第11話 思惑
芙蓉の方や楓や紅葉の思惑!
それはこの右大臣家の跡取り息子である
この美しい姫君が
何せ、義鷹も既に
いや、親の決めた許嫁はいたことはいたが、何と左大臣家の嫡男で義鷹の友である
(※解説:しつこいようですがこの世界では藤原氏が中心社会で藤原姓だらけです)
要するに美人と評判の
(※解説:この平安(ぽい?)世界では本名よりも貴族の人々は通り名で呼ばれることの方が多かった。あまりにも藤原さんばっかりだったからかもしれない)
身分も見た目も自分より上の
帝より「身を慎むように」と注意を受けるくらいで済まされていたのである。
そうして今は、その元許嫁の三の姫は『凛麗の中納言』とか『凛麗の君』と呼ばれる
その浮名っぷりはまるで源氏物語の光源氏さながらである。
しかし、そんな話を聞いた扶久子は
***
「はぁ?何ですかその
「ああ、姫もそう思われますか?」
芙蓉の方は扶久子のその言葉に激しく心を動かされた!
何と嬉しい事を!と!
口さがない者達はまるで『義鷹が醜いから仕方がない』『むしろ凛麗の君が世にも醜い恐ろしい許嫁から姫君を救った』等と言う
なんと口惜しい事だったろう。
義鷹は
逆に帝の従弟でもある
悪いのは明らかに
その身分のせいもあるが、見目麗しい
それを真っ向から否定したこの姫は何と筋の通った心正しき姫君なのかと
「当然です!どれだけ男前で美しい方なのかは知りませんがそんな男、私は死んでも嫌です!そんな男が忍んで来たら大声を挙げて、そこらにあるものを投げつけて逃げます!」
「まぁっ!さすが髪を切り、
そう言って母君(芙蓉の方)が感動すると女房達も感心したように扶久子を称える。
「見た目だけでなく心根までもなんとご立派でお美しい!」
「真に、まるで尼君のような短き髪なれどまるで
「ほんに!化粧などせずともキメ細やかで透き通るように美しい白い肌で同じ女の身でありながら見惚れるばかりにございます」
芙蓉の方も、この可愛らしくも頼もしい自分の息子の為に憤慨してくれる扶久子に、もう好感しかなく、益々息子の嫁に欲しいと
夫である右大臣
そしてこの姫を
実際、扶久子は、平安っぽい、
しかし扶久子は、自分が不細工だと思っているので、自分なんかをこんなにも持ち上げてくれる女房達や母君を本当になんて良い人達なの?とは思いつつも反面、自分に自信など欠片もないかったので、どうにも素直に受け入れ難く苦笑いするのであった。
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