第2話帰路
LINE
乃々華[優愛ちゃーん!]
優愛[やほ!乃々華どしたー?]
乃々華[やっと友達できたー!]
優愛[やったやん!]
乃々華[まだ親友って程じゃないけどね]
優愛[いやー、だとしても良かったー]
優愛[乃々華なら最悪一ヶ月ひとりぼっち
だよ]
乃々華[最悪な状況にならんで
良かった(笑]
乃々華[優愛ちゃんはどんな感じ?]
優愛[新しい友達とも仲良くやってます!]
乃々華[いいねー 彼氏さんとは?]
優愛[あー、それがね…]
乃々華[え、なにかあったの?]
優愛[うん、別れた]
乃々華[おー、なんかごめん]
優愛[なんでやねん!]
乃々華[てか、なんで?]
優愛[元彼が、俺彼女おるって
言いふらし始めたから]
乃々華[あ、それは確かに嫌かも]
優愛[てか、乃々華もそういうの
教えてやー]
乃々華[私?別に気になる人
なんておらんし…]
優愛[相変わらず恋愛に淡白だなー]
乃々華[あ、電車来たから、また後で]
優愛[はーい]
電車
駅で乗り継ぎ、最寄り駅までの電車に乗り込む。焦って乗った電車の車両には、私の英語のクラス担任のカロリーナ先生がいた。先生と目があってしまい、思わず目をそらす。先生が見張っている中、携帯を出す勇気はないので窓の外をぼんやりと眺めながら今日できた友達、恵ちゃんについて考えていた。
〖一生の親友になってくれない?〗
あの言葉の意味は一体なんだったのだろう。ただ単に仲良くしたいという意味なら良いのだが、あの質問に何も考えず答えれば、足枷になりかねないと考えてしまった。もしかしたら、一生離れられないようになるかもしれない。いや、だめだ。そう思い、思わず頭を振りたくなる。自分の思考をプツリと切って忘れられればいいのに。中学生になって初めてできた友達を、私に話しかけてくれた友達のことをこんなふうに思うなんて。自分が最低な人間だと改めて知った気がした。ドアの窓で眺めていた景色にコンクリート壁が立ちはばかる。空気を勢いよく吐き出すような音を出しながら、電車のドアが開く。駅のホームへと流れていく波に乗り、改札の外へ行く。
家族
「乃々華ー!」「おねぇちゃーん!」
家族の呼ぶ声がし、駅に面している道路を見ると、窓から身を乗り出して手を振る弟の姿が見えた。苦笑いを浮かべながら車に乗り込む。乗り込み、ドアが閉まると共に、車が発進する。
「お母さん。もうちょっと声の音量落としてよ。呼ばれなくても気づけるって。」
「この前気づかんかったじゃん。」
お母さんはそう言いながら、止まっている車たちを抜かしていく。家の近くの公園に咲いている満開の桜を見ながら目を瞑る。ふわりときた眠気に従おうとした途端、隣にいた弟が私の横腹を叩き始める。開けたくない目を無理やり開け、弟の方を見る。
「どうしたの」
「いや、ゲームの電源無くなったから暇で」
そんな理由で殴らないで欲しいと思いながら、暗い車内で抗いがたい眠気に必死に抗う。そろそろ負けそうだという時に家に着く。車を止めるという短い時間で私の眠気は消え去り、脳は活性化していた。車が完全に止まると、ドアを開け、暖かくなってきた4月の空気を思いっきり吸い込む。重い荷物を抱え、家の扉を開ける。
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