第2話

2004年7月



廃屋の扉を開けるとひんやりした空気が流れてきた。

この埃とカビの臭いは慣れない。



「気をつけてね」



後ろにいる子供に足元を注意するように言うと廊下を進んだ。



廊下伝いにある部屋のドアは閉まっているものもあれば開いているものもある。



事前に下見したときにどの部屋がいいかは決めていた。




「ここなら誰にも見つからないね」



半分ほど空いているドアの下の部分を足で押して全開にする。



その横を子供がとことこと歩いて中に入った。




中はがらんとしていて壁に埃をかぶった四人がけ用のソファーが置いてあるだけだった。



2人で部屋の真ん中に立って中を見回す。



「これからあげるものは誰にも内緒だよ」



そう言ってリュックからビニール袋をとりだすといくつか床においた。

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