1月2日

昨日の夜は眠りにつくまでが長かった。特別霊感があるとかはないはずなんだけど、目を瞑ってから物音がして、何かの気配がして、少し息苦しかった。まるで首を絞められているみたいで、振り払うように寝返りをうって、寝た。眠るのが遅かったのに、なぜかいつもより早く目が覚めてしまった。


昨日と同じ、お雑煮を食べて、ソファでスマホと睨めっこする。テスト勉強をしようと思って、始めたは良いけど、その途端に眠くなってきた。


母がコーヒーを淹れてくれて、両親の目の前で、コーヒーを飲みながら勉強を始めた。祖父母の家に来ているため、一人でいられる空間がない。


やっぱり眠気に逆らえず、ソファで眠ってしまい、気づくともう昼だった。兄が起きてきて、朝食とも昼食ともいえないような食事をとっている。私は起きてすぐ、昼食を食べた。


起きて、食べて、寝て、起きて、食べた。お正月みたい。お正月だけど。


午後は、実家に帰るため、荷造りをして、部屋を片付けた。外に出ると雪がパラパラと降っていて、寒かった。


親戚たちにまたね、と挨拶をする。小学生のいとこは、この間までバイバイする時に必ずハイタッチか、グータッチをしてくれていたのに、もうその文化は廃れたようで、私の手が宙を泳いだ。


帰りの車は父の運転で、私はBluetoothで音楽を流す。長い帰路で、一生家族と話しているかというとそうではなく、各々ぼうっとしてそのうち母と兄は寝る。


今日は兄の精神的な具合があまり良くないようで、元気のなさが目に見えて分かるから同じ空間にいるのがなかなかしんどかった。心配ではあるが、空気の重たさは私の体にもくるものだなと感じてしまった。


私は基本的に車で寝ることはなく、好きな音楽をずっと口ずさんでいる。一人カラオケ状態、喉が渇くから飲み物の減りもはやく、トイレにもいきたくなるから、私の塩梅でサービスエリアに寄る。


高速道路を走る間、窓の外を眺めている。知らない街に広がった田んぼや、たまに通る新幹線、雨が降ったり止んだりして、これが結構楽しい。


高速道路のインターの近くにはラブホテルが多い。それは大抵テーマパークかと思うほど派手な見た目をしていて、小さい頃車で横を通るたび、両親に「あそこに行ってみたい!」と無邪気に話した気がする。無邪気って、怖い。困らせて申し訳ない。


渋滞にハマって、さすがの私も寝てしまって、起きたら、夕飯はロイヤルホストに行くことが決まっていた。


ロイヤルホストについて、席に座ると、やっぱり家族は疲れていて口数も少ない。いつもだったらその気まずい空気をどうにかしようと謎の使命感で喋り続けるけど、流石に一緒にいすぎて私も疲れていた。


この空間をプラスにするには美味しいものをたくさん食べるしかないので、(と言う言い訳を心の中でしながら)ステーキとハンバーグとその他諸々を胃がはち切れそうになりながら食べた。背筋を伸ばすと、お腹のキャパシティが増えるような気がして、綺麗な姿勢で目の前に並べられた沢山の食事を完食。すごく行儀よく見えていた気がする。


車に戻って、今度は実家で一緒に住む父方の祖父を迎えに行く。私たちが母方の祖父母の家に帰省している間、祖父は叔母の家にいた。


名前を出さずに書いていると登場人物が紛らわしいな。私が分ればいいか。


家に着くと、一緒に帰ってきたはずなのに祖父に「おかえり」と言われた。祖父は認知症だ。一緒に帰ってきたじゃん、と呆れた顔をする両親を横目に私は、「ただいま」と言った。


30日からずっと家族と一緒にいたため、自室で一人でいる今がすごく快適だと感じる。板橋ハウスのラジオを聴きながら、部屋を少し片付けた。綺麗になった部屋で、パソコンを開いている。


今日は今年も仲良くしたい何人かに連絡して、遊ぼうね、って約束した。仲良くしたい友達がいることは幸せだと思う。幸せだと言葉にするべきだと思う。当たり前ではないので。


そう言い聞かせないと、何だか気分が悪くなりそうなくらい疲れている。


家族に対して、疲れている。


実家に住んでいるとはいえ、普段は外で遊んだりバイトに行ったりとここまで一緒に過ごすことはない、から疲れてしまった。


もちろん、全く嫌いじゃない。大好きだし大切な家族だ。


疲れている時に疲れていることを理由に人にあたってはいけない、から今日はもう一人でいなくてはいけない。


早くお風呂に入って寝よう。明日、できれば気持ちよくおはようが言いたい。

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