目眩神楽――Mekura kagura
葉月めまい|本格ミステリ&頭脳戦
睦月の章――魑魅魍魎の巣窟
覚醒する木乃伊
――
奇妙に思って
――なんだ。この状況は?
音は何も聞こえない。完全な
意識が
――僕は誰で、ここはどこで、今はいつだったか?
思い出そうと試みる必要もないはずの
それを、思い出すことができない。
――落ち着け。名前だ。名前を思い出すだけでいいんだ。
何度も自分に言い聞かせる。
やがて、ゆっくりと思考が
だが、頭が働き始めても、記憶は
考えて分かったことは、たった二つ。
僕は先ほどまで眠っていたということ。そして、今も寝転がっているままだということだ。
そこから導き出される答えは自明。
いざ起き上がって目を開けてみると、部屋はさほど明るくもなかった。
目覚めて
室内を見回す。
僕が眠っていたベッドを
金属製らしき重厚な扉は見えるが、窓はない。出入り口は、あの扉だけらしい。
ここは、僕の部屋なのだろうか?
もしもそうであれば、僕は自分が
顔面を
「――ッ!」
頬の辺りに触れた瞬間、激しい痛みが走った。
どうやら僕は、顔に怪我を負っているらしい。
鏡などがあれば、自分の状態を確認できるのだけれど……。
そう考えて、周囲を
仕方なく、先ほどのベッドに腰掛けると、扉の向こうから足音が聞こえてきた。
人がいるのであればよかった。状況を
「おお……! お目覚めになられましたか」
入室してきた人物は、僕の姿を
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