主人公の恋敵として、夫に断罪される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
第1話
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は
『いいえ!』
『No!』
と答えるわ。
だって・・・そうでしょ?
真実の愛なんて所詮は金銭に余裕がある者しか楽しめない。
言うなれば真実の愛=人間による妄想の産物でしかないのよ。
何でそんな事を言い出したのかというと、これにはちゃんとした理由があるの。
実は私・・・【夢色の恋人達】というBLゲームに登場する悪役のベルフィーネに転生した日本人女性なのです!!!
お前、何言ってんだ?
いい年して中二病?
私だって転生なんて仏教の教えを除けば、漫画やゲームといったサブカルチャーでしかあり得ないと思っていたわ。
でも・・・真実なの!
何で私がベルフィーネという女性に転生したと断言できるのかというと、姿形が【夢色の恋人達】に出てくるベルフィーネだったからよ!
まずは思い出しながらになるけど、ゲームのストーリーを軽く説明するわね。
【夢色の恋人達】というのは、王宮や神殿、施設や家といった建造物に衣装や装飾品等は古代ギリシャ・ローマ、バビロニアにファンタジー要素をミックスさせたようなもので、文明は遅れているのかと思いきや進んでいるのよ。
料理だって二十一世紀とまではいかないけど、それに匹敵するくらいだし。
中世より古代の方が文明は進んでいたから、ゲームでもそういう設定になっていても不思議ではないわね。
このゲームの主人公はユーリアといって、一言で言えば見た目は華奢な絶世の美女だけど実は男。
母親は陛下の側室にもなれない身分の低い女性だけど、陛下が我が子と認めた事でユーリアはコンフィテュール王国の第二王子という立場にある。
でも実はこの人・・・王子なのに自分で自分の身は守れないわ、まともに戦えないわ、王子であれば修めて当然の学問を何一つ修学していない。外国語も話せない。乗馬も出来ない。剣術も出来ないという、ないない尽くし。要するに足手纏いのヒロインポジって奴なの。
私にしてみれば
『こいつ無能やん。穀潰しやん。うん〇製造機やん』
でしかないけど、二人の攻略対象者───異母兄のジュリアーノと隣国ミルキー王国の王子であるシェムザにとってユーリアは
『地上に舞い降りた天使』
『赤子のように純粋無垢な心を持った優しくて慈悲深い王子』
『どんな手を使ってでも我が物にしたい女神』
であるらしい。
男って自分が居ないと生きていけないレベルで儚くて頼りない女性・・・いや、この場合は男性になるのか?男性が好きという生き物なのかしら?
この二人、ユーリアを巡って最終的には国民を巻き込んで戦争をするからね~。
一人の美女が原因で起こったと神話で語られているトロイア戦争かっつーの!
そういえばトロイア戦争が起こった本当の原因は何だったのかしら?
どこかの土地か島を巡っての領土争い、或いは交易によって得る利権を巡っての小競り合いが発展していって戦争になった。
それを下敷きに、後世の人が一人の美女を巡っての叙事詩にしたと私は思っているのだけどね・・・。
で、前世は腐女子でありながら会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた部署の責任者だった私が何故、このゲームをプレイしていたのかというと、単にスチルが美麗だった事と攻略対象者達がイケメンイケボだったから。
それだけよ。
BLゲームだけど主人公の前に立ちはだかる悪役令嬢が出てくるのはお約束で、その一人が私ことベルフィーネ。
ユーリアの父親である国王の弟の娘だから主人公の従妹になるわね。
えっ?
ユーリアの従妹という事はジュリアーノとも従妹になるのではないのかって?
違うわ!
私とジュリアーノは赤の他人なの!
ジュリアーノの母親は王妃だけど、父親はコンフィテュール王国の国王ではなく庭師なの!
そもそもジュリアーノの母親は平民の娘で、二十一世紀ならともかく古代では平民の娘が王妃になれるはずがない。
それなのに何故、平民の娘でしかない彼女が王妃になれたか?
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