学園で人気の美少女ギャルをセ◯レにする方法
お小遣い月3万
第1話 自殺
昔々あるところに醜いおデブちゃんがいた。
おデブちゃんはイジメられてイジメられて、まだチン毛も生えていない小学5年生なのに自殺まで考えて、実際に色々と自殺について調べてみたりもした。
飛び降り自殺は地上にいる人にぶつかったら迷惑になるだろうし、練炭自殺が一番楽だとネットで読んで、練炭自殺をググったら『ヘルプが利用可能』と表示されて、どこか知らない電話番号に発信できるようになっていて、その数字の羅列を見たときにあぁ俺は誰かに助けを求めないといけないんだと思ってワンワンと泣いて、でも誰に助けを求めていいのかもわからず、とりあえずヘルプが利用可能って書かれたダイヤルに電話をかけてみたけど怖くて消した。ダイヤルの向こうにいる人が怖かったんじゃなくて、お母さんにバレることが怖かった。
お母さんには負担をかけたくなかった。ましてやイジメられているとバレたら母親はどう思うだろう? お母さんは俺のことを愛してくれている。母親一人で俺を育ててくれていた。俺がイジメられているとバレたら仕事が忙しいのに学校に行ったりイジメっ子のところへ行ったり、俺のせいで色んなことに巻き込むような気がして母にイジメのことは気づかれてはいけないと思った。
先生には一度だけ助けを求めたこともあった。30代前半の男性教員の答えは「君も悪いところがあるんじゃないか?」だった。コイツは俺のことを守ってくれないんだ、俺が悪いんだ、俺が悪いんだったら死のうと思って、色々と自殺について調べて風呂場でリストカットすることになった。
もう少しすればスーパーの袋を持って母親は帰って来るだろう。死ぬ前にお母さんに手紙を書こうと思って机に座ると数十分後にスーパーの袋を持って帰って来るお母さんのことが頭に浮かんだ。「待った? ご飯作るね」とお母さんは言って、仕事で疲れているのに休憩もしないでご飯を作り始めるだろう。お母さんがキッチンで料理を作っている背中を思い出すと握っていたペンが震えて、泣きながらお母さんごめん、大好きだよ、と書いた。
お風呂が沸きました、という機械音が聞こえるとカッターを持って風呂場に行って裸になって湯船に浸かってはぁ〜とため息をついて俺の人生が終わるんだなと思いながら涙でぐしょぐしょになった顔を湯船のお湯で洗ってお母さんのことを考えた。
お母さんごめん働いてココまで大きくしてくれたけど俺死ぬわ、って思ったらまた涙が出てくる。
早くしないとお母さんが帰って来て死ねなくなるから湯船から腕を出して、プニッとした白い手首をカッターで切った。始めは意外と痛くなくてコレで死ねるのかな? と思ったけど、血がドボドボ出て痛みが後から追いかけて来る。
湯船の中に血が滲んでうわぁお母さんが次に入れないよ、と思ったけどそもそも俺が自殺した後のお湯にお母さんは入らないだろう。湯船が入浴剤を入れたみたいに赤色になり、頭がボッーとして来て俺は目を瞑った。遠くからガチャと玄関の扉が開く音が聞こえて、しばらくするとキャーーーーと母親の悲鳴が聞こえた。
それから俺は病院に緊急搬送されて一命は取り止めて、体力が戻るとカンセリングの先生もついた。先生にイジメられていたことや担任の教員にイジメのことを伝えたけど君も悪い、って言われたことや、お母さんに心配をかけたくなかったことを全て喋り、結局はお母さんにイジメのことがバレて引っ越すことになって、2度とイジメられていた学校に戻ることはなかった。
だけど1度あったことは2度あるかもしれない。またお母さんにイジメられて迷惑かけるかもしれない、と俺は思って、次こそはイジメられない自分になろうと決意して、ダイエットのためにリトルリーグに入って一年後には4番でエースになり中学生になった時にはサッカー部に入って2年生になった頃にはフォワードでレギュラーになって県大会で優勝して、中三の時には陸上部のピンチヒッターで出場した県大会の100メートル走で優勝して、俺の知らないところで俺のファンクラブが出来て中学の3年間で12人の女子に告白されて、そのうち2人と付き合って別れた。
そして高校生になって、アイツと出会った。
アイツというのは小学生の頃、俺を自殺まで追い込んだ女子である。
「黒瀬君って、めっちゃカッコイイよね」
高校入学したばかりで人間関係が築かれていない状態で、ギャルが俺に喋りかけてきた。
男子の中で、どの女子が可愛いか評価されていて、男子が選ぶナンバーワン女子が、俺に喋りかけてきたギャルだった。
光を反射すると茶色になる髪色。慣れたナチュラルメイクに白肌。ネイルもお店でちゃんとやっているっぽい。顔を見なくても彼女から発せられるオーラは私ってイケてるでしょ?
顔を上げて彼女の顔を見た時、彼女の名前と小学5年生の時の同級生が一致して俺は息を飲んで死のうとした過去のことを思い出した。
「黒瀬君って中学でも有名だったんでしょ?」
とギャルが言う。
ギャルの名前は近藤絵梨花。
近藤さんめっちゃ可愛い、と男子からの噂を聞いた時は、あの近藤絵梨花だとは思わなかったし、遠目で見た時も近藤絵梨花だと気づかなかった。清楚系の可愛いギャルがいる、ぐらいにしか思っていなかった。
でも間近で見た時に俺を自殺まで追い込んだ近藤絵梨花だと気づいてパニクった。
近藤絵梨花は俺を見つけてイジメを再開しようとしてるのか? 俺だって成長している。簡単にイジメられるほど弱くはない。イジメっ子は弱い奴やぼっちを狙って攻めて来る。だから仲間を作って防御を作らなくちゃ、と思ったけど、近藤絵梨花の瞳にはハートマークが浮かび上がっていた。
もしかして昔イジメていた黒瀬直人だと認識してないんじゃねぇ? もしかしてコイツは俺のこと覚えていないんじゃねぇ?
「俺のことを知っていてくれて光栄だよ」
と俺は引きつった顔を必死に隠して、近藤絵梨花に返事をする。
俺がやるべきことは、この女が俺をどうしようとしてるのか? 俺がイジメていた黒瀬であることを認識しているのか? まずは探ることだった。
「こんなに可愛い女の子が、どうして俺のことを知っていてくれているのかな?」と俺は尋ねた。
可愛い女の子、と言った自分自身に反吐が出そうである。お前は俺の心をボロボロにするほど破壊したのだ。俺のことを忘れたなんて言わせねぇーよ。
「だって」と近藤絵梨花が言って、手をモジモジしていた。「私、サッカー部のマネージャーやってたんだけど、黒瀬君、めっちゃ有名人だったよ。まさか同じ学校で、同じクラスになるなんて」
コイツ、自分がイジメていたデブだとは認識していないらしい。
「嬉しい。こんな可愛い女の子に認識されてるなんて」と俺は言って、顔を上げて微笑んだ。
目の前にはイジメっ子だった近藤絵梨花が目を潤ませて頬を赤くして立っていた。
「近藤絵梨花さん」
と俺は言った。
他人の空似ということもあるだろうから、一応は名前は確認しておく。
「えーーー、どうして私の名前を知ってるの?」
やっぱり近藤絵梨花だった。俺を自殺まで追い込んだ張本人である。
「男子達が可愛い女の子がいるって君のことを噂してたから」と俺が言う。
「可愛いって」と近藤絵梨花は言いながらハニかみ、モジモジしている。
俺はコイツの正体を知っているから、一切可愛いとは思わないけど、見た目だけはそこらのアイドルにも負けないぐらいの美少女である。
コイツには沢山の借りがある。イジメられた分は、ちゃんと返そうと俺は思って、ニッコリと微笑んだ。
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