
こんな面白い物件、指をくわえて見ているはずがない。
早速行動に移した。
夜、工場に行った。
会社から切断機を持ってきて。
切断機は少しの音と火の光があるが、工場は住宅地の一番奥でしかも一番近い家からの少し離れている。
おまけに俺が開けようとしている入り口は、住宅地から反対側だ。
音も光も住民に届くことはない。
――やりますか。
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