不思議なものを見た話

第12話

俺は高校になるまで毎年、夏休みは家族で伊豆の方に旅行していました。

泊まる旅館もいつも同じ。

その旅館は目の前が海で、川沿いに建っていました。


川を挟んで大きな岩山があり、樹木が生い茂っていて頂上には赤い社が見えます。

あんな道もなさそうな岩山の上に誰が行くんだろうと、ずっと不思議に思ってました。

あれは中学二年の頃だったと思います。


家族でいつもの旅館に泊まった2日目。

夜の11時くらいに温泉に入りたくなり1人で大浴場に行きました。

他にも何人か先客がいましたが先客が出るまで粘って、最後は一人で貸切状態を満喫しました。


大浴場を出ると廊下の突き当たりに自販機があり、ジュースを買って窓の外を見ていました。

網戸には蛾が何匹もくっついていて、外からは波の音が聞こえてきます。

真ん前に見える岩山は真っ黒で昼とは全く違う印象でした。


ジュースを飲みながらふと川が海に流れ出るあたりを見てると、海の方にぼんやりと光るものが見えました。

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