白の|魔導書使い《グリモワール》〜最強魔導書使いは成り上がる〜
YamiYami
プロローグ①
この物語はある一人の少女のお話です。
白い瞳に艶のある黒いショートヘアー。
この世の生き物かと疑う程の美貌……まるで天使かと姉にそう言われていました。
魔力が無い人を差別する人が稀に居て母親はその一人でした。私は生まれつき魔力がありません。
それが理由なのか、家族から虐待をされたり、暴言を吐かれたりの地獄の日々……。
魔法が使えない人を差別する人が居る、そんな世界ですので。
姉だけはそんな酷いことは致しませんでした。
その日私は虐待がエスカレートして家出をすることを心に決めます。
姉が時間稼ぎをしてくれました。私はその隙を狙って家から出ることに成功。
雪が降る夜……路頭に迷っていた私にあの方が手を差し伸べてくれました。それは、のちのち師匠となる方に出会った日です。
(誰か……助けてくれないかな……そんなうまい話ないか)
小さい頃の私は凍えていました。寒さが身に染みます。
「助け……て……」
誰かがこちらに来たようです。母親が来たのでしょうか……。
居場所がばれ、また虐待をしに母親が来たかと私は覚悟を。
「どうしたんだい?」
違う人だったようです……それは母親と比べられない程の優しい方。ていうか悪い母親と比べるなんてことは失礼な程です。
その方のお名前はネロ・ローレンスさんと言います。偉大なる最強の魔導書使いで知らない人はいらっしゃらない凄い方なんですよ。
幼いころの私の冷えた手を師匠は優しく握りました。
師匠に助けられたこの日は生涯忘れることは、ないのでしょう。
「良かったら、わたくしの家に来ませんか?」
「良いんですか……」
「はい……良いですよ!」
私はローレンス宅にて居候することにしました。
「誰に殴られたんですか?」
「母親とか姉だとか、です……かね……」
「かわいい顔が台無しじゃないですか」
師匠は椅子から立ち上がりました。そして白い本のような物を本棚から一冊取り出したようです。
「なんですか……それ」
「これは魔導書って言うんです。こんなふうにやると……」
師匠は魔導書をおもむろに開きました。師匠の手が緑色に光り輝きました。その手を私の頬に当てます。
「セラペボ……」
顔の傷は見る見ると消えて行きます。
「夕食、お食べになられていませんよね。クレシアさんもどうぞ……アレルギーは無いですか?」
スープ、チキンステーキ、パンが私の元に運ばれてきました。
「こんな質素な料理で、すみませんね……」
「いただきます……」
(美味しい……とても美味しい、こんな食事初めて……)
──食事ってこんなに温かいものなんだ──
このような物はあのお家ではもちろん食べられませんでした。
食べられた物と言えば良くて冷めきったパスタの残飯とかでしょうか。
親であれば子供が残した物を食べるなんてことはあるでしょうが少なくとも子供に食べさせるべきではありません。ここの食事は私にとってまるでごちそうでした。
私はあっという間に食事を終えました。
「とても美味しかったです……」
「そうですか……良かったです」
「お食事を済まされたらお風呂でもいかがでしょうか」
「私とお風呂入ろう……」
私は弟子の方とお風呂に入ることに。てかこの人いつから居たんですか! とても棒読みで何を考えているか良く分からない表情を終始しています。
お風呂上がり、弟子のフィロさんが魔導書で風魔法を使い私の髪を乾かします。
そしてしばらくして師匠が私を呼びました。
「魔導書……触ってみますか?」
「は……はい……」
「庭に出ましょう!良い物見せてあげますよ……」
「これ着て……クレシアちゃん……」
私は弟子さんの上着を借りて、師匠とみんな一緒に庭へ出ることに。
フ ァ イ ロ ア ン サ ズ
「ほら花火ですよ!」
空に魔導書から大きな花火が続々と打ち上がります。
「綺麗……」
「そうでしょう」
「ネロ師匠の魔導書は……万能……ですね」
この一日はとても輝いていて、私にはまるで夢のようでした。
私は決意しました! 師匠を超える最強の魔導書使いになることを!
「師匠……私も魔導書使いになりたいです!」
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