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 光属性攻撃強化のカードが出たのはそれから半月後の事だった。

 セグナノーラの街で掲示板を確認すると買取依頼は変わらずに金貨30枚のまま貼られていた。


「あれ?この40枚で売りますってやつ前に来た時もこの人でしたよね?」


 ティローペに言われて見てみると、確かに文章や文字の配置に見覚えがある。

 以前ここに来たのは1ヶ月以上前だからあれからずっと売れていない様だ。


「前に見たのと書き方が一緒だし2枚目を出したんじゃなくて高すぎて売れてないのかな?

 なら逆オークション形式で2日置きくらいで徐々に下げていくのはどう?」


「手間は掛かりますが良いと思います。今は1枚でも多く金貨が欲しいところですし」


「そうね、どうせ光耐性を買い集めるのにもう少し時間がかかりそうだしいいんじゃない?」


 光耐性は今3枚購入出来ていて、まだ後3枚買わないといけない。

 ボッタクリの蘇生薬が売れ、パーティ資金とテミルのお金で最優先で購入しているとはいえ、まだまだ資金不足なのが原因だ。

 僕とティローペはデュラハンから取ってきた龍鱗をヤムーラ達から買い取ったり、武器を強化しようとして失敗したりしているのでお金がまったく貯まっていない。

 光耐性100%とオリハルコンの杖が2本出来るまで先へ進まない事にしたので、セイントヒーローにはもう少しの間相手をしてもらう事になる。

 毎日300個近くネノミコアの街で売り払っている石炭も買取価格が下がらずに買ってくれている。

 受付で聞いたら、元々あの街では人気のないヘルハウンドしか石炭を落とさなかったので少し不足気味だったらしい。

 おかげで上位の装備の錬金に挑戦しやすくなり、上鱗やアダマンタイト装備が少し安くなったと聞いた。

 錬金術以外にも使えるから倉庫が満杯で困る事は無いだろうけど、1万個以上売り付けているので心配になってくる。

 もう半月くらいで先に進む予定だとは言ってあるので在庫として取って置いているかも知れない。


 ヤムーラ達は結局デュラハンに移動してもらい、この半月で4個の龍鱗を持って来てくれた。

 ギルドの販売価格よりも安く装備強化に挑戦出来るから本当に助かっている。ギルドの買取額と販売額だと金貨1枚以上差があるからね。

 全身鎧なうえに頭も無いから弱点がどこだか分からなかったけど、色々試したら関節部分でもバックスタブの効果が発動したらしい。

 おかげで今ではあのデュラハンが2発で倒せるらしく、ティローペもチョッパーに転職するか悩んでいた。

 相性は悪くないと思うんだよ、テミルが魔物を引き付けているから後ろも取りやすいし。

 ただ、変えるとしたら賢者か大賢者のジョブだろうから魔法の使い勝手が悪くなるのと、威力が落ちるのが問題だよね。

 後ろから弱点を狙うならダークランスを使えた方が便利だろうし、大賢者の方を変えるとなるともっと威力が下がるからそもそも魔法がいらなくなりそう。

 魔法を使わないなら杖も他の武器に変えた方が良いだろうし、今更変えていくのは大変そうだ。別に今だって弓持ちのセイントヒーローを1人で倒しているのだから火力不足ってわけじゃないしね。

 気になるなら武器の強化が成功したら杖攻撃力強化のカードでも挿せば良いんだしね。

 剣と違って杖で殴る人は少ないから大分安く買えるみたい。魔法使いが少ないのに、前衛も出来るとなるとさらに少ないのだろうね。

 長柄の武器が使いたいなら刃のある槍の方が強いし使用者は本当に少ないと思う。


 それからまた半月、さらにセイントヒーローを倒し続け、光属性攻撃強化のカードを金貨36枚で売却し、光耐性100%、オリハルコンの杖2本を完成させた。

 杖を2本作るために合計8回も挑戦したのに、余った材料でエジの短剣を強化したら1回目で成功してしまった。

 ティローペは最初の5本を連続して失敗していたのでその揺り返しが一気に来たんだろうけど、目の前でやられると愕然とするよね。

 エジはあまり使わないから一度売るか?と聞いてきたけど、どうせ作る事になるからそのまま使ってもらう事にした。大成功品だったら売っていただろうけどね。

 これで再び内側へと進む事が出来る。

 この2ヶ月ずっとセイントヒーローを倒していたから長かったのか短かったのか分からないけど、僕がレベル98になっているのだから長かったんだろう。

 おかげで水属性攻撃力上昇もレベル10にする事が出来たので、闇属性に耐性を持つ魔物が相手でも倒しやすくなった。

 これだけ準備したら倒せない魔物もいないんじゃないだろうか?正直テミルが倒される所が想像出来ない。


 久し振りの新しい変化に浮ついていたのをミズナに注意され、気を引き締め直して内側へと向かう。

 黒いコウモリのような大きな翼に、濃灰色の筋肉質な肉体。どこからどう見ても悪魔なのだけどこいつも光属性らしい。

 ただ、悪魔の性質も持っていて闇属性にも完全な耐性があってダークエリアは効かない。もちろん光属性も効かないので2属性に耐性があり、ティローペにとっては天敵と言って良い魔物だ。

 まぁこの魔物の時だけ魔道士と大魔道士に転職したらいいだけなので、精霊術師にとっては大した違いではないけど。

 弱点が突けないとは言っても新しい杖のおかげで魔法の威力も上がっているし、強力になったウォーターエリアの前ではユニコーンと倒す時間はそれほど変わらない。

 いや、結構硬いな。魔法耐性も高いのかも知れない。

 セイクリッドデーモンは宝石と重殻の他に天使族へのダメージ増加+20%というカードを落とす。光属性にしかいないと言われる天使への特攻効果のカードを落とすなんて、こいつまだ光属性に敵対したままなんじゃないだろうか?

 ティローペが耐性に泣かされたものの、問題なく戦える事が分かったので安心して先に進むことが出来る。

 ホーリートルネードを受けてもテミルは本当に平気な顔をしていたし、やっぱり耐性を上げておいて良かった。これならテミルの負担も大分楽になるだろう。

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