第3話

 40代後半になると、思うことがある。

 それは、もう両親や学校の先生から、ほとんど、干渉されなくなっていくと思う。それは、自由だし気ままと思う。

 …

 ただ、と思う。

 20代の時は、気がつかなかったけど、30代、40代になると、「ああ、あれは、先生が言っていたことだ」とか「親がうるさく言っていたなぁ」と思う。そして、学校時代の無責任なままの時代と違ってくることがある。

 例えば、10代の僕は、女の子と話をするのが、苦手だった。

 ところが、年頃になって、急に異性の大人になっていく姿を見て、僕は、人一倍、彼女と話をしたいのに、僕は、自意識過剰なあまり、話ができなかった。

 身体だってフリーズして、緊張をしていたのだと今なら分かる。

 …

 僕は、学校で、英語の単語をいっぱい覚えたり、数学や国語の問題でいっぱい正解を出すのが全てと思っていた。

 そして、歴史の人物をいっぱい覚えて、理科系だったから、化学式だって、いっぱい覚えた。

 それで、大学に入学したら、僕は、孤立をしていた。

 両親や先生が、こんな僕を、6年かかって、大学を卒業させたけど、今なら、思うが、僕は、知識はいっぱいあったが、「知恵は、なかった」と確実に思う。僕は、社会で生きていけるのか、と身内から言われていた。

 …

 ただ、僕は、大学を卒業して、20年が経った今でも、何とか生きている。いや、20代の僕は、知識はあったと思う。例えば、ブドウ糖を発行したら、エタノールになる、なんて理科系の知識はあった。

 しかし、僕は、他人の気持ちに無頓着だったから、よく同級生ともめたなぁと思う。

 あの頃の僕は、心を閉ざしていた。

 下宿のアパートと学校の授業は、真面目に出ていたけど、友人との語らいが、なかったなぁと思う。

 だから、僕は、会社員になれなかったし、バイト先でももめた。

 今なら、若い僕は、本当に馬鹿だったと思う。

 …

 理由は、他にもあるけど、僕は、よく書店へ行って、文庫本を買い、作家さんとか芸能人の真似をして、対人関係を壊していた。今の僕は、「やめなさい」と言いたくなる恥ずかしい話ではあったと思う。

 今では、僕は、化学式を覚えたり、歴史の年号を覚えるよりも、もっと、肝心なこと、他人の気持ちをつかむことだなぁと思っている。

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